新規事業でヘルスケアビジネスへ(医療・健康領域)参入~陥りやすい5つの失敗と課題の例~

研究開発

2019年06月14日(金)掲載

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 世界に先駆けて超高齢社会を迎える中で、日本企業のヘルスケアビジネスへの新規参入が増えております。i-commonでも異業種参入企業の支援に携わることも多く、現在進行形で多くの異業種企業のヘルスケアビジネスへの参入支援を行っています。
 今回は多数の企業のヘルスケアビジネスに関する新規事業をご支援させていただく中でわかった、新規事業としてヘルスケアビジネスを始める企業が陥りやすい5つの失敗要因をご紹介します。

① 社内の先端ニーズを活かすことを中心に考えてしまい、市場ニーズの薄い製品やサービスを実現してしまった

 シーズ志向を中心に考えてしまい、市場のニーズを見失ってしまった例です。ヘルスケアの世界は技術的には大変保守的といわれております。確固たるエビデンスが積み上がっていて初めてヒトに使えるのです。そして、ヘルスケアの世界は基本的に「コト」主導です。市場ニーズがあるから、それに応える企業やアカデミアが存在します。コトを知らずして技術に執着すると、結局ニーズ不適合な製品だけが出来上がってしまいます。

② 海外の先端技術を導入して製品化したが、日本の医療保険制度の下では高価過ぎて事業化できなかった

 異業種企業がヘルスケアビジネスに参入する場合、外国企業からの導入品でビジネスを始めるケースは多くあります。しかし、診断薬や医療機器はコスト重視のビジネスであることを忘れたために事業化できないことがあります。日本では国民皆保険で、医療技術や材料には価格上限が定まっています。世間では「良いものは高く売れる」場合があっても、健康保険で許容されない価格では保険診療には乗らないことが多いです。諸外国との価格差には、医療トレンドと保険制度の違いという理由があることを忘れてはいけません。

③ 日本で脚光を浴びている測定項目が海外では全く通用しなかった

 前述の話にも共通しますが、国内外で疾患トレンドは異なるものです。今の日本ではがんや感染症、生活習慣病、アレルギーや認知症が大きな問題ですが、それは日本の問題です。発展途上国においては、がんや生活習慣病よりも、まずは感染症が大きな問題となります。先進国全体でもがんによる死亡がいまだに増え続けている国は日本くらいだといわれております。また、インフルエンザによる死亡、未だに風疹が流行している、結核罹患者も他の先進国ほど減らない、エイズ感染も減らない、梅毒は激増しているという日本特有の課題で、海外の持つ課題とは異なる場合もあるでしょう。

④ 設計開発と生産の歩調が全くとれず、旬を逃してしまった

 ヘルスケアの世界でも例外ではなく流行というものがあり、2019年時点の流行は再生医療、バイオ医薬品、これからはペプチド医薬品なども流行になるといわれております。医療機器の世界や診断薬の世界でもやはり流行があります。設計管理がうまく機能せず時間をかけすぎたり、設計が甘く実生産時のリスクを予見できなかった場合は、いつまでも製品を世の中に出すことができません。その結果、肝心の旬を逃してしまい苦労だけが残ってしまうということになるでしょう。

⑤ 米国での販売を視野に入れていたが、米国のQSR対応が後手に回ってしまった

 基本的に日米欧3局におけるヘルスケア系の様々な規範や規格は共通する要素が多くあります。しかし、それでも国ごとに若干考え方が異なります。日欧のQMSがいわゆるPDCAサイクルを回していく品質改善が基本ですが、米国のQSRでは設計重視の考え方であり、何事も設計の基本に立ち返って考える規範です。米国の場合、設計初期段階の記録が、日本以上に大変重要なものになり、また、記録文書の種類も異なります。このようなことは事業を企画する段階で明確にされるべきですが、そこがおざなりになってしまうと、後で大変な目に遭います。つまり、現地の薬事規制を熟知していなかったための悲劇です。

 ヘルスケアビジネスへの異業種参入においてはまだまだ気をつけるべきポイントがありますが、i-commonではヘルスケアビジネスへの新規参入の最適なパートナーとして企業様の支援をします。

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