オープンイノベーションとは?定義や重要性について解説

新規事業

2022年04月28日(木)掲載

キーワード:

オープンイノベーション(Open innovation)とは、組織内のイノベーションを促進するうえで、組織内外を問わずあらゆるリソース(知見や技術・サービスなど)を駆使し、さらに組織内で創出されたイノベーションを組織外へと展開する一連のモデルを指します。

オープンイノベーションという概念そのものは、2003年に現UCバークレービジネススクール教授のヘンリー・チェスブロー氏が提唱しており、昨今改めて多くの事業者から注目を浴びているワードです。

当コラムでは、オープンイノベーションがなぜ注目されているのか、その背景とともに、導入による影響をご紹介します。

オープンイノベーションの概要

オープンイノベーションの目的

オープンイノベーションによって目指すゴールは「企業の枠にとらわれない、事業の促進や創出」にあります。短期間での未来ですら予測が難しい時代となった昨今、従来型である、社内環境下のみでのイノベーションではニーズに追いつかない事態が発生しているケースも少なくありません。企業にとっては新たな挑戦が常に求められ続ける中で、企業が手掛けられる範囲を超えて、今までにない発想や事業を生み出すために、オープンイノベーションは有効な手法であるといえるのです。

注目される背景

オープンイノベーションが注目される背景は、大きく分けて2つあります。

一つ目は「プロダクト・ライフサイクルの短縮化と、技術の高度化・複合化」です。近年のIT技術成長、またグローバル化の促進や市場の急激な変化によって、市場競争は加速しています。それに伴い、プロダクト・ライフサイクルは短期化しつつあります。

双方の流れを受け、市場ニーズを満たしたプロダクトの提供や、スピーディな研究・製品開発を手掛けるうえで、最新の技術を取り入れられるオープンイノベーションの評価は高まっていきました。

短期間で結果を得やすいオープンイノベーションは、時代に即した事業発展の手法といえるのです。

二つ目は「消費者ニーズの多様化・複雑化」です。従来では、製品・サービス提供において、コストや品質が一定突出していれば、顧客からの利用や購入がある程度担保されていました。しかし、時代の変化とともに製品・サービスが増え続けるとともに、消費者のニーズは多様かつ複雑になっており、一辺倒な販促戦略では勝ち残れない時代を迎えています。

変化の目まぐるしい消費者ニーズを正確に把握するうえで、社内だけのリソースに留まっていると、社外のリソース活用と比較して相対的に、捉え方や収集できる情報に偏りが発生しやすくなってしまいます。

オープンイノベーションでは、外部のリソース活用によって、第三者からのフラットな目線によるアドバイスや、自社だけでは知り得ない市場・他社の動向や知見を取り入れられます。結果として、自社の課題を客観的に見つめなおし、市場と照らし合わせて対策を練られるのです。

総じて、外部の知見を取り入れることで、視野を広げられる点から、ビジネス成長につながる点に注目が集まっているといえます。

クローズドイノベーションとの違い

オープンイノベーションと対極にあるワードに、クローズドイノベーションがあります。オープンイノベーションが外部のリソースも活用しながら新たな変革を起こすことに対し、クローズドイノベーションは自社のリソースのみで推進することを指します。

では、双方は具体的にどのような相違点があるのでしょうか。項目をいくつか挙げ、比較しながらご紹介します。

人材への考え方

イノベーションを生み出すための人材を「社内完結」にするかどうが相違点となります。

クローズドイノベーションでは、イノベーションを起こすのは自身(企業)であり、当事者である自分たちの力で完結しなければならないという考えで推進します。また、自社内で優秀な人材を確保し、雇用のもとパフォーマンスを発揮してもらうという考え方です。

対してオープンイノベーションでは、外部のリソースでよいと思うものがあれば、雇用という枠にとらわれず、積極的に活用し取り入れるというスタンスです。

顧客への考え方

事業者と顧客の関係性に対する考え方が相違点です。

クローズドイノベーションでは、顧客をサービスの提供先と考えます。すなわち、事業者目線でいえば、顧客は提供サービスの「受動者」ととらえられます。

対してオープンイノベーションでは、顧客もイノベーションを生み出す協業者としてとらえるスタンスです。

外部資本の関与

外部資本の関与に対する考え方に相違点があります。

クローズドイノベーションでは、外部資本の関与にはさほど重きを置いていません。

対してオープンイノベーションでは、外部資本を重要視します。外部資本が社内に投下されるとともに、人材やテクノロジーなどの外部リソースが注入されるケースも往々にしてあります。

研究開発の役割

外部と内部の研究開発機能に持たせる重要度が異なります。

クローズドイノベーションの場合、基本的には内部での研究開発に重きを置きます。収益獲得のため、研究開発から販売までを自社内で一貫して担うケースが多いようです。

対してオープンイノベーションでは、外部と内部、それぞれの研究開発による成果やプロセスを自由に共有し、よりよいものを創出するという考え方が根本にあります。どちらもバランスよく重要視しており、双方に境界は存在しません。

ビジネスモデルの市場化

市場化とビジネスモデル構築、どちらに重きを置くかが相違点です。

クローズドイノベーションの場合、ビジネスモデルでよいアイデアが浮かんだと思ったら、まずは市場に投入することが重要であると考えます。

対してオープンイノベーションでは、市場化よりも、ビジネスモデルの構築や磨きこみに重きを置きます。外部との連携によって新たな市場やイノベーションの創出を行い、市場化につなげるという考え方です。

知的財産

外部へのライセンス共有に対する考え方が相違点です。

クローズドイノベーションの場合、イノベーションに関する知的財産は自社で厳重に保護することを重要視します。

対してオープンイノベーションでは、外部とのライセンス共有を積極的に推進するという考え方です。

オープンイノベーションに関する要素

続いて、オープンイノベーションを形作るための代表的な要素をご紹介します。

人材

オープンイノベーションにとって、第一に必要不可欠なのが「多様な人材との連携」です。

オープンイノベーションでは、自社内だけでなく業種を問わず外部の人材と連携することで、社内にない考え方・知見を取り入れることが求められます。

雇用という形式にとらわれず、幅広い専門家の力を借りることで、新しい技術やナレッジの蓄積、思いもよらない視点からの解決策創出が期待できます。

アイデアやマインド

人材ともやや重複しますが、外部の成功事例や、事例にもとづくアイデア・マインドを取り入れることも、要素のひとつです。

ただし、外部のアイデアやマインドは、該当の環境下だからこそ成立することが大半です。そのまま流用しても適用が難しいケースは往々にしてありますので、結果ではなくプロセスに注目し、自社の中で活用できるようカスタマイズすることが賢明でしょう。

知的財産

従来では自社の優位性を高めたり、より利益を得る目的から、ライセンスや特許などの知的財産保護は重要視されていました。

しかしオープンイノベーションでは、知見を社内外で循環させ、新しい価値を生み出すことが目的です。そのため、ライセンスの権利共有が推奨されています。

とはいえ、あくまで本来の目的はビジネス強化のためですので、無償での共有をよしとしている訳ではないことを、念頭に置いておきましょう。

研究開発

研究開発も、オープンイノベーションを推進するための重要な要素といえます。

自社だけで研究開発を賄おうとすると、莫大な時間や資金がかかります。しかし、外部の研究開発機能や知識をうまく活用することで、新たな製品・サービスの創出をスピーディに進めることが可能です。

なお、研究開発部門でオープンイノベーションを推進する際は、外部の研究開発を自社で享受できる体制が整っているかどうかがポイントとなります。

市場

オープンイノベーションで開発した製品やサービスを展開するうえで、開かれた市場があるかどうかもポイントです。

外部連携により、自社にはない新規市場の開拓だけでなく、開拓先の市場で新たなネットワーク構築も期待できます。

しかし、特許権等の知的財産の取引における日本の市場は未発展であることも多いため、この点においては今後の活性化や見直しが期待されます。

オープンイノベーションのメリット

以下からは、事業成長において大切な要素となる「スピード」「コスト」「知識・技術」の側面から、オープンイノベーション導入のメリットをご紹介します。

スピード面

オープンイノベーションによって、事業のスピーディな成長が見込まれます。

自社内の閉ざされた環境下では、どうしても限られたリソースのみで推進を行うため、前例のない課題に直面した際、行き詰まりやすい側面があります。

また、新規事業立案時にも、ベースがゼロの状態からスタートするため、「何から手を付ければよいかが分からない」といった事態にもなりやすいといえます。

オープンイノベーションを取り入れた場合、自社にない知見・能力・技術を取り入れる観点から、消費者ニーズの理解や、具現化におけるプロセス・知見の享受を図れるメリットがあります。

回り道を限りなく減らし、最短ルートで事業成長・推進を期待できる点は、オープンイノベーションのメリットといえるでしょう。

コスト面

スピードをもって事業成長を図れる分、ランニングコストの削減が期待できます。

ゼロから研究開発を行うクローズドイノベーションと比較すると、相対的に研究開発に多くの投資をせずとも、短期間で結果が見込めます。

また、雇用と比較し、研究開発にとりわけ注力したい時期とそうでない時期で、ランニングコストの調整を図れる点もひとつのメリットとしてとらえられます。

知識・技術

単に知識や技術を取り入れるだけであれば独学でも可能ですが、オープンイノベーションならではのメリットを挙げるのであれば、新たな知識や技術を現場に即した形で落とし込める点、さらに自社に蓄積できる点が該当するでしょう。

一般的に流通しているセミナーや本の場合、対象者が幅広いため、内容も汎用的なものとなりがちです。したがって、どのように自社へ知識を落とし込めばよいか、迷ってしまうケースも往々にしてあるといえます。

オープンイノベーションは、外部のあらゆるリソースを全面的に取り入れることを前提としており、その中には外部人材との協業も要素として含まれています。一方的な知識の享受と違い、インプットとアウトプット双方を経験することによって、事業成長のための行為やプロセスそのものも知見として自社に蓄えられるのです。

オープンイノベーションのデメリット

メリットの多いオープンイノベーションですが、一部デメリットとなりうる要素もあります。当項では、オープンイノベーションによってリスクとなりうる点についてご紹介します。

アイデアや技術などの情報漏洩リスク

自社の技術やサービスを公開する分、情報漏洩のリスクは免れないといえます。リスクを防ぐためには、単にシステムセキュリティの観点に留まらず、コンプライアンス遵守のための教育など、リスクの芽となりうる要素にも目を向けた対策が求められます。

まずは外部とどこまでの情報を共有するかを定義しましょう。そのうえで、公開する対象者や、アクセス権限の範囲を取り決めるなど、必要以上に外部へ情報を発信しないための規定策定を推奨します。

自社内における推進力低下のリスク

オープンイノベーションで外部の力に頼りきりになってしまうと、自社の事業推進力の低下につながるリスクがあります。

対策として、オープンイノベーションによって目指すゴールの設定と、オープンイノベーションとともに組織内で自走できる体制構築がポイントといえます。

あくまでもオープンイノベーションは外部の力を「活用」するものであり、「依存」するものではないことを念頭に置いておくとよいでしょう。

利益率の低下

クローズドイノベーションの場合は、自社への利益還元率が相対的に高く収まりますが、外部連携した場合、連携先への利益配分にも目を配る必要があります。

トラブルにもなりやすい要素のため、スムーズにオープンイノベーションを推進するためにも、事前の合意形成は忘れずに行っておきましょう。

オープンイノベーションの事例

以下、オープンイノベーション事例の一部をご紹介します。

一般消費財メーカーの事例

一般消費財メーカーのA社はオープンイノベーションを積極的に推進している企業のひとつです。口腔ケアから美容、在宅ケアなど、多様な事業領域において革新を生むべく、オープンイノベーション推進のための専門従業員を設置。専門チームとパートナーとなる事業者を外部から募り、新商品やサービスを生み出しています。

アパレルメーカーの事例

アパレルメーカーのB社は、繊維メーカーのC社と、早期よりオープンイノベーションによる連携関係を構築し、積極的に共同開発を手掛けています。その功績は2000年代前半時点であがっており、コラボレーションによって次々と大ヒット商品を生み出しています。

まとめ

先述の通り、オープンイノベーションを形作る要素のひとつは「人材」ですが、ウィズコロナの時代を迎えた昨今、副業・兼業・フリーランスなど、人材による価値発揮の在り方は変化を遂げつつあります。今後は事業を進化させていくうえでも、外部人材との協業がより身近となっていくことが予想されるでしょう。

最後に、上記外部人材とのネットワークを広げるサービスのひとつとして、経営支援サービス「i-common」をご紹介します。当サービスでは新規事業立案・DX・組織改革などあらゆる経営課題に対し、さまざまな領域のプロフェッショナルが多数登録しており、オープンイノベーションを起こすための第一歩として多くの企業様にご活用いただいています。社内に新たな風を吹き込むための足がかりとして、「i-common」のご活用をぜひご検討ください。

関連コラム

ページTOPへ戻る