PoCとは?新規事業のPoCの進め方と開発計画における注意点とは

新規事業

2020年02月27日(木)掲載

「PoC」とは、「Proof of Concept」の略です。翻訳すると、「概念の実証」で、アイデアや概念を実現できるかどうか試行することを指します。
今回は、PoCとは何か、から、新規事業を立ち上げる場合のPoCの進め方について、解説していきます。

PoCとは

PoCというと、IT企業やベンチャー企業など、ある程度先進的な企業・業界が取り組むことに考える人が多いですが、その限りではありません。簡単なデモンストレーションなどを行うことをPoCと言います。

PoCの意味・定義

新たなアイデアが出た際や構想が生まれた際に、机上で話し合いを進めるのではなく、実際に現実世界で試行し、その効果や結果を出すことがPoCです。近年では、IT業界のシステムリリースなどで使用される例が多くなってきていますが、そうではなく、以前はどの業界にもあったものでした。医療においての動物実験や臨床実験、メーカーにおいての試食販売や先行販売など、これらも、アイデアを現実世界で実験し検証している、いわゆるPoCなのです。テストマーケティングとも言うことができます。

POINT

・PoCとは、アイデアや構想状態のものを現実世界でデモンストレーションすることである。
・いわゆる、テストマーケティングのことである。

人気の関連コラムを読む

新規事業でヘルスケアビジネスへ(医療・健康領域)参入~陥りやすい5つの失敗と課題の例~

新規事業立上げの流れとPoCの役立て方

新規事業を開発する際は、まずは「どのような課題を解決するか」のビジョン、つまり見通しを決めることが大切です。

その後、その課題に対してマーケットのサイズがどれほどあるのか、さらには、その課題の解決にどれほどの期間とコストを投入すればよいのか、ということを定量的に推定していきます。

これらが明確になることで、大まかな IRR (Internal Rate of Return:内部収益率)の算出が可能です。IRRは、投資案件における重要な評価指標のひとつです。投資金額の現在価値と将来的な収益額の現在価値が等しくなる「利率」または「割引率」のことを指します。

基本的に、IRRが資金調達コストを上回れば投資すべき、下回れば投資すべきではないとされています。

こうした投資に案件における収益性を判断する場合、IRRの他にNPV(Net Present Value:正味現在価値)が存在します。こちらも知っておくと、より理解しやすいです。

NPVとは、投資金額に対して案件がどの程度の価値を持っているのかを表した評価指標のひとつです。基本的に、NPVがプラスになる場合、プロジェクトに投資すべきといわれています。

プロジェクトが複数で投資金額に上限があればIRRを、プロジェクトが単数で投資金額に上限がないならNPVを重視しましょう。さて話を戻します。

つまりIRRによって、この事業を実際にやるべきか、この事業は投資効果に見合うのか、をより客観的に判断できるというわけです。

ただし、IRRを算出してすぐに投資効果が見合わない、と判断するのは時期尚早といえます。

マーケット推定〜コスト積算までの流れ、つまりフローを何度も繰り返し、IRRの精度を上げつつ、柔軟な判断を行うことが肝心です。

具体的な弊社の取り組みとしては、上記フローの段階から「少額のコストを投入することで、事業の解像度を高めていくステップ」=「新しい技術の用途を確認する手法であるPoC(Proof of Concept:概念実証)」と定義し、PoCをスピーディに何度も何度も繰り返すことで、事業の確度を短期間で検証できる仕組みを確立しています。

PoCはPDCAサイクルに近しいものがある

一般的な用語で言い換えますと、「PDCA(Plan:計画、Do:実行、Check:評価、Action:改善)を回す」に当てはまります。PDCAは、アメリカの統計学者であるウィリアム・エドワーズ・デミング博士が第二次世界大戦後に日本で提唱した理論です。

「 P(Plan:計画)」では、目標を設定し計画を立てます。ここでは課題への解決策を考え、情報収集などを行っていきます。

「 D(Do:実行)」は、実際に立てた計画を実行する段階です。ここではスモールスタートで実行しながら、計画で導き出した方法を試していきます。

「C(Check:評価)」では、計画に沿って実行できていたか評価します。計画と実行を比較・分析し、評価を行うフェーズです。

「A(Action:改善)」では、計画の結果を検討し、業務改善を行います。

PDCAは、「 P(Plan:計画)」「 D(Do:実行)」「C(Check:評価)」「A(Action:改善)」を素早く行い、継続的に業務を改善する手法です。PoCは、そのPDCAのうち、「 P(Plan:計画)」と「 D(Do:実行)」の両方にまたがる業務ということができます。

POINT

・新規事業立案においては、PoCをスピーディーに行っていくことが大事であり、PDCAのサイクルを回していく必要がある。

新規事業におけるPoCの必要性

PoCとは、先述したように、Proof of Conceptの略で、「新しい技術を使ってどんなことができるかを確認するための手法」とされています。

システム開発が成功する確度が低いにも関わらず、PoCを考えずに、多大な開発費用を投資して巨大なシステムを開発するプロジェクトはリスクが高いです。

そのため、コアとなる技術の実現可能性を確かめるためにR&D(Research&Development:研究開発)のような要素が含まれているプロジェクトが良い投資、といえるでしょう。企業が継続的に成長するためには、R&Dが大きな役割を果たします。

基本的に、企業は市場のニーズを把握しながら収益を上げていくものです。ただし、景気や環境により、こうした市場のニーズは常に変化します。この際、R&Dに力を入れることで、将来的なニーズに合う商品やサービスの開発が可能です。企業にとって、R&Dは直接的な利益にはなりませんが、将来的な利益を考えるのであれば欠かせないものとなります。

つまり、R&D的な要素が含まれているプロジェクトは、それだけ将来性の高いものといえるのです。

この筋で考えると、素早く改善と改修を繰り返すアジャイルによる連続的な開発と、似通っているものということがわかります。アジャイル開発自体は、システムにおける PDCAサイクルを回すことに似ていて、少しずつシステムを組み上げて、最終的に帳尻を合わせる方法です。

このような特徴から、PoCには新規の技術開発のハードルが高いと言えます。言い換えますとR&Dの要素が強い局面において効果を発揮するといえます。

これを社会規模で考えると、スタートアップ企業いわゆる新興企業がピボット(方向転換や路線変更)を繰り返し、適切な課題にたどり着くという側面に非常によく似ています。

PoCで失敗するということは、その方向に大きな開発費を注ぎ込まずに済んだということですので、それ自体が悪い訳ではありません。

成功すると大きなマーケットが見込める範囲で、少額なPoC を何度も繰り返し実現性の高いシステムを組み上げるきっかけとする、これが PoC のあるべき姿であると考えます。

POINT

・PoCには新規の技術開発のハードルが高く、R&Dの要素が強い局面において効果を発揮する。

PoCを進めるためのポイント

PoCを進める上でのポイントは、「解像度を高めるための方法」を認識することだと思います。

そのため、PoC はR&Dのような要素が多くなりますので、明確なアウトプットを求めるというよりは、確実性が低かったかどうかを評価の対象とすべきだと考えます。

PoCを行った結果、解像度が上がり、取り組むべきではないという判断が明確になったこと自体が大きな成果だといえます。

PoCは「筋が悪いシステム開発」と「良いシステム開発」を見抜くためのツールです。そのためPoCは、カジュアルに何度も繰り返すという前提を考えるべきでしょう。

そのように考えると、高額であったり、長期間のPoCを実施したりすることは少々ナンセンスだということになってきます。あくまで PoC は、解像度を上げるため簡単にシンプルに行うべきもので、複雑なことをやるものではありません。

もちろん、システム間の連携がうまくできるかを調べるPoCもあるとは思いますが、その辺りはその PoC が一体どこに注目しているのかを明確にした上で行うべきということになります。

POINT

・PoCとは、「解像度を高めるための方法」であることを認識しておく。
・このため、複雑に行いすぎる必要はなく、解像度をあげるためにシンプルに行って良い。

新規事業におけるPoCの必要性

先述しましたが、PoCは、解像度をあげるために行う施策です。このため、新規事業の開発のための考え方ではありながらも、方向転換や路線変更に近しい意味合いがあり、PDCAサイクルを回すという意味で捉えて問題ないと言えます。そして、今、多くの企業が、AI導入に向けて動き出し、結果の低迷に課題を感じているように思います。

一番多い課題は、全体の計画が粗いことでしょう。例えば、決まった予算の中でAI導入をしたいのであれば、全体プロセスを、「①AIを導入し便利にしたいものを挙げる」→「②予算組みと社内リソース、外部リソースを整理する」→「③開発し型を完成させる」→「④PoC」→「⑤リリース」で行う必要があります。
この際、④のフェーズから③に戻ることはあっても、②に戻ってしまってはいけません。しかし、AIの導入に関して不明点が多いあまり、計画からの見直しを不必要に行っていたり、計画変更を過度に行っていたりする例が多いように感じます。

AI導入においては、②のフェーズで専門人材と共にきちんとした計画と見積もりを立てる、④の段階でPoCのみに特化して開発を続けることが重要です。

POINT

・PoCを行う前の計画が粗く失敗に陥ってしまうケースが多い。
・専門人材や知見あるアドバイザーをつけるなどの工夫をすることが必要である。

PoCの進め方や実証検証でお困りなら

PoCの進め方でお悩みなら、i-commonの利用をご検討ください。i-commonには、プロの経営人材や業界に通じた専門人材が多数在籍しており、各企業にあったアドバイスが可能です。

アドバイザーや経営顧問など、自社が希望する形でスポットで依頼でき、必要な際に必要なだけ活用できます。AI導入でお困りの方や自社の新規事業開発が低迷してしまっている方などは外部顧問の利用で、自社の前進が見えてくるでしょう。詳しくは下記の記事なども参考にしてください。

人気の関連コラムを読む

顧問活用のメリットや有用性|社員雇用やコンサルティング会社活用との違い

ライターH.K氏

投資顧問会社に入社し、アナリストやファンドマネジャーとして活躍。その後、ミドルベンチャーに転職し、エンジニアとして高い実績を残す。独立後、ベンチャー企業に取締役として参画した後、会社を設立。金融×ARのベンチャー企業設立後、売却。現在2社の代表を務める。

関連コラム

ページTOPへ戻る