ウィズコロナ時代のサプライチェーン・マネジメント(SCM)に重要な3つの要件

経営全般・事業承継

2021年08月11日(水)掲載

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「今、サプライチェーンが悲鳴をあげている」

その原因は労働環境やビジネスモデルの変化だけではありません。

・必要な部品が調達できない
・在庫の補充が間に合わない
・需要予測などの判断が遅れる

そんな金融危機や自然災害の際に見られた局所的な課題が、コロナショックによる世界的な影響をきっかけに、各企業に大きな打撃を与えています。予期せぬパンデミックの長期化によって生産や物流がストップし、事業の縮小や撤退に追い込まれた企業は少なくありません。

ウィズコロナの時代を生き抜くには、コスト競争とバランスを取りながら、サプライチェーン寸断の影響度を適切に把握することが大切です。政府が推奨する生産のマルチ拠点や複数サプライヤーでの代替供給の体制構築も念頭におく必要があるでしょう。

今回は急務となるポイントとして、原材料・部品調達から生産・物流・販売を経て、エンドユーザーの手に渡るまでのサプライチェーン全体の見直し・最適化するためのサプライチェーン・マネジメント(Supply Chain Management)についてご紹介します。

新型コロナウイルスによって甚大な影響を受けたサプライチェーン

新型コロナウイルスによって甚大な影響を受けたサプライチェーン

2020年、新型コロナウイルス感染症は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」の対象となりました。世界各国で業務が停止・鈍化したことに加え、ニーズの急激な変化によって需給バランスが崩壊し、需要予測の難易度は跳ね上がっています。

アジア圏に多くのサプライヤーを抱える日本では、新型コロナウイルスの蔓延によってサプライチェーンに甚大な影響を受けています。需給バランスの激変による在庫の偏在や過剰、迫られる生産調整、国境の移動制限、感染対策をはじめとした追加コストなどが連鎖的に起きたことで、その影響は財務基盤にまで及んでいます。

特に製造業や卸小売業では、工場の稼働率や販売機会が著しく落ちており、事業の継続も危ぶまれる状態です。

海外ではロックダウンが起き、国内では緊急事態宣言が繰り返される現状において、サプライチェーンの見直しは企業が存続していくためにも避けられない道となるでしょう。

SCMが改めて注目される背景

ITの活用に日本企業が取り組むようになった2000年代初頭から一部で構築が進んだSCMですが、その存在が広まるきっかけとなったのは以下の3つのポイントが関係しています。

労働環境の変化

日本は超高齢化社会に突入して以来、慢性的な人手不足に陥っています。減り続ける労働人口に対応するには、各工程の無駄を取り除き、最適化することが求められます。そのために必要なリードタイムの把握や在庫状況を可視化する手段として、SCMが用いられるようになりました。

企業のグローバル化

インターネットの普及によって世界規模での取引が容易になったことから、従来の部分最適や単一企業の努力では限界が出てきました。次第に高速化していくビジネススピードに対応するには、発注元と取引先の協業によるサプライチェーンの全体最適が求められるようになったことが、SCMの注目度を高めました。

ビジネスモデルの変化

ECの登場によって、越境ECで国外のエンドユーザーにまでターゲットを拡大する企業が増えています。特に非接触が重要視されるコロナ渦では、販売と配送が一体化したビジネスモデルの存在は欠かせません。SCMが注目されるのは、こういった新たなビジネスモデルの台頭によって、情報の一元管理の必要性が高まったことも一因といえるでしょう。

また、近年では製造工程や流通経路の透明性を確保するトレーサビリティが話題となり、コンプライアンスやSDGsの観点からもSCMに注目が集まっています。

コロナ時代のサプライチェーンに求められる3つの要件

コロナ以前では、各プロセスで在庫量や滞在時間を最適化することで、エンドユーザーに対して製品の供給をタイムリーに行いつつ、リードタイムの短縮、在庫の縮小、設備稼働率の向上による経営効率を図っていました。

しかし、コロナ時代において脆弱性が問題視された現在では、サプライチェーンの再構築が急務といわれています。ウィズコロナ/アフターコロナといった予測しづらい時代を生き抜くには、あらゆる事態に備え、問題発生時にはスピード感をもって対応し、効率化と省力化を極めながら、サプライチェーン全体のパフォーマンスを上げていくことが重要でしょう。

そのために注力すべき具体的なポイントとしては、次の3つが挙げられます。

サプライチェーンの可視化

まず生産・物流のそれぞれの能力を可視化します。サプライヤーの階層や生産・供給力、生産拠点や製品ごとのリソース、物流拠点の保管能力や在庫状況、リードタイムなどが見えることで、売上・コスト・リスク観点からの非効率や混乱を予測でき、優先順位や判別基準の材料としても役立つでしょう。

オールハザード型のシナリオ策定

サプライチェーンの可視化が進むと、潜在的なリスクをあらゆる角度から想定した、多面的なシナリオプランニングを行うことができます。調達先や生産拠点の分散、部品の共通化、代替流通網や余剰在庫の確保などは、金融危機や自然災害、新型コロナウイルス感染症といった予期せぬ状況下でもビジネスを継続していくためにも重要なポイントです。

オペレーションの高度化

有事への対策を進めながら、変化するビジネスニーズに対応できる環境づくりにも取り組むべきでしょう。自動化やリモート対応によってDXを推進し、工場の非接触化・省人化を推し進めることで、従業員の安全を保ちつつ、ニューノーマル時代に対する柔軟性を身に付けていきましょう。

まとめ

ウィズコロナ/アフターコロナ以降も不確実な時代が続くと予想される中、自社単独でのBCP策定には限界があります。ニューノーマルにおけるサプライチェーンの強化としては、自然災害のような局所的な被害だけではなく、新型コロナウイルスなどの世界中での同時多発的なサプライチェーンの寸断リスクをふくめたBCP策定に取り組む必要があるでしょう。そのためにはサプライチェーン全体を俯瞰し、代替先の確保や生産拠点の分散など、複数事業者間や広域的な視点でのリスク対応が重要となります。既存のサプライチェーンの在り方そのものを見直す可能性も出てくるでしょう。

各社の連携がこれまで以上に求められるウィズコロナ/アフターコロナ時代では、社内の知見・経験だけでBCPを策定するのではなく、専門家の意見を取り入れるのも、サプライチェーン強靭化の1つの手段です。専門的な知識や経験を有する経営パートナーは、大きな力となるでしょう。このような専門家の力を借りたい人におすすめするのがi-commonです。

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