インサイドセールス部隊立ち上げの成功の秘訣とは

マーケティング

2021年01月04日(月)掲載

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The Model型の組織とは

The Model型の組織とは、マーケティングから外勤営業(フィールドセールス)までが、新規クライアント獲得の役割を担っていて、カスタマーサクセスが契約後の既存顧客の解約防止と、単価アップのために動く役割を担っている。
これまでの一般的な営業は、お客様というカテゴリの人たち全ての企業とやり取りすることが仕事だった。しかし、実態の大半は、カスタマーサクセスや既存顧客とのやりとりが仕事になっていて、新規顧客獲得は問合わせや紹介が多く、自ら新規営業をすることは少ないのではないだろうか。数字も上がれば、新規営業をしなくても何も言われないということが主流だったように思う。
このThe Model型の組織は、外勤営業(フィールドセールス)は新規顧客獲得、売り先を増やす、既存クライアント死守との役割をわけるきっかけを作っている。

テレワーク主流になってきた今、マーケティングやインサイドセールスは元々テレワークでも問題なく、
カスタマーサクセスは対面もあったが、テレワークでも対応しやすいだろう。
しかし、「外勤営業(フィールドセールス)」ここがいびつな存在になってきているように思う。
これからのインサイドセールス立ち上げの成功の秘訣は、
カスタマーサクセスは既存クライアントなので除外して考えると、
新規クライアント獲得のためのマーケティング、インサイドセールス、外勤営業(フィールドセールス)との連携が非常に重要で、その中でも新規顧客との接点で、「タイミング」を合わせているインサイドセールスを中心にテレワーク中心の契約スタイルを確立すること、これが成功の秘訣となると私は思う。
ただし、このThe Model型のカタチが大事なのではなく、契約を取って数字を作ることと、既存顧客の数字死守すること、
この二つを行うから企業の数字が上がるという結果のためのモデルだ。
カタチではなく、この結果を出すための効率の良い動き方をしっかり作る必要がある。
The Model型は大枠として理解しておいた方が良いが、時代や状況に合わせて柔軟に変革していく必要があるだろう。

【ポイント】
・The Model型の組織とは
 新規顧客獲得のためのマーケティング→インサイドセールス→外勤営業(フィールドセールス)
 既存顧客の解約防止、単価アップのためのカスタマーサクセス
 これらをわけた組織のことである。

・インサイドセールスを中心にマーケティング、外勤営業(フィールドセールス)の連携がカギになる
マーケティング、インサイドセールスは元々テレワークしやすく、カスタマーサクセスはテレワーク対応しやすくなっている。
 そのため、外勤営業(フィールドセールス)と上手く連携して契約に結びつけるかが大事である

インサイドセールスとその役割

インサイドセールスとは、興味を示していると思われるマーケティングからパスを受けた顧客リストへ直接アプローチをかけ、相手のニーズやタイミングを把握して営業へパスする(案件化)することが役割である。
過去の営業スタイルであれば、アポをとって訪問するが、初めて訪問した際にニーズやタイミングを知ることが一般的であった。しかし、これをやり続けると失注が増えて、契約率が劇的に低くなっていく。
インサイドセールスは遠隔で、相手のニーズとタイミングを事前に把握し、営業が訪問できる状態を作る役割である。これによって外勤営業(フィールドセールス)は効率よく契約に紐づけることが可能になる。
もちろん、インサイドセールスは外勤営業(フィールドセールス)よりも顧客との接点を持つ回数が多い。あくまでテレワークであるため非常に効率が良くなる。

しかし、このテレワークが主流になった状況で、インサイドセールスや外勤営業(フィールドセールス)の役割が若干変わりつつある。
今まではインサイドセールスが遠隔で案件化させて、外勤営業(フィールドセールス)が訪問して契約するという流れだった。受け手の顧客側がアポとる人と、訪問する人と担当が変わることに違和感がないし、訪問されて直接話した人と仲良くなるので役割をわけていることが一番効率良かったためである。しかし、テレワークが進んで営業が訪問しにくくなっている中、遠隔でインサイドセールスから営業へパスしても、売り手の役割は変わらなくても、受け手側の心理が変わっている。WEB商談であるため、人が変わって改めて説明されるよりも、1人で完結してもらった方が楽であるということと、人が変わることへの違和感だ。インサイドセールスがもう少し営業の範囲まで関わるのか、外勤営業(フィールドセールス)がインサイドセールスの範囲まで関わるのか、実態としてこのような問題はでてきている。
とはいえ、元々インサイドセールスが顧客との「タイミング」を作っているため、インサイドセールスに合わせた契約作りが今は非常に重要であると私は考えている。

今までは、立ち上げだけは優秀な営業が舵取り人になって、それ以外の人はキャリアアップの踏み台としてインサイドセールスが使われていたというのが主流であったと思う。
しかし、訪問することができずWEB商談が中心になってきた今、もはや場数をこなすこともできないため、契約のとれないところに優秀な営業を「外勤営業(フィールドセールス)」として置いておく必要がなくなる。
成果を上げることを考えると、接点の持てるWEB商談に営業を配置する方が、決定率が高くなるだろう。
今まではWEB商談にて、インサイドセールスがサービス概要を説明してから外勤営業(フィールドセールス)が訪問するという商談形式が一般的であった。
しかし、このテレワーク主流の状況で結果を上げるには、インサイドセールスの役割と外勤営業(フィールドセールス)を合わせた役割、これが新しいスタイルのインサイドセールスになっていく必要がでてくるだろう。

【ポイント】
・インサイドセールスと外勤営業(フィールドセールス)の役割分担変更の必要性あり
 テレワーク主流になってきた今インサイドセールスと外勤営業(フィールドセールス)の役割分担を変える必要がでてきている。単純に遠隔、訪問という切り分けではいかなくなってきた。インサイドセールスと外勤営業(フィールドセールス)を合わせて役割をわけていかなければいけない。

インサイドセールス部隊のKPI

一般的なインサイドセールスのKPIとして、案件化数=営業へのパス数が大半であろう。
上述の通り、外勤営業(フィールドセールス)との合わせた役割が必要になってきているので、単純に案件化数がKPIというわけでもなくなってくるだろう。
外勤営業(フィールドセールス)と合わせた役割になってくると、外勤営業(フィールドセールス)のKPI
を遠隔でもできるようにすることが新 しいKPIになってくるのではないだろうか。
冒頭のThe Model型のカタチにこだわるより、インサイドセールスの領域でいかに契約につながるためのKPIを作っていくかが非常に重要である。KGIは契約数なので、それにつながるKPIにしなければただの絵に描いた餅にしかならない。

最近新たに立ち上げたインサイドセールス部隊のKPI事例を2つ紹介する。

●1つ目(営業チームの1名だけインサイドセールスへ)
インサイドセールスのKPI=営業資料DL数
※個人情報ありの方々へtoメールアプローチ、資料DLまでを1名で行う。
(資料は色々なアプローチのバリエーション作成。)
フィールドセールスのKPI=稟議へあがっている案件数
※資料DLした人へコール→商談→その後は営業プロセスと同じ。

この目的は、顧客との最初の喋る接点から営業が関わることである。
これをThe Model型にあてはめると、インサイドセールスの目標は、マーケティングに毛が生えたほどの目標で、
フィールドセールスの目標は、インサイドセールスの行う領域がプラスした目標のようなイメージである。
背景として、既存売上から新規へシフトしていくためにインサイドセールスを立ち上げたい。起点の時点でリソースは自社内でまかないたい、販管部門から人を持ってくるという経営者の発想からはじまっている。カタチより実態が重要で営業が実態として滞留しはじめていることがあったため、最終このようなカタチで立ちあげた。カスタマーサクセス(既存顧客対応のため)に新設し、販管部門の人たちを移動させている。

●2つ目(フィールドセールスがインサイドセールスを立ち上げ)
インサイドセールスのKPI=提案資料、見積提出数(検討段階まで作る)
 ※個人情報ある顧客の温度感アップから提案までを1チームで行う。
フィールドセールスのKPI=稟議へあがっている案件数
 ※経営者と営業責任者のみで、提案した案件を決裁権の持っている経営者と営業責任者で契約させる。

この目的は、数字の責任を経営者と営業責任者に持ってもらうことだ。
新しいスキームを右往左往しながら作っていく中、契約までコミットさせるのは難易度が高いため、上層部自ら稟議をあげるまでは自分たちがやろうということでやりはじめている。
これをThe Model型にはめると、インサイドセールスの目標は、インサイドセールスにフィールドセールスの途中領域まで含んだ目標で、フィールドセールスの目標は契約とるための最終ネゴシエーションなど、契約とるための最終の部分だけになっている。
背景として、
インサイドセールスチームを立ち上げるということにはなったが、営業が元々テレアポやナーチャリングする習慣があった。そのため、遠隔で検討段階になるまでをしっかり作ることに集中する。

この二つを見てもわかるように、すでにインサイドセールスと言ってもThe Model型にとらわれない結果を出すためにという方向に変わってきている。

【ポイント】
・The Modelのカタチにこだわらない
インサイドセールスのKPI設定は、The Model型のカタチにこだわる必要がない。
・リモートで契約に至るまでのインサイドセールスと外勤営業の役割分担作成
契約までのプロセスの中のインサイドセールスと外勤営業(フィールドセールス)との役割を、リモートで行うための役割分担を作ること。ここでは、自社プロダクトの契約までのプロセスをしっかり理解して考える。
・リモート中心の契約スタイルを確立する
 インサイドセールスと外勤営業(フィールドセールス)をあわせるかは各企業判断をする必要がある。
 初回の遠隔接点からプロダクトの比較検討までを1担当で行う方が契約率は伸ばせるだろう。
 KPIは案件化ではなく、比較検討の資料提出、見積提出数にするとよい。
・案件化以前のアポを取ることに注力
訪問または外勤営業(フィールドセールス)に全てプロセスを一任する場合は、
インサイドセールスは案件化をKPIにせず、案件化前のアポでもアポを取るようにする。アポ獲得数だけをKPI にする。あとの進捗、案件化は外勤営業(フィールドセールス)に託す。

インサイドセールスはマーケティングとフィールドセールスとの連携がカギ

上述の通り、インサイドセールスと外勤営業(フィールドセールス)の役割が変わってきているが、このテレワークが進んでいる中、実際下記のようなことが発生している。
●インサイドセールスでゴールまで到達してしまう。
外勤営業(フィールドセールス)との役割の分け方の見直しが必要。
●テレワークにより、インサイドセールスの商談数のみ劇的に増加。
 安易な商談も増えているので、案件化がしにくく、外勤営業(フィールドセールス)の商談数は減っている。
●外勤営業(フィールドセールス)が、インサイドセールスの役割を担う。
商談数を増やすために、外勤営業(フィールドセールス)がインサイドセールスのところから自ら実施して、
インサイドセールスの役割を担ってしまっている。
●ターゲットリストの未更新、最新の顧客リストがインサイドセールスへ未提供のままに
マーケティングの方で、コロナ禍での需要が少し変動しているにも関わらず、ターゲットリストが更新されてなく、インサイドセールスへ適切な顧客リストを提供できていない。
縦割りの役割分担が大事ではなく、いかに最終契約に持っていくかが大事である。一概にどのようなカタチが良いとは断言できないが、テレワークが主流になってきた今だからこそ、契約にするための組織や役割作りが非常に重要であると私は考えている。
そのために、インサイドセールスは、顧客との「タイミング」=起点を担っていることから、どのような顧客情報が必要で、リモートでもどのような契約スタイルを作るかをマーケティングする必要がある。そして、外勤営業(フィールドセールス)を巻き込んでどのように行動していくかということを考えることが必要である。このようになってくると、アポ部隊と考えずに、会社の軸として考えていくと思っても過言ではないだろう。

【ポイント】
・マーケティングとの連携については、外勤営業(フィールドセールス)からの生の声も踏まえて、インサイドセールスから率先してターゲットリストのリクエストを出し続ける。
・外勤営業(フィールドセールス)との連携については、契約に繋げるための役割分担を再度構築する必要がある。

インサイドセールスのキャリアパス

インサイドセールスの立ち上げのみを優秀な営業が行ない、それ以後は、外勤営業(フィールドセールス)になるための登竜門やステップアップのための踏み台という認識が強いインサイドセールスではあったが、1〜4で記載している通り、インサイドセールスの行っていくことが非常に重要になってきている。
キャリアパスという認識ではなく、一番の花形部門がインサイドセールスになってもおかしくはないかと思う。
私が以前会社員をしていた企業では、カスタマーサクセスが入り口で、次に外勤営業(フィールドセールス)、最後にインサイドセールスという流れであった。この流れの良かった点は、カスタマーサクセスにいれば、サービスが理解できる。サービスがわかった状態で外勤営業(フィールドセールス)をするため、買っている人の気持ちがわかるので説得力がある。売れるようになってからインサイドセールスをするため、課題を見つける観点があり、最初の接点で機会ロスすることが減るのだ。このようなメリットがあった。
これからのインサイドセールスは、様々な経験をして、一番優秀な人がいくチームになっていくだろう。

【ポイント】
・企業としてインサイドセールスをどのような役割にするかによって、キャリアパスは変える必要がある。
・契約に結びつける重要な部署にするなら、花形部署にした方がよい。

インサイドセールスは内製化するか外注するか

個人情報入手と案件化前のアポのみで、後は外勤営業(フィールドセールス)で何とかなるサービスであれば、外注で全く問題なく、変動費にするのが最適だろう。インサイドセールスというカテゴリで考えるより、役割で内製、外注で判断すれば良い。リモートでの契約を目指すこの状況になってくると、外注はやめた方が良いだろう。ただの作業であれば外注、思いを伝える必要があることは内製、この基準で判断するのが良いだろう。

【ポイント】
・KPIの中身によって外注、内製の判断をすれば良い。
※3のポイントKPIに記載。

・リモート中心の契約スタイルを確立するのであれば内製を推奨。
 インサイドセールスと外勤営業(フィールドセールス)をあわせるのかは各企業判断で、
 初回の遠隔接点からプロダクトの比較検討までを1担当で行う方が契約率は伸ばせる。
 KPIは案件化ではなく、比較検討の資料提出、見積提出数にする。

・訪問または外勤営業(フィールドセールス)に全て一任する場合は外注で問題なし。
 インサイドセールスは案件化をKPIにせず案件化前のアポのみでもアポを取り、アポ獲得数だけを KPIにする。あとの進捗、案件化は外勤営業(フィールドセールス)に託す。

まとめ

今までThe Model型の考え方中心に役割、目標をわけてやってきていることが多かったが、テレワークやリモートのコミュニケーションが増え、これが普通の状況として契約していくのであれば、
「インサイドセールス部隊立ち上げの成功の秘訣とは」
カタチにこだわらず、ゴールや契約になるまでのプロセス整理をした上で、インサイドセールスにあてこむ組織と役割作りが成功の秘訣であると私は考える。

・インサイドセールスと外勤営業(フィールドセールス)のカタチではなく、
 契約になるための役割分担とそれぞれのKPI設定。
・役割とKPIによってインサイドセールスのキャリアパスは変える。
・役割とKPIによって、インサイドセールスの外注、内製も変える。

執筆者T.S氏

SaaS系ベンチャーに入社以来、営業部門に関わり会社の利益に貢献後、
新規事業の立上プロジェクトに責任者として事業推進。その後、独立。
営業チームの支援だけでなく、システム営業、インサイドセールス、カスタマーサクセス、企画自体の立案まで幅広い領域を経験している。

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