採用の課題や悩みを解決するには~中小企業から地方企業までの現状を紹介

人事

2019年06月14日(金)掲載

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 平成の新卒採用の歴史は、バブル時の異常な囲い込みや内定辞退防止策もあった超売り手市場から、長い就職氷河期を終え、終盤は学生にとって就活が楽になった数年でした。

 リクルートワークス研究所によると、2019年の新卒採用では、有効求人倍率1.88倍と7年連続の上昇となり、2020年度もさらに激化すると予想されます。
従業員規模別に見ると、300人未満企業、いわゆる中小企業では9.91倍と、前年の6.45倍から大きく上昇し、過去最高の倍率となります。
単純にいえば、中小企業では10社に1社しか採用できない計算です。

 一方、いわゆる大手企業(従業員5000人以上)では0.37倍と、こちらは学生が入社したくても3人に1人しか入社できないという状況であり、同じように転職市場では2019年2月の有効求人倍率は1.63倍、正社員に限れば2.2倍の水準となっています。

 上記の数字を見てみると、新卒採用でいえば10社のうちで1番になれば中小企業でも採用できます。中途採用でいえば5社のうちで2番に入れば採用できるという数値です。
 
 にも関わらず、企業側はこれまで数十年の学生集客方法、いわゆる就職ナビ媒体に求人を出すだけで人が採れないと嘆き、うちの採用担当がダメなんだと言い訳をしていますが、もう少し改善の余地があるかもしれません。

 さて、当コラムでは、改善をする意欲があり、どうにか工夫をして採用したい方々に対して最初に考えなければいけない本質的な課題と今の採用トレンド、さらに少し未来の採用についてお伝えしていきたいと思います。

採用課題1 採用マーケティングができていない

 まず新卒採用、中途アルバイト採用をする上で、採用担当者にいまもっとも必要な能力はマーケティング能力です。つまり、ターゲットは誰で、自社の強み・弱みは何で、そのターゲットにどう伝えれば背中がおされ、心が動くかを考える力です。本来企業経営者なら、誰でも自社の商品や営業活動では設定されているはずが、採用に至っては設定されていないケースが多いです。

 「採用に関する課題あるある」で一番多いのはターゲットが決まっていないことです。誰でもいいから人数だけ揃えたいという企業は、まずはターゲットを明確に絞ることが重要です。体育会系が欲しいだけではターゲットが絞れておりません。体育会系でも、「怪我で挫折したが、マネージャーとして仲間を支え、大会の旅券手配から対戦相手を探すためにテレアポもしていました」という人材が欲しいとまで明確に絞ります。

 母集団形成においても同様です。母集団形成をする意味合いを再度考えてみると、本当にそんなに多くの候補を囲い込む必要があるのでしょうか。
本当にターゲットが絞られていたら、母集団形成をする必要はないのです。


採用課題2 ターゲットへ伝える能力が足りていない

 2つめは、そのターゲットにとって、自社で働くメリットは何かと、それをどう伝えるかです。

 中小企業の経営者に多いパターンですが、いまどきの若者は大企業指向で、なぜうちのような中小企業にチャレンジしないのか?というような主旨の話はよく聞きます。

 しかし、相手に○○の能力や、経験が欲しいと求めるだけで、その会社で働く価値や、キャリアプラン、ワクワクする未来や、困難を乗り越えるストーリーを伝えられていない企業が多いように感じます。大企業というブランドがなくても採用はできます。そのためには、自社に来てほしい人材を口説くために、相手をワクワクさせられるか、熱意の伝え方を工夫すべきです。

 この2つの課題は重要なポイントであるため整理整頓してから次の章に進んでください。

採用課題3 採用手法を変えることだけが解決策ではない

 3つめは、採用は手法で解決できると思っていることです。

 「新卒採用に効果がある、良い媒体はありませんか」「中途採用が上手くいくツールはありませんか」と問うタイプはこの罠にはまっています。リファラル採用や、インスタグラム、LINEなどのSNS、またテレビCMで聞くことが多くなったIndeedのような新しい採用ツールを、単なるテクニック論でつかうのか、もしくは採用の本質を見極めてそのターゲットにあわせてどういう使い方をするのかで効果も大きく変わってきます。

 媒体の選定行為が目的とならないように皆さまにはお願いしたいです。

本質的な課題を解決するには?

 では、どんなツールを使いこなすか?という話になりますが、まずは、今すぐやるべきこととして自社採用サイトを徹底的に使っていただきたいです。

 社長のメッセージやキャリアプラン、先輩の声、福利厚生が載っている新卒採用サイトを持つ企業はたくさんあります(中途採用ではもっていない企業が圧倒的に多い)が、募集原稿が就職ナビへのリンクを貼るだけになっている企業がほとんどです。ここをまず改善してはいかがでしょうか。自社サイトに募集原稿がない=極端に言えば、Googleやindeedに載っていない可能性が高いということになるからです。

 また、中小企業(BtoBなどの学生には知られていない大企業も含む)の場合は、採用サイて、募集要項に直接やってきます。つまり、募集要項が最上位で、そこから社長メッセージ等のコンテンツを読んでもらう設計にしないといけません。しかも現在ではアクセスの多くはスマートフォンからと想定されるので、PCサイトよりスマートフォンでの対策の方が重要になります。

 自社採用サイトではあらゆるページで分析ができ、求職者の動きやボトルネックが全て見える化できるため、PDCAを回して改善を図る土台としていただきたいです。こういったPDCAのプロセスは、リファラル採用や他のツールでも同じです。ターゲットに対して最適なツールを選択できずPDCAを回せていないのにも関わらず、ツールの責にして、もっと良いツールがないか探し回るのは効果的とはいえません。

今後の採用に向けて

 2019年1月23日に開始した「Googleしごと検索(Google for jobs)」には注目をしてもらいたいです。

 現状は、掲載数や効果を鑑みてもIndeedが勝っている状況ですが、採用手法の大きな変化のきっかけになる可能性が高いです。Googleしごと検索では、求人に関するすべての情報が整理され、Indeed同様に媒体より自社採用サイトが優先され、さらに企業の口コミもあわせて掲載されていきます。

 地図上に近くの企業と給与が比較されて表示されるようになっていくため、企業への口コミはますます重要となります。なぜなら、今いる従業員に優しくない、いわゆるブラック企業や給与が安い会社は、せっかくGoogleしごと検索上に掲載されても、それが白日の下にさらされるだけだからです。

 さらに、この流れにのって日本で生まれた求人専門検索エンジンである「求人ボックス」、「スタンバイ」などが隆盛になっていくと思われます。Indeed VS Googleではなく、これらが検索上位になって、既存のナビ媒体はその下にしか来ない状態となります。そのため、本当にいままで通りナビだけに頼っていて大丈夫と安心できるか、一度考えてみてほしいと思います。

次の一手は?

 私が数年程度でブレイクすると考えるのは動画やランディングページの活用です。

 動画であればYouTubeの活用ですが、成功しているケースはまだまだ多くないように思います。既に会社説明会動画をYouTubeにあげている企業もでてきましたが、閲覧数は有名企業でも数千レベル、中小企業だと数百回、それも社員がみているというのがほとんどで、採用のために動画を活用できているとはいえない状況です。

 一方で、「Fラン大学生が内定を採る方法」というような動画は数十万回も再生されております。つまり、求職者目線(学生目線)の動画を作っている会社が勝てるということになります。他にも”就活をしたくない”や”コミュ障”をターゲットとしたコンテンツなども、まだまだブルーオーシャンです。

 ただし、カタチだけをマネするのではなく、何よりも採用の本質的な軸があることが重要であり、動画もあくまで伝え方の手段であることはご注意いただきたいです。

採用にプロ人材を活用する効果

 採用戦略の構築とその運用方法やトレンドが分からないのであれば我々のようなプロ人材(i-common)を活用して欲しいと思います。

 どうしても自社の採用活動ばかりしていると目線が社内ヒエラルキーにさらされて萎縮していきます。経営者も同業他社の事例を聞いて、採用担当者に指示しますが、営業上はライバルでも採用ターゲットではライバルではないケースが多いです。

 同業他社は多く、そこを参考にしても大きな成果は生まれません。様々な業種に関わり皆さま以上に多数の失敗も多数の成功も経験しているプロの話を聞くだけでも大いに参考となると思います。

※記事は執筆者個人の見解であり、パーソルキャリア株式会社の公式見解を示すものではありません。

ライター株式会社アドヴァンテージ 代表取締役社長 中野 尚範氏

過去2社の人材関連の企業の立ち上げを経験。大手人材派遣会社を中心に累計1000社の自社採用サイト構築を支援。人材領域とWEBマーケティングの知見から、派遣・パートアルバイト・中途・新卒など、全ての領域の採用戦略の支援実績多数。現在はi-commonの登録顧問としても多数の企業の支援を行う。

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