コロナ禍で注目を集める”オンボーディング”とは?メリットや実際の施策の事例を紹介

人事

2020年10月13日(火)掲載

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新型コロナウイルスが拡がる前は、新人の戦力化は集合研修や配属先によるOff-JTなどが取り入れられていたのではないでしょうか。また、新型コロナウイルスが拡がる直前のタイミングでは、ラーニングウエアを使った研修も注目を集めるようになってきていました。

そのような流れのある中で、「新型コロナウイルス」がやってきました。採用手法なども大きく変化が求められる中、実は新人の定着化・戦力化のところで悩ましい問題が発生しているのが現状ではないでしょうか

それは、「今まで通りのリアルな研修ができない」「社内の飲み会ができない」「シスターブラザー制度の密なコミュニケーションも難しい」という具体的なところからも挙げられると思います。 そもそも、ニューノーマルにおける業務フローの組み立てを既存社員同士で喧々諤々行っている最中で、まだルールが決まっていないという会社も多いでしょう。このような中で、どうやって新人に仕事を教えればよいのだろうかということは、 なかなか悩ましい問題ですね。

オンボーディングとは何か?

さて、今回のレポートのテーマは「オンボーディング」です。まだ聞きなれない言葉かもしれません。オンボーディングとは「新しく入った新入社員が早期に戦力化できるように既存社員など組織全体で新入社員をサポートする仕組みづくり」のことを指します。

聞きなれない言葉を覚えていただく必要は特にありませんが、簡潔に言うと、オンボーディングとは「新入社員の定着・戦力化の仕組み」となり、コロナ禍においては、今までのこの定着・戦力化の研修などの仕組みが物理的に成りたたなくなり、どうしたらよいのか悩ましくなったというのが現状ではないでしょうか。

ちなみに、言葉の意味は英語で書くと「On- Boarding」となります。つまり、「飛行機や船乗るという意味」になり、HRの中では造語として使われている言葉です。

POINT

・新人を早期に定着/戦力化するための仕組みづくりが、オンボーディングである。

コロナ禍・ニューノーマルの中で求められるオンボーディング

皆さまは、新型コロナウイルスの影響を受ける前は、新人を定着化・戦力化させるためにどのような取り組みをしてきましたか。例をあげましょう。

・人間関係構築のために、飲み会などを内定者のころから定期的に実施してきた
・例えば、入社後は集合研修を実施し、ビジネスマナー研修や会社のルールを説明してきた
・例えば、ブラザーシスター制度を導入し、密なコミュニケーションをとるようにしてきた

各社ごとに毎年の決まり事として、当たり前に行ってきたと思います。
このような施策を多く実施して、しっかりと研修を行っても、新人の早期離職で頭を抱えてきた人事の方も多かったのではないでしょうか。

では、アフターコロナを見据えたニューノーマルの中にはおいて、定着化・戦力化をどのように考えていくか について考えていきます。ズバリ、コロナだから、ニューノーマルだからと言って「本質は変わらないこと」をまずは理解しましょう。

新人の定着化・戦力化において、大切なことは「Plan-Do-Check」となります。
コロナ禍になって、変わることは「手段」が変わるだけです。この点を間違えてはいけません。では、オンボーディングの「Plan-Do-Check」を考えるときに、 コロナ前後で変化するポイントについて考えてみましょう。

POINT

・コロナ禍でも本質は変わらず、「手段」が変わるだけである。
・新人の定着/戦力化において、重要なことは「Plan-Do-Check」

何よりも大切なオンボーディングの準備

例えば、新卒採用の場合は内定を出す過程も含め、入社するまでの間にいかに人間関係を構築するかがポイントになります。
入社までの間にも人間関係の構築をする機会がいくつかあるという考え方です。
また、最も大切なポイントになるのが、入社日当日です。

入社日を適当に過ごすと、スイッチが切り替わらず、参加意識が低いままとなり、早期退職につながる可能性もあります。では、どのような準備が必要なのかということについてですが、基本的には「相手の立場で考える」ことが必要であると私は考えています。仮にテレワークで入社日もオンライン越しだとしても、考え方は同じです。「相手の立場」で考えるに尽きると思います

当然、新入社員たちは緊張しているでしょう。画面越しではなく、会社で入社式がある場合で考えてみても、例えば、新入社員はこのようなこともわかりません。

・トイレはどこにあるのか?
・どの人が偉いひとなのか?
・そもそも職場の電気のスイッチの場所はどこなのか?

このような状況であることを理解しておくことが大切です。新入社員以外、全員が既に今の職場の日常に慣れています。自分が新入社員の時のことを忘れています。そのため、もう一度相手の立場で思い出すことが大切です

そうすると、中小企業の入社式の恒例イベント、朝礼でまず新入社員の簡単な自己紹介が始まり、続いて、職場全員(20人~30人)が一斉に部署と名前を順番に名乗りだす自己紹介タイムが本当に必要なのかと疑問に思うわけです。そのようなことをされても、新入社員たちは覚えられませんよね。 この経験を皆がしているのであれば、少なくとも役職名とお名前の書いてある座席表を配布することの方が大切であると思います。

オンラインの場合でも発想は同じです。 更に遠隔になるわけですから、自己紹介をweb会議などで行う場合は、例えば、一回で名前を覚えられないことを想定して、レコーディング(録画)を許可しておくことも大切かもしれません。つまり、ポイントは相手の立場になって、お節介を焼く位で丁度よいということです。
それを行って、嫌がる新入社員はいないでしょう。

POINT

・入社するまでの人間関係の構築が大切。
・「相手の立場に立って」物事を考え、入社日当日に会社への「参加意識」を持ってもらう。
・はじめはお節介を焼くくらいが良い。

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オンボーディングの使い方、メリット

続いて、「どのように研修をするの?」という問題になってきます。今まではビジネスマナーなどのリアルな研修をしてきたところになります。こちらはオンライン研修へ移行という結論になります。

ここでオンライン研修に対して否定的になるのではなく、この状況ではオンライン研修以外になかなか選択肢がないので、研修担当者は発想を逆転させることが大切です。オンライン講座にした瞬間に、実際に研修を行っていたころよりも有名講師の研修を安く受けられるチャンスが来たと考えるに限ります。

外部のリアル研修ではなく、オンライン動画で有名講師の動画を新入社員は自宅で見て、その後に、web会議やテレビ会議などを活用し、新入社員同士で議論させ、人事が補足を行うという流れが理想であると思います。 オンラインの良さを活用しつつ、オンラインにない点をオフラインでカバーするイメージです。

POINT

・オンライン研修に対して、否定的になるのではなく、肯定的に発想を逆転させることが大切。
・有名講師の研修を安く受けられる「チャンス」と捉える。
・web会議やテレビ会議などを活用して、新人同士で議論させ、人事が補足を行うという流れが理想的。

実は大切なのは管理体制、実際の事例ではどうか

オンボーディングで何よりも大切なことは管理体制です。オンライン化が進む中において、その重要性は増すことでしょう。
管理というと、例えば、オンライン講座をしっかりと視聴しているかの確認をすることだと考える方もいらっしゃいますが、もちろん、それも行います。このチェックは確実にやらなければいけないマイナス点のチェックです。

もう一つやらなければいけないことは、1on1のマネジメントです。つまり、対話です。実際の接点が少なくなり、オンラインの流れに多少でも移行するとなると、伝わり方や伝えたこと、学習の習熟度が表情などで測りにくくなります。

そう考えると、やはり大切なことは1on1で確認することになってきます。web会議やテレビ会議などを活用することで、移動時間などが省ける分、より多くの新入社員とコミュニケーションが図れるようになります。

POINT

・オンボーディングで最も大切なことは「管理体制」
・講座への取り組み姿勢などマイナス面のチェックだけでなく、1on1で「対話」を行う。
・学習の習熟度が、対面よりわかりにくくなる分、移動時間など省けた時間を利用して、新人とのコミュニケーションを積極的に行う。

結果的に”オンボーディング”を真剣に考えることは企業成長につながる

本稿の最後に、オンボーディングを真剣に考えると企業は成長につながるということを、メッセージとして送らせていただきます。
この理由はとてつもなくシンプルです。早期退職防止・定着・戦力化の仕組みを真剣に考える会社が弱くなる訳がないと私は考えています。
仕組みを自社なりに考え、実践し、独自ノウハウ化させることで、強い組織が必ず作れるようになるでしょう。
ポイントはパッケージ商品ではなく、自分たちの理念・ミッション・ビジョンからしっかりと落とし込んだオリジナルの仕組みや名称の方が効果は高いと思います。

ぜひ、現状のオンボーディングがどうなっているのかという点から整理されてみてはいかがでしょうか。

POINT

・オンボーディングを真剣に考えると、企業の成長に繋がる。
・早期退職防止/定着/戦力化の仕組みを考え、実践し、独自ノウハウを作ると、強い組織が作れるようになる。
・自分たちの理念/ミッション/ビジョンからしっかり落とし込んだオリジナルの仕組みや名称の方が効果が高い。

「オンボーディング」とは、新人を早期に定着・戦力化させる仕組みづくりのことを指し、早期退職防止や強い組織の育成に効果があります。コロナ禍の影響を受け、従来の新人教育ができなくなった今、否定的に物事を捉えるのではなく、改めて「オンボーディング」について考える良い「チャンス」と捉えることが大切です。新人教育において、最も重要な本質「Plan-Do-Check」は変わらないので、新人の立場になって今までとは異なる「手段」でのアプローチが必要です。この手段は、自分たちの理念やミッション、ビジョンからしっかり落とし込んだオリジナルのものが理想的ですが、いきなり一から仕組みを作るのは難しいでしょう。i-commonでは、顧問紹介サービスを行っており、知識と経験が豊富な経営顧問が数多く在籍しています。コロナ禍では、「いかに早く現状に適応し、仕組みを構築できたか」が、後々大きな差となります。仕組みの強固な基礎を早期に作成するには、プロフェッショナルの助力を受けるのが一番の近道です。経営顧問の助力で、ワンランク上の経営を目指しましょう。

執筆者K.S氏

採用定着支援の専門家である採用定着士®の育成機関である一般社団法人採用定着支援協会を運営。開講から1年6か月で北海道から沖縄まで全国に社労士を中心に200名以上が受講。「お金をかけず定着する人材を採用する」(労働新聞社)など著書多数。

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