VMDとは?VMDの考え方、戦略的に店舗の売上を向上させるには?

マーケティング

2020年03月18日(水)掲載

アパレル業界を中心に成功しているVMDについて説明していきます。VMDの取り入れ方や事例を説明しますので、ぜひ参考にしてください。

VMDとは?~アパレルを例に見る~

VMDとはマーチャンダイジング(商品化計画)をヴィジュアル(視覚的)に行うことです。要するに、売りたい商品を見えやすくして買いやすくすることです。視覚効果で販売スタッフが接客をしなくても、販売に繋がるようにします。

目に見える部分、つまり売り場などを装飾していくのです。書店のPOPなどがこれに当たります。人が関与しなくても、目に見える効果物だけでモノが売れていきます。

書店を例にあげましたが、アパレル業界で既に多くの企業がVMDを取り入れています。マネキンなどがその一例です。ビジュアルでブランドイメージをわかりやすく体言化しており、消費者の購買に繋がっています。また、ディスプレイなどを置いている店舗も多いでしょう。ディスプレイがあると、消費者の目を引くことができ、滞在時間を増加させることができます。最後に、商品そのものが目の前にあり、自由に手に取ることができるのも一種のVMDでしょう。どのような商品かを触って確認できるのは、消費者の購買を促す手っ取り早い方法です。

しかしアパレル業界だけでなく、あらゆる小売業に活用することができます。私自身も、アパレル業界以外でも成功した実績があります。今回の記事では、そちらについて言及していきます。

POINT

・VMDとは、売りたい商品を見えやすくして買いやすくすること。
・アパレル業界で浸透しており、マネキンやディスプレイなどがその一例である。ているがしかし、あらゆる小売業に活用できる。

これまでのVMDの事例と効果

VMDは、アメリカが発祥で、1970年後半に百貨店を中心に取り入れられたと言われています。VMDの考え方が日本に上陸してからは、本来のVMDのとは違った考え方で進めてしまう企業もありました。VMDのV(ヴィジュアル)だけが注目されて、凝ったディスプレイがお客様の目をひくからとディスプレイ合戦になってしまったのです。

確かに間違いではありませんが、MD(マーチャンダイジング)とは商品化計画ですので、単純にディスプレイをするだけでは不足しています。マーチャンダイジング(商品化計画)を良く理解し、適したタイミングで適した商品や適した量を配置していくことが重要です。

単なるディスプレイとVMDとをきちんと分けて考える必要が有ります。

例えば
・商品Aは1000枚
・商品Bは100枚

こちらの商品を100店舗で展開する場合、商品Bは僅か1枚売れたら完売です。商品Bはあくまで撒き餌として、しっかりVMDを組んで商品Aを売って行くことが大切です。

単なるディスプレイとVMDの一番の違いは、企業として販売していきたい奥行きある商品を、V(ヴィジュアル)でわかるように展開して販売することです。

店舗任せにディスプレイをしていると、商品Bが欠品して『売上が取れない…』と店舗から文句が出る場合があります。店舗側にもMDを理解して貰わなければなりません。

また、ディスプレイの良し悪しの判断は難しいです。何故なら、ディスプレイだけでは感性に左右されてしまいます 。感性のVMDは、再現性がありません。強力なカリスマが全店舗を管掌できている間は、感性のディスプレイでもいいのかもしれません。しかし、カリスマが永遠にそのブランドにとどまるかはわかりませんし、企業の経営者として、1人のカリスマに頼り続けることは、企業のリスクとして大きすぎるでしょう。

ではどのようにVMDを進めるべきなのでしょうか。

重要なのは、感性だけではなく数字です。売れている商品、マーケットニーズに合った商品がお客様を惹きつけます。

「雨が降ったら傘が売れる」
コンビニなどでは、突然の雨になるとお店の入口付近に傘が陳列されます。週間天気予報で雨の予測をしておくことも大切なのです。

POINT

・V(ビジュアル)のディスプレイを重視しすぎず、MD(商品化計画)にこそ着目すべき。
・MDは、適したタイミングで適した商品や量を配置することを指す。
・感性でのディスプレイは再現性がないため、商品の売り上げ実績の数字や天気などの事象から売上予測をする。

今求められるデータドリブンなVMDとは?

プロダクトアウトな考え方はしない

説明してきましたようにVMDのベースに有る考えは、MDを基軸に考えるためプロダクトアウトです。ブランド力があるブランドはプロダクトアウトでも問題無いかもしれません。しかし、ブランド力が無いのにプロダクトアウトのVMDを行うと非常に危険です。

数年前にとある会社が9月の気温が30度を超える残暑が厳しい中に、レザーを中心にしたVMDを組みました。
皆様のご想像通りに結果は惨敗です。

今のマーケットは、よほどのブランド力ある限定品でも無ければ先物買いは行いません。では何故に先物買いをしなくなってしまったのでしょうか。

それはECの影響が大きいと考えられます。ブランド名や品番を検索すれば、在庫が検索出てきます。 もちろん、価格の比較も可能です。インポートブランドなら内外価格差まで瞬時にわかります。

ECをライバルに見立てた戦略も必要とされる

これは私の実体験です。ある時、とある百貨店でレジに並んでいました。
私の前の20代と思われるお客様がレジで揉めています。どうやら、洋服のサイズが違ったようでした。慌ててサイズ違いの洋服をスタッフが取りに行ったのですが、その百貨店はストックの場所が遠いところにありました。

待ちきれない若いお客様は、『ネットで買ったからもう良いです』と言って帰って行きました。ライバルは近隣店舗だけでは無いのです。つまり、今までのVMDでディスプレイを変更するだけでは良い結果が出ないということでしょう。

効果に関するデータを集計して分析する

また、家電量販店でもお客様が携帯を片手に価格交渉する光景が当たり前になりました。そこで、今のネット時代に効果があるVMDを具体的に説明します。

わかりやすいのは、 イベントに絡まない商品が急に売れなくなることは、 欠品以外にほとんどないということです。

ですから、昨日まで売れていた商品を新規商品だからと入れ替えてしまっては、売上が下がる可能性があります。

売れている商品はお客様に指示されている証なので、店舗の商品の中で最もお客様を店内に引き込む可能性が高い商品です。

そのため、安易に新規商品と入れ替えるVMDでは無く、データをきちんと確認する必要があります。

アパレル業界 で言えば、気温と売上の推移を見ればわかります。そしてライバル店の動向も必ず確認しなければなりません。隣の店舗で売れている商品は、自店舗でも売れる可能性が高いからです。ここが単なるプロダクトアウトのVMDでは無く、データドリブンVMDとの大きな差です。

POINT

・EC(電子商取引,ネットショップ)の影響を考えたVMDを行う。
・商品の売上実績やライバル店の動向をデータで確認しながら、需要に応じたVMDをする。

坪効率を考えたVMD

ここまでは、どのような商品をメインにVMDを組み立てたら良いのかを説明しました。ここでは何処に商品を配置したら良いかを説明します。

最も大切なのは、自店舗をいくつかに区分けして坪効率を知ることです。当たり前のことですが、店舗にあるストックにも店舗のフロント部分と同じ坪家賃がかかっています。そのため、自店舗の坪効率を向上することが最重要になってきます。

坪効率を向上するには『売れる商品を売れる場所』に配置することが鉄則です。例えば、皆様が新しく路面店のお店を出す時に、同じ家賃であるならば1Fと2Fのどちらを借りますでしょうか。

その答えは、坪売上データや商品売上データを見れば、最適なVMDがわかるはずです。ワンクリックで物が簡単に買える時代ですので、売れる商品はお客様の買いやすく見やすい場所で展開することが大切です。

POINT

・作り手の思いだけを先行させないようにし、プロダクトアウトにならないように気を付ける。
・自店舗をいくつかに区分けして坪効率を知り、向上させることが最も重要。
・売れる商品は、買いやすく見やすい場所で展開することが大切。

データドリブンVMDの実践

データでは最適なVMDが出来ました。しかしこれで完成では有りません。アパレル業界 で言えば気温も重要な要素になるからです。昨年は週間100枚売れコートが気温によって50枚になることがあります。 気温だけではなく、近隣店舗が自社の主力商品を半額で売ってきた場合はどうでしょうか。

本部主導のVMDではこのようにローカルな対応が出来ません。現場と本部が連携してVMDを完成させなければならないのです。

最後にVMDのポイントをまとめます。
先ずは以下を確認してみてください。

・商品計画
・先週は何が売れたか
・先週の売れ筋の在庫があるか
・ライバル店の売れ筋は何か
・昨年の売上実績
・週間天気予報
・昨年の週間天気予報

お店の場所が変わらない限りはかなり有効なデータになります。

このデータを考慮して『売れるアイテムを売れる場所へ』とVMDを組むことで、狙った売上を見込むことができます。データドリブンなVMDを実践することによって、感覚的なディスプレイから、戦略的なVMDへ変革していきましょう。

VMDコンサルタントをお探しなら

VMDで売上を上げていきたいと考える企業が増えていく背景もあり、VMDコンサルタントの導入を考える企業も多いようです。
しかし、VMDコンサルタントを導入することが必ずしも良い結果に結びつくかというと、そうではないところが難しいところです。

一般的にコンサルティング会社は、型に当てはまったマニュアルを共有してくれるにとどまり、自社での運用支援とまでしてくれないケースが多いからです。また、仮に運用支援までしてくれる場合だったとしても、それが必ず結果が出るものとは限りません。多くの会社にあてはまるマニュアルに従って、自社にも支援されているものであり、それが自社にとって相性の良いものかどうかわかりません。

自社にぴったりのVMDを考えるならおすすめなのは、自社専属の経営顧問の採用することです。i-commonのコンサルティングサービスであれば、業界特化型の経営顧問の中かから最も自社に合った経営顧問を探し出し、自社に最適な形で支援してもらうことができます。また、支援の形も、一般的なコンサルティング会社と違い、オーダーメイドです。少しでも、ご興味を持たれた方はぜひお気軽にお問い合わせください。

ライターH.R氏

1992年にアパレル業界大手企業に入社。百貨店営業を3年、新規事業開発を3年、新ブランド開発3年。その後、2002年に独立し起業。コンサルタント業務と実業のハイブリットな企業として創業18年。コンサルティング業務では、アパレル業界の企業だけではなく、幅広い小売業の企業をクライアントとする。

関連コラム

ページTOPへ戻る