サービス導入事例

キッコーマンこころダイニング株式会社

売上:
その他(非上場・非公開)
業種:
小売

新規事業

プロジェクトの進捗に合わせ複数の専門家をタイムリーに活用。
新規事業が軌道に

代表取締役社長
  • 茶谷 良和 氏
  • BEFORE導入前の経営課題

    新規事業としてアンテナショップやネット通販による食品直販事業を立ち上げることになったが、社内にノウハ ウが不足していた

  • AFTER導入による成果

    複数名の専門家を活用して店舗開発と商品開発を進め、オープンしたアンテナショップが話題に。ネット通販もスタートした

ショップ開業に向け必須だった、現場視点でのサポート

2018年7月に吉祥寺にオープンした「発酵のある暮らし こころダイニング吉祥寺店」。キッコーマングループのキッコーマンこころダイニング株式会社が運営するアンテナショップで、“発酵”をコンセプトにしたオリジナルの調味料や冷凍そうざいを揃え、話題を集めている。しょうゆのトップブランドとして歴史を誇るキッコーマン社にとって、新たなチャレンジとなるこの直販事業の企画が立ち上がったのは2016年のことだ。

企画発案者で、現在はキッコーマンこころダイニング株式会社の代表取締役社長を務める茶谷良和氏は、新規事業プロジェクトが始動した当時をこう振り返る。「今回テーマに掲げたのは、発酵の魅力が詰まった商品やサービスを、アンテナショップや通信販売を通してお客さまに直接販売することでした。しかしながら、工場内の売店を除くと、ショップの立ち上げは社内でも前例がなく、店舗の物件をどう探せばいいのか、具体的にどんな商品にするべきか、あらゆることが手探りの状態。外部のプロフェッショナルからのサポートが必要不可欠でした」

アンテナショップの出店に際し、考えられる手段の1つは広告代理店の利用だ。しかし、そうすると最初から非常に大掛かりになってしまうため、それ以外の方法で費用を抑えたスモールスタートを目指していたという。また、今回は事業戦略についての助言よりも、物件の選定や内装、店舗運営の企画といった、現場視点での実務的なアドバイスを必要としたため、コンサルティング企業の利用も最初から想定になかった。これらの希望条件を満たすものとして茶谷氏が選択したのがHiPro Bizのサービスだ。HiPro Bizを通して、企業アンテナショップを数多く手掛けてきたN氏と、小売店舗の開発実績が豊富なM氏の2名が参画。2016年7月よりショップ開業に向けたプロジェクトが本格的に動き出した。

商品開発、ECサイト構築にもそれぞれ専門家を活用

以降は月2~3回、専門家2名が同席する形でプロジェクトの定例ミーティングを重ね、コンセプトやターゲットの設定、出店場所の絞り込み、マーケティング戦略の立案などを進めていった。2名の専門家からは、それぞれの経験や視点に基づく意見やアイデアが出され、毎回活発なディスカッションが行われたという。どのような店舗を作りあげ、そこでどんな商品を展開するか、という2つの側面について各専門家のアドバイスを得られたことで、「両方を同時並行的に決めていくことができ、より戦略的に店舗開発を進められた実感があります」と茶谷氏は語る。

準備プロセスで特に熟考を要したのが、出店場所の選定だ。茶谷氏は実際にいろいろな街を歩いて雰囲気を確かめたうえで、「暮らし」に近い商圏であり、ライフスタイルに意識や関心が高い人々が多く住む吉祥寺エリアを選択。駅周辺の4物件に候補を絞り込んだ。「不動産のプロの視点からNさんがそれぞれの物件のメリットとデメリットを的確に指摘してくれたことで、『この物件を選んだ場合はどんな店舗ができるか』を具体的にイメージしながら比較検討できました。とはいえ、決断は非常に難しく、4つの候補物件の前に30分ずつ立って人通りを観察した結果、徒歩でゆったりと街歩きを楽しむ方々が最も多かった現在の場所に決めました」と、茶谷氏は選定までの経緯を明かす。

並行して2016年10月より、プロジェクトの重要要素である冷凍そうざいの開発アドバイザーとして、新たに1名の専門家が参画。商品開発だけにとどまらず、自社工場での生産管理に至るまで、幅広くアドバイスが行われた。競合が多数ひしめく冷凍食品市場に進出するにあたり、この分野で豊富な実務経験を持つ専門家の知見が余さず発揮された形だ。続いて、翌2017年2月からは、新規事業の核となるECサイトの構築で4人目の専門家をアドバイザーとして迎えいれた。アンテナショップ並びにECサイトの開設に向けて、プロジェクトはさらに加速した。

こうして各分野の専門家の知見が集結され、実現したのが、冒頭に紹介したアンテナショップ「こころダイニング」だ。自然光が差す明るい店内空間は、親しみやすい雰囲気とともに、上質な暮らしをイメージさせる洗練感を備えているのが特徴。1階では「しょうゆもろみ」などの調味料を試食しながら購入できる。2階にはレストランを併設し、ランチタイムに加えて夜はワインバーとして営業するほか、定期開催する料理セミナーも好評を博している。

未知の場所を自在に歩くための“案内人”

今回、プロジェクトの局面ごとに必要な専門性を踏まえ、計4名をアドバイザーとして活用した同社。現在も、冷凍食品開発とECサイト構築のプロセスは継続中で、それらを担う2名の専門家とは業務委託契約から直接契約に切り替えたうえで、随時サポートを受けながらブラッシュアップを続けているという。


茶谷氏はHiPro Bizのサービスについて、専門家を「旅先案内人」にたとえて、その良さを語る。「自分たちにノウハウがない分野で新しいことに挑戦するのは、言わば、初めて訪れた右も左もわからない土地を1人で歩くようなもの。そんなときに、地元に詳しい案内人がいれば、見るべきポイントや注意すべきことをしっかり把握したうえで、裏路地の名所まで隈なく訪れることができる、そんな感覚です」と茶谷氏。つまり今回は複数ある“未知の場所”において、それぞれを知り尽くした案内人から的確なアドバイスを得たことで、方向を見失うことなくゴールにたどり着けたと言える。

加えて、自社と専門家との間をつなぐHiPro Bizのコンサルタントの存在も、茶谷氏にとって大きかったという。「最初の時点では、どのような専門家のサポートが必要なのかもわからない状態だったので、こちらの相談内容から課題を整理して、その解決につながる提案してもらえたのは非常に助かりました。契約後も、プロジェクトがスムーズに進むように中立的な立場からのフォローや助言があり、その安心感も、継続してサービスを利用する選択につながりました」と話す。

今後は、アンテナショップで収集した消費者の声やニーズを商品開発に活かしながらラインナップをより充実させ、ゆくゆくは2号店、3号店と、情報発信の場所を広げていくことも構想している。新規事業の立ち上げにおいて、専門家のアドバイスを得ながら入念な準備を重ね、“話題のショップ”として順調なスタートを切ったことは、この先の事業展開への大きな弾みとなりそうだ。

発酵のある暮らし こころダイニング 吉祥店
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-10-5

企業名
キッコーマンこころダイニング株式会社
設立
2017年4月
従業員
27名(2019年5月現在 パート社員含む)
売上
非公開
事業内容
食品の通販、アンテナショップ運営

担当プロ人材より

キッコーマン様のご支援は私にとっても素晴らしい経験になりました。茶谷様に最初にご面談した際に、新規事業としての取組み内容をお聞きし、とても共感したのを今でも鮮明に覚えています。調味料という分野も、私にとっては初めてでしたし、是非プロジェクトに参加したいとHiPro Bizの担当者にもお伝えしました。私のミッションは開発する新商品の顧客体験デザインと、その顧客体験を提供するリアルスペースの具現化でした。
私がご支援させていただく際に大切にしている一つとして現場があります。現場と言っても出店する現場ではなく、モノづくりの現場です。何故ならモノづくりの現場も知らずにその商品の事が理解できるはずがないからです。モノづくりには必ず物語があるんです。その物語をリアルスペースを活用してどう伝えるのか?これが私のミッションになるわけですから。
企業アンテナショップの全体像を企画する際に一番重要なのは、ユーザー目線で体験デザインをする事なんです。ユーザーに体験して欲しい行動導線上にコンテンツ設計しなければなりません。そしてロケーションは、その企業の商品のファンになっていただける方々がいるエリアにコンタクトポイントとして置かなければなりません。
キッコーマンこころダイニング様の企業アンテナショップを吉祥寺で提案したのもこのような様々な視野から検討し決定したわけです。吉祥寺からスタートしたこころダイニングが、いずれ全国展開される姿を見られたらとても幸せです。

登録プロ人材 N氏(50代) アパレル業界を経て、大手広告代理店にてスペースブランディング業務に従事した後、リアルスペースの開発コンサルタントをスタート。短期プロモーションであるポップアップストアの先駆けとなる企業アンテナショップや、常設型のブランディングスペースとしての企業アンテナショップで数々の有名実績があり、現在ではテクノロジーの進化を活用して、リアルとデジタルを融合した新たな顧客体験デザインを設計し企業様の支援を多数手掛けている。

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