サービス導入事例

三井化学株式会社

売上:
1000億円以上
業種:
化学

アナリティクス、研究開発、品質

専門性の高い知見を得て、
マテリアルズ・インフォマティクスを活用した研究開発を本格化

研究開発本部
生産技術研究所
  • MI開発推進室長 岩壁 幸市 氏
  • 主任研究員先端解析グループ 前川 真太朗 氏
  • BEFORE導入前の経営課題

    機械学習や画像解析を活用した研究開発の効率化・スピード化を目指したが、社内の知見が限られ、プロジェクトを進める上で多くの課題があった

  • AFTER導入による成果

    豊富な知見と経験を有する2名の専門家のサポートで課題をクリア。研究開発現場へのMI導入への準備が整った

進化が著しいAI関連技術をキャッチアップする難しさ

近年、機械学習やビッグデータ解析などの情報処理技術を材料開発に応用する「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)」が注目を集めている。効率的な材料探索により、開発期間の大幅な短縮や省コスト化が図れるほか、経験や勘ではたどり着けない未知の素材の発見につながる可能性も期待される新手法だ。業界大手の三井化学株式会社でも、2018年秋にMI開発推進室を立ち上げ、研究開発現場へのMI解析技術の導入に取り組んできた。

室長を務める岩壁幸市氏は当時の課題について「MIは確立された方法論がまだなく、最新情報を広く収集する必要がありました。しかし、進化の著しいAI関連の先端技術をキャッチアップすることは、部署の限られた人員ではきわめて難しく、この分野に通じた専門家の知見を活用することが、目標への最短かつ着実なルートだと考えました」と振り返る。

こうしたMI開発推進の動きとは別に、社内では同時期に、画像解析などを用いた生産現場の最適化についても検討が進んでいた。
こちらは、開発自体は進展していたものの、実際に現場で使いやすいシステムに仕上げるまでにはまだ障壁が多く残る状況だったという。そこで同社は今回、「MI開発の推進」と「画像解析のシステム化」の両プロジェクトにおいて、i-commonを通じて外部専門家の活用を選択。AI導入支援でそれぞれ多数の実績を持つデータサイエンスの専門家K氏、M氏の2名をアドバイザーに迎え、プロジェクトが始動した。

K氏は30代、M氏は20代半ばながらも経験豊富で、この点について岩壁氏「若い方のほうが最新の情報を先取りされていて、発想も柔らく、当社に新風を吹き込んでくれるのではという期待もありました」
と語り、若さは懸念材料ではなく、むしろプラスのポイントだったと明かす。

AI活用への理解も現場に浸透

専門家2名は得意分野を発揮し、K氏は主に画像解析のシステム化に関して、M氏はMI解析に用いるアルゴリズムなどに関して、同社の現状の問題点を把握した上でアドバイスを実施。岩壁氏はそれぞれの専門家とディスカッションを重ねるなかで、ビジネスライクなやりとりではなく、「課題を解決したい」という熱意が伝わってきたことも印象的だったという。
「こちらから投げかけた質問や課題に対して、次のミーティング時に『実際にコードを書いて試してみました』と示してくださることもあり、知的探求心の旺盛さや仕事の素早さに感嘆しました」と語る。

画像解析のシステム化については、要件整理や検証などを経て現場への実装へと至り、すでに活用事例も複数生まれている。
専門家の参画以前から、社内でシステム化の方法を模索してきた先端解析グループの前川真太朗氏は
「過去に、自分でプログラムを組んだ試作品を現場でテストしてもらったことがあるのですが、『これではまったく使えない』という反応で、行き詰まりを感じていました。それが今回、専門家のお二人から経験に裏打ちされた的確な助言をいただき、自分たちでは解決できずにいた複数の課題をクリアすることができました。何より、現場の人たちが喜んでくれていることがうれしく、開発メンバーのモチベーションにつながっています」と語る。今後は画像解析の適用の幅をさらに広げていく予定だ。

機械学習やビッグデータ解析についても、専門家からの助言を得て社内に知見が蓄積され、現時点でMI解析を用いた研究開発案件も複数進行中だ。従来の開発手法では、実験を繰り返しても検証できるのは数十パターンにとどまっていたのが、MI解析を活用することで数百万もの組み合わせを検討・試行することが可能に。現場の従業員からも、開発の効率化・スピード化に結び付いているとの声が多く挙がり、岩壁氏らは確かな手応えを感じているという。

専門家を介して最新情報に広くアクセス可能に

データサイエンスの領域で外部の専門家を活用する利点について、岩壁氏は課題解決への最短ルートを見つけられることに加えて、最新情報に幅広く触れられる点も意義が大きいと指摘する。
「新たな技術の登場によって半年で状況が一変するほどに進化が激しく、また、高度な専門性を持つ人材の数も限られる現状から、外部のスペシャリストの力を借りる選択はきわめて合理的だと思います。お二方とも、われわれが普段あまり触れる機会のない多様なソースから情報を収集し、『最新のコンペティションでこんなディスカッションがありました』『こんな研究論文が発表されました』と共有いただけたのも非常にありがたく感じました」と振り返る。

専門家と連携してプロジェクトを進める上でのポイントとして、岩壁氏は「すべてを専門家に丸投げするのではなく、企業側も一定の素養を持つ人材を担当者に据える必要があると感じます」と指摘。前川氏もこれに同意し、あらかじめ自社の課題をきちんと把握する重要性を強調する。

「私自身も何度か『プロならこんなこともできるのでは』という漠然とした発想で問いを投げかけてしまい、それでは建設的な議論に発展しにくいと学びました。現状、何ができていて、何ができていないのか。中でもボトルネックとなっている課題は何で、それをどう解決したいのか。それらをできるだけ明確にした上で相談することが大切だと思います」と前川氏は経験からアドバイスする。

今後、MI解析による成果や成功例の社内共有も進めながら、将来的には全ての製品開発にMI解析を適用することを目指している。目標の達成に向けて、この先も、必要なタイミングで必要な知見をi-commonを通して外部から積極的に取り入れていく考えだ。

企業名
三井化学株式会社
設立
1955年7月(創立1997年10月)
従業員
17,743名(連結 2019年3月現在)
売上
125,298百万円
事業内容
モビリティ事業、ヘルスケア事業、フード&パッケージング事業、基盤素材事業

担当顧問より

マテリアルズ・インフォマティクスを活用した研究開発における画像解析と、MI分野の転移学習事例の調査についてご支援させていただきました。画像解析について、当初は物体検出システムのパフォーマンス向上をテーマの一つとしてご依頼いただいておりましたが、精度・計算時間の両面で性能が良い別システムをご提案させていただきました。また、MIの転移学習事例については、事前準備として当方のネットワークから専門家を招聘し、三井化学様専用のチーム体制を構築いたしました。お打ち合わせではMI領域に限定せず、転移学習の有用事例や可能性、時系列計測データの取り扱いについての弊社見解、最新の動向はもちろん、国内研究機関の取り組みといったトピックスもご提供いたしました。当方は顧問の立場としてジョインしましたが、三井化学様のチームの一員という気持ちで、使命感を持って取り組ませていただけましたので、大変有難く思っております。

登録顧問 K氏(30代) 金融業界の大手企業でファンドマネジメント業務やビッグデータ解析による株式・債券投資業務などを経験した後、情報・通信・インターネットの大手企業でBIエンジニアとして各システムの構築を担う。2015年に独立し会社を設立。VR/AR、AI、IoT、ブロックチェーンなどの先端技術を駆使した開発を強みに、ITエンジニアと経営の両軸の考え方で複数の企業を支援し、活躍している。

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