人事データの活用~メリットと導入ポイントを紹介~

人事

2019年07月18日(木)掲載

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人事を取り巻く現状

人事とITを融合する「HRテクノロジー」の進化が加速し、企業の注目を集める領域になっています。

AI(人工知能)やピープルアナリティクス、RPAなど、最先端のIT関連技術を活用することで、採用や労務管理といった手間のかかる人事の仕事を効率化し、人事担当者の負担を軽減できることが期待されてい ます。また、その導入効果は業務効率化の枠に留まらず、人事の新たな価値創出の可能性の大きさが示唆されてい ます。

このようなHRテクノロジーの急速な普及を背景に、人事データ活用が注目されており、今後人事データの活用領域の拡大が予想されます。これは、働く人や働き方、仕事内容の多様化が進む中、様々な人事施策を客観的に検証する必要性が生じていることとも関係しています。従来、計画と実行のみに終わることの多かった人事施策について、データ分析結果のエビデンスを元にPDCAを回しながら問題の把握や改善を行う必要があるためです。

経営者や人事部はHRテクノロジーを駆使し、社内のあらゆる人事データを分析し、いかに社員のモチベーションや組織の生産性向上を高めていくかが問われているのではないでしょうか。

HRテクノロジー活用によって実現できること

1.業務生産性の向上
BIツール(Business Intelligence tools )や、RPA(Robotic Process Automation)を活用することで、従来の人事データ管理、人事運用工数の削減が期待できます。

BIツールでは各種人事基本情報やアンケートデータ等を収集・分析し、分かりやすく可視化することによって、迅速な意思決定を助けることができます。
またRPAは、一定のルールに基づき人が実施する作業を代行することができ、多様な業務への応用が利く点が特徴です。登録作業や承認手続きなど、ルール化が可能な業務に対して、今後RPAが一層普及していく可能性が高いでしょう。

2.情報の可視化
従来より、従業員の状況把握のために個人属性や入社後履歴、報酬等のデータ整備・管理が行われてきました。前述したBIツールなどを活用してこれらのデータを可視化することで、自社の現状がどうなっているのか、人事課題はどこにあるのか、実態を明確に把握することや仮説を導き出すことが可能になります。
また、近年では行動や感情など、よりリアルタイムなデータを取得する動きも見ることができるようになっています。

人の動きを測るサービスも増加傾向にあり、音声情報の解析から感情を可視化するシステムや眼の動きの測定から集中力の程度を測るデバイスも登場しています。

3.可能性の予測

ピープルアナリティクス(多様なデータを分析し、人事課題解決を行う手法)の一手段として、既存のデータから統計モデルを構築し、将来の可能性を予測するような分析を行うこともできます。

大量データを簡易に分析できるツールが登場し、各項目の関係を明らかにする統計分析やデータを自動的に分類する分析手法を実行することが可能になっています。 実行していくなかで、詳細に分析を行うと当初予想していなかった結果や意外な事実にたどり着くこともあります。

このように、HRテクノロジーが人事業務にもたらすインパクトは大きく、人事の提供価値の在り方が大きく変わっていくことも予測されます。

今後一人ひとりの考えが多様化し、キャリアも個別化されていく中、より個にフォーカスした人事施策を打っていく必要が求められます。そのための一つの手段としてデータ活用があり、組織や個人のデータを可視化、分析することで、社員の表出していない可能性を見出し、社員、経営の意思決定に寄与していくことを可能にします。

HRデータ活用推進のポイント

ポイント1.データ管理の仕組み整備
データ活用を推進していくために重要なのは、適切にデータを収集・管理し活用できるように整えていく取組みです。

まずは、人事管理システムやタレントマネジメントシステムをデータ蓄積の箱として活用し、正しいデータが蓄積されていく仕組みを作る必要があります。そのために、システムへの登録ルールをシンプルかつ強制力高く設定し、誤りを生まない仕組みを構築していくことや、タレントマネジメントにおける各種リアルタイムに記録することを実行できる仕組みを作り、情報の鮮度を維持していくことが重要になります。

また、既存データを整えることに留まらず、自社独自のデータを創り出すことも、それが独自のアイデアを生み出すきっかけになるという点で有効と言えるでしょう。

ポイント2.目的・仮説の深耕
様々な分析事例を把握し、まず取り組んでみることも必要ですが、留意すべきは仮説や目的を明確にすることです。分析という手段を使って何を明らかにしたいのか、その分析は人事施策の検討や意思決定の支援につながるのか、といった考察をふまえて成果に結びつけていくことが重要です。

今後、分析可能なデータが増大することが予測され、網羅的に分析することが困難になるため、より仮説を見極め、それに基づくデータを収集し、分析手段を設計していく必要があります。

ポイント3.現場の巻き込み
前述した目的や仮説を明確にするためには、現場の問題意識を捉え、時には自ら現場の実態を把握する動きも必要です。

現場を巻き込み小さな実証実験を実行できることで、PDCAを高速に回すことができ、期間やコストを抑えて効果検証を実施することができます。その過程で仮説を深耕し、分析結果の解釈を議論することでより施策につながる分析の実行を可能にします。

■HRデータ活用促進において自社内に専門家を置く重要性

人事データの活用をもって新たな価値を創出していくにあたり、人事担当個人がすべての役割を担うことは難しいでしょう。実際、人事部門のデータアナリストを置く企業も増加傾向にあり、複数人の体制で必要なケイパビリティを補完することがポイントとなります。

特にデータ分析能力においては、社内外の専門家とのネットワークを持つなど、補完する手段を備えておくことで技術的なハードルのクリアが実現できます。

人事の領域においても新しいIT関連技術の活用が求められていますが、社内外問わず、多様なノウハウを活用することによって、人事の新たな価値創出ができるでしょう。

執筆者R.Y氏

2008年に大手人材に新卒で入社。入社から現在まで、一貫して人事領域を担当。2015年4月に人事情報室を立ち上げ、人事におけるIT・データ活用に従事。2018年4月にタレントマネジメント企画室を新設し、グループ全体の人事戦略に従事、現在に至る。

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