エンジニア採用を成功させるために見直すべき7つの項目

人事

2020年01月30日(木)掲載

昨今、IT・インターネット系エンジニアの求人倍率は年々上昇し、2019年12月末のIT・通信業の求人倍率は8.84倍と、採用難易度は年々上がってきています。(出典:doda 転職求人倍率レポート)

このような市場環境の中で、「ネームバリューがない」「高い報酬が出せない」「福利厚生が整っていない」「有名な人が社内にいない」などの理由から採用優位性に自信がない企業も多いかもしれません。

しかしながら、上記のような優位性がなくても、様々な工夫をすることでエンジニア採用に成功している企業は数多く存在しています。

今回は、成功している企業の事例や筆者の経験を元に、エンジニア採用成功に向けた見直すべき7つの項目を紹介したいと思います。


1.募集要項

思いの外、募集要項(求人票)をおざなりにしている企業が多いと思います。
法的に記載が必要な内容に加え、読み手が応募したくなる記載が必要です。

気をつけて欲しいことは、「いいことばかりを書き連ねても、必ずしも応募に繋がらない」ということです。
そのポジションでの開発環境や組織体制、現在直面している技術的負債や開発課題が何であるのか、そしてそれは自分に遂行できるミッションなのか、ということを総合的に考慮して応募を決めるエンジニアが多くいます。
そのため、Web上や紙での募集要項をしっかりと作り込むことは必要不可欠です。
また、会社の成長に伴い、少なくとも1ヶ月に1回は古い項目やその記載がないかを確認し、募集要項を更新する作業も必要です。

2.会社説明の資料

昨今の採用の選考フローでは、応募からいきなり面接ではなく、カジュアル面談や会社説明会などのコミュニケーションを挟み、応募を喚起させるスタイルが増えています。
しかし、1と同様、会社説明についての資料に全力をかけている企業もまだまだ少ないと感じています。
会社説明の資料はいわば、「会社の仕様書」です。これがしっかり書かれていないということは、ドキュメントを大切にするエンジニアからの信頼を得られないでしょう。それにも関わらず、言いたい事実や数字だけを羅列した、「情報が多くて何が言いたいのかよく分からない会社説明の資料」は残念ながら少なくありません。
自社の事を魅力的かつ正確に理解してもらう為には、会社説明の資料作成に多くのコストをかける必要があります。会社説明の資料も、定期的な情報の更新が必要です。

3.エージェントコミュニケーション

エンジニアを採用するにあたって、成果報酬型である転職エージェントを活用することは有効な手段のひとつです。
ところが、「エージェントさんに依頼しても紹介に結びつきにくい」という話を耳にします。

確かに、冒頭に述べた話からも分かるように、エージェントから一人のエンジニアに紹介できる求人は非常に多く、ハイスキルな方などは100~200社の求人が紹介されることもあります。
しかし、転職エージェントの仕組みや構造を理解せず、求人オーダーを伝えて待っているだけでは、有効な手段にはなり得ません。

エンジニア領域を得意としているか、独自のチャネルで候補者を集めることができるか、自社の採用スタンスに合った営業担当が付いているか、営業とキャリアコンサルタントは分業型か両面型かなど、エージェントと取引を始める前に考慮すべきポイントはいくつもあります。
加えて、自社の採用担当が求人紹介を実際に行うキャリアコンサルタントの体制を理解しているか、1や2で挙げたドキュメントが整備されているかなど、エージェントとの付き合い方を改善することも必要です。

自社の募集要項をキャリアコンサルタントから求職者へ積極的に紹介してもらうため、エージェント向けの勉強会を開催するなども有効な方法でしょう。

4.作業環境を整える

冒頭に、高い報酬や魅力的な福利厚生がなくても採用がうまくいく会社があると申し上げました。理由は、そのような会社は、エンジニアが作業する環境の優先度を上げて環境を整えているという点にあります。

1日PCと向き合って座り続けるエンジニアにとって物理的な社内環境は非常に重要です。
ハイスペックなPC、昇降デスク、腰に負担がかかりにくいアーロンチェアなど、オフィスを大きく改修しなくても揃えられるものはあります。
少し採用コストは高くなりますが、そもそも作業環境が整っていない会社では、転職先の選択肢にすら入れてもらえないことも多いです。

5.面接官のトレーニング

面接に自信がない、という役員やマネージャーの方が多いのではないでしょうか。
実際、筆者は7年ほど採用に関わって来ましたが、人事以外の方で、面接官としての体系だったトレーニングを受けたことのある方とお会いした経験は皆無でした。

面接官の力量は採用の成否を大きく分けると考えています。面接で聞いてはいけないこと、不躾にならない質問の方法、ホスピタリティのある対応、明瞭に自社を説明できるプレゼンスキル、質問に対する回答の仕方、意図のある質問の設計、などがその例です。1~4の項目を整えても、当日会った面接官が失礼な言動をしたり、不遜な対応をしたりしていては、採用は成功に近づきません。
面接官をアサインする時は、必ず面接のトレーニングをしてから臨むことが望ましいでしょう。

6.グローバル採用

日本国内のエンジニア人口は90万人程度と言われておりますが、英語人材を受け入れる選択を取ることができれば、その数は10倍以上になります。

そんな簡単に言わないでくれ、と聞こえてきそうですが、海外出身の方を中心にエンジニアチームを構成している会社が年々増えてきています。
グローバルな開発チームを構成するにあたって、必要な人材やコストはありますが、中長期で考えた時にエンジニアの採用における母集団形成の難易度を下げられ、他社とはバッティングしにくい採用活動が出来ることは大きなメリットになりえます。

将来的に会社としての海外進出を考えているのであれば、なおさら早めにグローバル採用を進めるべきでしょう。

7.採用担当者

筆者が最も大切だと考えていることです。

多くの会社は人事がメインとなってエンジニア採用をおこなっていますが、「エンジニアリングを理解している」人事は非常に少ないと言われております。

これが何を意味するかというと、ミスマッチな人材にアプローチしてしまい、必要以上に現場エンジニアの工数を割く必要が出るということです。「エンジニアが採用できない」という課題は「エンジニア採用ができる人」を採用することで解消できると考えられます。
とはいえ、エンジニアリングと採用の両方に知見を持つ方は非常に希少で出会うことすら難しいと言われています。

エンジニアの方に人事へキャリアチェンジいただくか、人事の方にエンジニアリングを理解してもらうかなど、確保するための手段はいくつか選択肢はありますが、エンジニア採用を見直す上で真っ先に検討すべき項目でしょう。



エンジニア採用を成功させるために見直すべき7つの項目を紹介いたしました。

無論これ以外にも報酬設計や社内制度、人事評価など見直すべき項目は数多くありますが、本コラムでは筆者が特に見落としがちと感じる項目を紹介いたしました。
IT・インターネット関連の事業を展開する企業にとってエンジニア採用は企業の命運を左右するといっても過言ではありません。

本コラムの内容がエンジニア採用に関わる方にとって少しでもお役に立てれば幸いです。


執筆者S氏

ERPベンダー企業のエンジニアとしてキャリアをスタート。その後、IT領域に特化した転職エージェント、インターネット業界のベンチャー企業にて7年にわたり人事業務を経験。2019年にインターネット業界のメガベンチャー企業に転職。エンジニアを中心としたグローバル採用に従事する。

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