新規事業が成功する会社の6つの共通点

新規事業

2019年06月06日(木)掲載

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国内人口の減少や少子高齢化による国内需要の変容、また、グローバル化による国際競争の激化等、企業を取り巻く市場環境の変化は激しくなっています。

既存の製品・サービスに対する需要は時間とともに変化し、中には市場から淘汰される製品・サービスも存在します。加えて、技術革新による製品ライフサイクルの短縮化や情報技術の発展による消費者行動の変化等が起こっており、特にIoT、ビッグデータ、AI(人工知能)、ロボット等といった新技術が発展しつつあり、これにより産業構造が急激に変化する可能性があるといえるでしょう。

このような状況の中で、企業が継続して成長していくためには、既存の事業にこだわらず、時代の変化に対応し、積極的に新市場の開拓や新たな事業の展開に取り組んでいくことが重要です。

今回はi-commonに登録をする新規事業の専門家に、長い会社員人生や経営陣の人生、そしてコンサルタントとして感じる「新規事業の立上げが成功する会社の共通点」を大事な順で語っていただきました。

1. プロジェクトマネージャーの人材の資質とこれを活かす組織

技術者と事業推進者の連携という言葉に置き換えられるかもしれません。もう少し言えば、あまり技術に詳しいプロジェクトマネージャーではなく、事業を俯瞰できる目を持ち「技術も理解できる」マネージャーの方がうまく機能するようです。むしろ、技術者が黒子としてしっかりマネージャーを支えるという役割分担になっていると理想的です。

筆者もプロジェクトマネージャーを務めたことがありますが、特に若いプロジェクトマネージャーの場合、活かすも殺すも上司次第と言えます。上司のプロジェクトマネージャーを育てる不退転の決意がみえると、若いプロジェクトマネージャーは困難なプロジェクトに果敢に挑戦できるのです。世の中「モチベーション流行り」ですが、「仕事を託されている」という気持ちと「最後には上司が助けてくれる」という安心感のセットは大変重要ではないでしょうか。

2. 明確なトップの意思と速やかな意思決定。引き際は速やかに

企業の大小はあまり関係ありません。大きな企業でもトップの意志が明確で、それがあっという間に伝わる企業があります。現場が完全に一枚岩であることなど、美しいドラマの出来事のようなケースは少ないかもしれませんが、トップの強い意志、そして決意が、論理的に従業員に下りてくるだけで迫力は違うものです。もっと重要なことは危機感の共有と明確な未来の指針です。未来の指針はあまりくどく語るべきものではありませんが、従業員の過半数が「なるほど」と思えるようなエビデンスがついてくるとベストです。

さらに重要なことは、トップが「これは当社には合わない」と思った時、将来性がない事業からは速やかに引くことです。四の五の言わずに引ける経営者の下で、新たな夢の実現に再度動ける従業員は幸福だと思います。ただし、ここで注意しなければならないのは、「選択と集中」を間違えると会社の将来を潰します。もし、10年後に環境が変わり、新たなイノベーションのもとで蘇りそうな種があった場合は、その種を細々とでもよいので絶対に絶やさないことが重要です。しかし、それ以外は冷酷に切り捨てることも大事です。切るか残すかの判断は経営者の資質に依存します。

3. 常に顧客志向で物事を発想する姿勢

基本的にビジネスはヒトが相手です。ヒトには意志もあり、時に嘘もつきますが、そんなヒトが地球上で生きていることの大切さを知ることこそ、顧客ニーズを知ることの前提条件です。とかく技術志向に過ぎる人や企業は、モノ(シーズ)を中心に何もかも考えてしまいます。「モノが出来上がって」からアプリケーションを考える癖のある企業は、素材企業に限らずあらゆる日本企業で本当に多いですが、製造業のビジネスでこの「シーズ先行発想」は鬼門です。ヒトや社会のどこに課題があり、それをどういう方向に持っていくと、より快適に生きやすく(幸福に)なるかを真摯に考えることに十分な時間をかける企業は、ビジネスで大成功しています。

4. 会議時間は短く、アウトプットを意識した議論をする習慣を

ダラダラと会議をしてしまう企業があります。会議をしていることで「私は仕事をしている素晴らしいビジネスパーソン」と酔いしれてしまうこともありますが、結果的に時間と経費の無駄使いの場合もあるでしょう。

その点、素晴らしい会社の会議は「締まっている」ものです。会議における期待成果が明確であり、成果を出すために皆が努力を惜しまないという会議です。そして、長くても1時間30分で終わります。もちろん、ブレインストーミングの場合は少し異なりますが、それでもワンクールは1時間程度です。

また、会議の期待成果だけではなく、本当は各人の役割分担も明確であるべきです。そして、情報は事前に「簡単なものでよいので」共有されると、発散と収束が効果的になされます。

最近は資料を液晶大画面投影しますが、各人の発言はリアルタイムに可視化され、発言のつながりがリアルタイムに映し出されるとよいですね。残念ながら日本企業でこういうツールを用いて会議をしているところに全く出くわしません。

5. 若手、中堅、年長者がバランスよく配置されたフラットな組織 、柔軟な発想を歓迎する雰囲気

最悪なのは、もういい加減に会社から縁が切れていると思しき高齢の功労者が、いつまでも若手にケチをつけること。経験に裏打ちされた貴重な助言であればよいものを、「俺の時代はこうだった」とか「こんなことも知らないのか」と頭ごなしに年寄りが発言している姿は本当にいただけません。

もちろん経験も大事ですが、若手が知りたいことは、自慢の類の経験ではなく、教訓であり、裏側に隠されている本質的な課題とその解決法や方向性、そこに至った道筋や気付きの部分です。経験自慢ではない、錬られた発言が出てくる年長者と斬新なアイディアが湧き出す若手、そして、新旧融合の炉のような役目が適っている中堅層がうまく切磋琢磨するような企業はやはり素晴らしい企業が多いですね。

6. 技術がきちんと整理され、体系化されて社内のメンバーに理解されている

筆者が化学会社に勤務し始めた時に、最初に手渡されたものが社内技術俯瞰図です。当時これには大いに衝撃を受けたものです。ただし、これを眺めていて自分の所属するヘルスケア分野の技術体系が十分でないことに気が付いてしまいました。よけいなことに気が付いてしまったおかげで、社内のあちこちに話を聞き回ることになってしまったのですが、その時分にいろいろと教わったことが、技術の競争力と可能性の分析です。これを始めだすと大変な手間と労力がかかりますが、自社の技術者の一方的な言い分だけではない様々な視点でのニーズ、アプリケーション、知財力、提携可能性などが分かるような見取り図は使い勝手がよいものです。

出来る企業を探ってみると、大抵このような分析が既になされていて、それが常にアップデートされ続けています。継続的なアップデートを行うことで、世の中のニーズ変化や競合変化なども逃すことなく理解できます。


以上、新規事業に成功する企業の6つの共通点をご紹介しました。
イノベーションを起こすには、まずは社内の文化が重要になります。皆さんの企業・部署はいかがでしょうか。

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