サービス導入事例

株式会社山田製作所

売上:
100億円~1000億円未満
業種:
機械・電気製品

システム

この先に目指す開発のあり方を見据え、製品データを一元管理するPLMシステムの導入が実現

開発本部 情報管理ブロック ブロックマネージャー
  • 山田 俊行 氏
  • BEFORE導入前の経営課題

    PLM(製品ライフサイクル管理)システムの導入に際し、自社のニーズや目的に本当に合ったシステムを構築していく知見が不足していた

  • AFTER導入による成果

    過去に実際にシステムを導入した経験を持つ専門家の支援で、自社に適したPLMシステムの導入が進み、近く本格稼働へ

データの受け渡しに手間と時間を要する現状が課題に

製造業では近年、製品のライフサイクル全体における情報を包括的に管理して利益の最大化を目指すPLM(製品ライフサイクル管理)への注目が高まっている。群馬県伊勢崎市に本社を置く自動車部品メーカーの山田製作所でも、国内外の拠点をつなぐPLMシステムの導入について2年ほど前から検討を始めた。同社で開発部門全体の統括管理を担う情報管理ブロックの責任者・山田俊行氏は、当時抱えていた課題感を次のように説明する。

「開発部門が扱うデータの種類は、図面データや3Dモデル、その周辺にまつわる設計データ、さらにテストデータなど多岐にわたります。さらに、自動車の機種やモデルの違いに応じた数多くの製品があるため、その分、データは膨大になります。これまでそうしたデータの管理は、各部署で個別最適されたシステムによって行われ、客先のシステムや社内のほかのシステムとの連携が図れないことが大きなネックでした。そのためデータの受け渡しは基本的に個人ベースとなってしまい、場合によっては一つのデータを入手するのに複数の人に問い合わせて回る必要が生じるなど、きわめて非効率な状況でした」
そこで、製品情報を一元的に保管し、データの共有や活用を進める手段としてPLMシステムの導入を目指すことになった。しかし社内にはPLMの知見がなく、この先、自社の業務の詳細や要望をシステムに的確に反映していくためにも、専門家の知見が必要だった。

社内の他部署でも活用していたi-commonサービスを利用することを決め、2018年3月、製造業務プロセスコンサルタントとして活動するN氏をアドバイザーとして迎え入れた。決め手として山田氏は「さまざまな会社でPLMシステムの導入に携わった実績をお持ちで、他社の成功事例だけなく、失敗事例やそこからのリカバリ経験も踏まえた実効的なアドバイスをいただける。こちらが求めていた条件にぴたりと合致する方でした」と振り返る。

スモールスタートから、自社に最適なシステムを段階的に構築

プロジェクトを進めるにあたり留意したのが、最初から規模を広げ過ぎないことだったという。いきなり全社プロジェクトとして取り組んでも、誰も経験のない分野のため発想が今の延長線上にとどまってしまい、目先のニーズに応えるだけの価値の低いシステムになってしまう危険があったからだ。そこで、まずは開発領域を第1ステップとして、その範囲内でしっかりとシステムを構築したうえで、その後に生産準備領域、生産領域へと段階的に展開していくことを決めた。また、N氏からのアドバイスをもとに、システム導入の目的や自社メリットをより深掘りし、それを踏まえた明確なゴールを設定。それによりプロジェクトメンバー全体に、自分たちで主体的に考えて進める姿勢が生まれていった。

ベンダーとの要件定義の過程でもN氏の存在は大きかったと山田氏は話す。「要件定義では往々にして、責任の所在をどうするかで双方が揉めがちなのですが、Nさんは過去の実例を踏まえて、必要な場面でベンダーさん側の主張を牽制したり、客観的な判断基準を持って双方が納得できる結論に導いたりしてくださいました。そのおかげで、両者の話し合いの場では、皆が枠組み作りに向けて建設的に意見を出し合う雰囲気が常にあったことが印象に残っています」

プロジェクトメンバーはN氏を講師役に、データの取り扱いに関する勉強会も重ね、現状の課題に気づくきっかけになったという。例えば、ある元データを参照する形で、各部署や各人が個別にExcelデータを作って運用するケースは多い。しかし、複雑な計算式で全体のデータ量が膨大になったり、更新を重ねるなかで作成者本人にしか把握できない状況に陥ったりと、便利なツールを使っているはずが実は業務効率を下げている場合も少なくない。本来重要なのは、データの維持や更新に労力を費やすのではなく、新たな価値創出に向けてデータを有効活用すること。勉強会を重ねるなかでプロジェクトメンバーは、PLMシステムの導入の前提条件として必要なデータベース構築やデータ連携についての知識を深めていった。

2018年7月にPLMシステムを導入し、以来約1年をかけて開発領域の各部署で不具合や課題を洗い出す実地検証のプロセスを重ねてきた。本格稼働は2019年秋を予定している。並行して、国内外の生産拠点をPLMシステムで結ぶためのグローバル通信ネットワークの構築にも着手。この分野にも詳しいN氏の支援により、構築は順調に進んだ。新たに整備されたネットワークは社内でも評判が高く、開発以外のほかの部門でもデータのやりとりに活用され始めているという。

データの一元管理が可能にする、開発プロセスの本質的な改革

i-commonサービスの良さは、通常では出会うことが難しい、特定分野で高度な知識を持つ専門家との縁がつながることだと山田氏は言う。「それも、評論家のような立場の人ではなく、実際にデータ活用の実績を豊富に持つ方にお会いでき、求めていた以上のノウハウを提供いただけました。一方で、こちら側が受け身の姿勢にならないことも大切だと思います。全部信じてお任せするという考え方ではなく、専門家のアドバイスを自分たちで噛み砕いて理解し、主体性を持って選択するという心構えも、質の高い業務委託を実現する上で不可欠だと感じます」と、サービス活用のポイントを指摘する。

自動車業界が100年に1度の大変革期にあると言われる今、開発にはこれまで以上にスピードや精度の高さが求められている。山田氏は、今後は開発のあり方自体が大きく変わっていくはずだと予想する。「例えば、自社に知見のない新製品の研究開発に取り組む際に、今あるデータに解析や最適化を加えて、コンピュータ上で仮想的に試作品のシミュレーションを行い、その中で知見を構築するといったやり方も今度は発達していくのではないでしょうか」

グローバルなPLMシステムが本格稼働し、データの一元管理が実現することで、業務の効率化のみならず、将来的には世代を超えたものづくりのノウハウの継承も期待される。70年以上にわたる同社の歴史の中でも、今回のプロジェクトは未来につながる重要なマイルストーンと言えそうだ。

企業名
株式会社山田製作所
設立
1946年2月
従業員
1,678名(2019年3月末)
売上
875億円(連結)
事業内容
四輪車用機能部品、二輪車用各種機能部品等の開発・製造

担当顧問より

開発本部・情報管理ブロックにて、PLMの立ち上げ及び情報の活用に関しての支援を実施しています。
PLM導入のきっかけも、社内で設計・開発・生産から保守につながるデータの一元化が、会社がますます発展するのに必須と自社で判断をされ、豊富な経験を持つ大手ベンダー様と一体で進めています。
情報管理ブロックの責任者・山田俊行様を中心とする組織は、山田様のリーダシップのもと、社員の方々の業務に対するモチベーションも非常に高く、多くの女性も明るく積極的に重職で活躍をされています。
また同業他社様と比較しても、PLMに限らず先端の情報ソリューションを積極的に取り入れ、全社最適化に取り組み確実に進んできています。
ご存じのように、PLMは導入の難易度が非常に高いシステムです。ともすれば、プロジェクトを進めていくうちに、PLM導入することが目的となってしまう事も多々有ります。
山田製作所様は大きな壁に突き当たっても、常に「このシステムを導入することで会社にどんなメリットを与えられるのか?」を想像しながらプロジェクトを進めておられるのが印象的で、プロジェクトは着実に成功に向かって進んでいます。

登録顧問 N氏(60代) コンサルタント業界にて、システム、製造業向けの業務改善、コスト改善などのコンサルタントとしてキャリアを積む。また、外資系のエレクトロニクス機器業界、および大手の外資系情報・通信・インターネット業界の企業にてコンピューターシステム全般のコンサルティングおよびマネジメントに従事した。現在は自身で会社を設立し、ビジネスコンサルタントとして活動。システムによるコストや工数を考慮した体制作りや、事業目標を実現するための業務面・組織面での改善策企画・実行を得意とする。