サービス導入事例

SCSK株式会社

売上:
1000億円以上
業種:
広告・情報通信サービス

新規事業

産学官の関係構築をけん引するプロジェクトのキーパーソン。 外部知見の活用が、課題解決の“新たな選択肢”に

産業事業グループ統括本部 統括部 事業化推進課
  • 課長
    遠藤 敦子 氏
  •   
    安藤 真也 氏
  • BEFORE導入前の経営課題

    地方自治体の制度を活用したサービスを推進するプロジェクトである一方、チーム内にこの制度活用における自治体側の業務知見を持ち、同運用実態を把握できる人材がいなかった。

  • AFTER導入による成果

    自治体での勤務経験だけでなく、 自治体へのアプローチを考える企業へのコンサル経験などビジネスとしてのバランスを持ち合わせるプロ人材がプロジェクトに参画。チームのコアを担う存在として、対自治体、対教育機関との関係構築に貢献。産学官連携の加速によりプロジェクトが理想とするモデルケース形成を実現させた。

「三方良し」の地域活性プロジェクト。ステークホルダーとの接点で直面した大きな課題

コンサルティングをはじめシステム開発からハード・ソフトの販売に至るまで、あらゆるビジネス領域でITサービスを提供するSCSK株式会社。同社では、コア事業の拡充を図りつつ顧客との共創へも積極的に取り組み、社会に対する新たな価値づくりを行っている。
その一環として毎年開催される新規事業創出プログラム「SIP(SCSK Innovation Proposal制度)」にて、地方自治体の制度と教育機関を連動させた地域活性サービスの企画が採択された。
本プロジェクトを推進する事業化推進課の遠藤氏は当時をこう振り返る。

「市場性や現実性の観点から企画の有望性を厳しく評価する中で、この企画はほぼ満場一致で認められました。最大の要因は、“誰のためにもなる取組み”であったこと。地域にも、教育機関にも、そしてこのサービス利用者たちの思いにもきちんと寄り添える企画として評価されました」

“三方良し”のビジネスモデル。地方自治体、教育機関、サービス利用者と3者のステークホルダーへの提供価値を十分期待出来る企画だった。
しかし、この理想的スタンスが意外な形でチームの前に立ちはだかることになる。

「真っ先に直面した問題は、“地方自治体の制度における私たちの知見不足”。現行の制度において、自治体側でどんな業務が行われているかさっぱり分かりませんでした。制度の概要は関係省庁の公開資料などで把握できた一方、『どんな部署が関わるのか?』 『その運用フローは?』など…どれだけネットリサーチを重ねても制度運用側の実態が分からず、大きな課題感がありました」

シビアな課題。でも、まずは自分たちでできることを…とサービス利用者の行動理解に向けたペルソナ設計や独自アンケートの展開などから、少しずつ仮説をめぐらせていった。

「初期仮説は荒くてもいいからスピーディーに。でもその仮説精度をあげていく過程で、次第に専門家の知見の必要性を感じるようになりました」

専門的知見を 得ようと外部のヒアリングサービスをスポット利用したが、1時間程度のヒアリングで完結できる容易な課題ではなかった 。
プロジェクトメンバーの一員である安藤氏はこう続ける。

「想像していた専門家像と実際の印象がずれるケースも少なくなくありません。そのヒアリングで得られなかった回答を得るため、また数週間かけて別の候補を探して…と、時間的にも費用的にも想定以上のコストがかさんでいました。
そういった経緯もあり、外部でありながらいつでも相談や質問ができる、“仲間”としてチームに加わってほしい気持ちが高まっていきました」

そんな時に出会ったのが、その道の専門家である“プロ人材”がプロジェクトメンバーとして伴走してくれる「HiPro Biz」 の経営支援サービスだった。

ニッチで高難度の要件だったが…期待をこえるマッチングに大きな手ごたえ

その出会いは、SCSK 全社の各事業開発において支援窓口を担う同社ビジネスデザイングループに相談したのがきっかけだった。

「自分たちが求める知見はかなりニッチだと認識していて、正直『見つからなかったらどうしよう…』と戦々恐々でしたが、社内担当者に『[HiPro Biz ]は、支援内容のバリエーションも人材も豊富だから』 と背中を押してもらいました」

そう振り返る遠藤氏。その紹介を機に、「HiPro Biz」 のコンサル担当と人材の要件を綿密にすり合わせた。
地方自治体の制度自体はもちろん、自治体側の視点や考え方についての深い理解や洞察、一方でビジネスとしての感覚や素養もバランス良く持ち合わせているかどうかなど、プロジェクトに欠かせない要件はきちんと伝えた。
本格的な「HiPro Biz」 利用に至った決め手を、安藤氏はこう語る。

「決定前に事前面談できるインパクトが大きかったですね。要件提示してから1週間位で『HiPro Biz』 から3名の提案があって、その翌週には早速面談を組んでもらえました。
サービス企画概要や課題感を共有し理解を深めてもらいつつ、さまざまな知見にも触れられ、マッチしているか否か確かめられました」

その一方、遠藤氏はこの面談について異なる角度からも関心を寄せていた。

「『HiPro Biz』 を利用するうえで面白く感じたのは、この面談を通じて私たち自身のニーズもより明確にできたこと。面談を重ねるたび “こういうことも考慮すべきなんだ” “こういう風に自治体は考えるのか”といった気づきや発見がいくつもありました」

そんな面談を通じて、今やチームに欠かせないひとりのプロ人材・I氏と出会うことになる。
市役所にて産業経済分野での勤務や、経済産業省への出向経験があり、地方自治体の制度においても自治体側業務の知見が豊富。一方、自治体側へアプローチしたい企業へのコンサル経験も持ち合わせる理想的な人材だった。

「自治体側と同じ目線でこのプロジェクトを捉えられる方ですね。自治体と対面する中でも、私たちが気づかないような点にもきちんと踏み込んでくれます」

I氏について嬉しそうに語る遠藤氏。経歴だけでなくプロジェクトに臨む姿勢などソフト面に対しても満足度の高さが伝わってくる。

このようなプロセスを経て、正式にI氏のプロジェクト参画が決定した。
参画当初は地方自治体の制度活用での留意点や、サービス設計時の検討項目提言などアドバイス業務が主体だったが、現在では自治体側の運用フロー可視化・資料化や現場でのヒアリングなどその活躍は多岐にわたる。現場でのI氏の姿を安藤氏はこう振り返る。

「たとえば自治体に提案する際、サービスを客観視し“自治体側にどんなメリットが考えられるか”など提供価値の精査についても相談しています。私たちでは気づかない相手方の視点に立ってのアプローチは大きなブレイクスルーになりました」

“ブレイクスルー”という言葉に、遠藤氏もうなずく。

「これは大きかったですね。ある時、教育機関側から自治体側へ掛け合った際に先方の反応が芳しくないことがあって…。正直、結構ショックだったんですが、I氏に相談したところ、自分たちの視点からではなく、『自治体側から見るとこのサービスの価値はここにあるのでは』とアドバイスしてくれました。自治体での勤務経験があるIさんだからこそリアリティや説得力がありましたね」

教育機関を通じて地域活性につながる仕組みとしてこのサービスを伝えれば、たとえば自治体が移住促進をPRする際にも、この仕組みを通じて効果的にターゲットへアピールできるようになる。あらかじめ自治体側のねらいをおさえ提案できるようになったことで、自治体へのプレゼンにも自信を持って臨めるようになった。

「自分自身が成功のカギを握る」――そんな意志さえ感じる、“仲間”としての存在感

そんなI氏の活躍が実を結び始めている。当初の予定どおりサービスローンチに向け進捗させながらも 、その介在によって想像以上に各教育機関との関係が深まった結果、キーマンとなる担当者自らが積極的に関係各所へ掛け合ってくれるようになった。

また対外面での関係促進だけでなく、I氏はSCSK社内にも刺激をもたらしている。

「課題解決のため、外部知見をスポット利用するだけでなく“プロジェクトメンバーとして専門家を招く”という選択肢をきちんと持てるようになったのは大きいですね。この試みは課内でも共有しているため、組織全体で人材活用の選択肢を持てるようになりました」

組織への波及効果を実感する安藤氏。さらにI氏との成功体験を他部署にも紹介するなど、少しずつ新たな“選択肢”が社内浸透し始めている。
そんな人材活用の発信源も担うこのプロジェクトチームが目指す、次なるビジョンとは。最後に遠藤氏へ伺った。

「今後も積極的な新規事業立ち上げに注力していきたいですね。私たちはIT企業です。ITツール単体では機能させられず、必ず“誰かと一緒”に協働し、社会実装していく必要があります。
そこで大事にしたいのが、その“誰か”に共感してもらうため、相手の立場や考え方に触れ、寄り添い、理解すること。
そういう意味でも、私たちの思いを一方的に伝えるのではなく、Iさんのように客観的に壁打ちしてもらいながら、プロジェクト成功に向け伴走してくれる存在はとても重要です。もし出会えていなかったら、このプロジェクトはどうなっていたことか…。
Iさんからは、単に“知見を求められている”という認識ではなく、“自分が成功のカギを握っている”という意志が感じられ、それがとても頼もしいですね」

ひとつでも多く、まだ見ぬ誰かと共感しあいながら、新たな事業を社会に届けていく。
その架け橋役として、これからもI氏の活躍はつづいていく。

企業名
SCSK株式会社
設立
1969年10月
従業員
15,328名(2023年3月31日現在 連結)
売上
445,912百万円(2023年3月期 連結)
事業内容
・産業事業グループ
・金融事業グループ
・ソリューション事業グループ
・プロダクト・サービス事業グループ
・モビリティ事業グループ
・ビジネスデザイングループ
(2023年4月時点)

担当プロ人材より

SCSK様は地方自治体の制度の新たなサービス構築に取り組んでおられます。既存のサービスとは大きく異なるビジネスモデルであり、地域の宝とも言える「教育機関振興」を中核に据えた全く新しいアプローチを模索しています。
本プロジェクトは地方自治体が事業主体となりますが、地方自治体の政策決定プロセスや課題認識、判断基準等は民間企業とは異なる部分が多いため、この点がプロジェクト進行に当たっての大きな課題となっていました。
私としては、自治体での経験をもとに分かりやすい言葉で伝えるとともに、人脈を生かしたヒアリングの設定、資料の作成などの支援をさせていただいています。ゼロからのサービス構築で課題もたくさんありますが、地方創生の趣旨に沿った挑戦的な取組みですので、今後も全力でサポートしていきたいと考えています。

登録プロ人材 I氏(50代) 地方自治体(政令指定都市)で国際ビジネス支援や地方創生(移住促進、都市ブランド戦略等)などを経験した後、2019年に地方自治体及び中小企業のマーケティングを支援する一般社団法人を設立。 同時に社会保険労務士・行政書士事務所を開設し、地方の活性化を目的に各地の地方自治体、中小企業の事業支援を行っている。

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