【ESG経営】ポストコロナ時代のコーポレート・ガバナンスにおける2つのポイント

法務・ガバナンス

2021年08月11日(水)掲載

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内閣府の未来投資戦略2018でも触れられていますが、Society 5.0の実現に向けてESG経営の注目度が高まっています。

新型コロナウイルスが世界的に広まって以降、市場やビジネスモデルといった既存領域の消滅・限界が多発し、企業の将来像を描きなおす必要性は強まったことでしょう。特に資本主義の根幹となるコーポレート・ガバナンスの改革は、政府の未来投資戦略2018から推進されており、新型コロナウイルスによって重要度は高まりました。

企業が持続的な成長を描いていくには、消費者や投資家に分かりやすく情報を提供し、客観性・透明性・多面性の観点からガバナンスを強化し、環境変化にも柔軟に対応していくことが大切です。世界の名だたる企業との差を縮めるためにも、適切に見直しを行いましょう。

※参照:未来投資戦略2018(内閣府)

コロナによりESG重視のトレンドは加速した

コロナによりESG重視のトレンドは加速

もともとESGが注目されはじめたのは、2006年に国連が「責任投資原則(PRI)」を提唱したことがきっかけとされています。ESG投資の世界的なプラットフォームが発足されたことで、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の観点を投資プロセスに取り入れる声が広まりました。その後、経産省の伊藤レポート2.0などで、企業価値の判断が建物や機械といった有形資産から、ブランド力をはじめとする無形資産に切り替わり、ESGから持続的な無形資産を見極める投資家が増えました。

これらの動きをさらに加熱したのが、新型コロナウイルスの存在です。従来であればROE(自己資本利益率)が重視されていましたが、新型コロナウイルスによって企業の存在意義は見直され、ROEとEGSを両立したROESGで企業を評価する動きが出ています。

ROEとESGは、片方だけが高い状態では意味がありません。ESGへの取り組みが低ければ、ROEが高くとも企業価値を下げられる、逆にESGへの取り組みに力を入れている企業はROEの付加価値になるといった一定の相関が見られるケースもあります。今やROEとESGは、切っても切れない時代になったといえるでしょう。

ポストコロナ時代は株主以外のステークホルダーがより重要に

新型コロナウイルスの蔓延は、結果的に企業が先送りしていた問題を顕在化・加速化するかたちとなりました。ポストコロナ時代では、経営者の意思決定の重要性は増し、それに伴いガバナンスの中心を担う取締役会の役割も増えていくでしょう。会社の将来を左右する重要な意思決定から、監督役としてのモニタリング機能が強まることが予想されます。特に社外取締役に関しては、企業に新しい知見をもたらしながら、客観的なガバナンス監視、ステークホルダーの意見反映といった役割の実効性を今まで以上に求められるでしょう。

そのうえで重要なのが、従業員もステークホルダーであるという考え方です。ジョブ型雇用をはじめとする働き方の多様性を考慮しても、企業と従業員に主従関係があるような考え方では、優秀な人材がグローバル企業に流出するリスクが高まります。優秀な人材に長期的な活躍を期待するには、年功序列を筆頭に旧態依然とした人事制度などを早急に見直さなければなりません。

従業員のエンゲージメント向上は、企業ブランドを保つうえでも重要な指標の1つです。人権や労働問題に配慮するESGとも深い関係性にあるため、経営・現場・人事で目線合わせを行い、従業員の働きがいを創出していく取り組みが、結果的に企業ブランドの喪失を防ぐことにもつながるでしょう。待遇改善などによる従業員の身体的・精神的な安全確保、ダイバーシティ推進による多様な人材の許容を通じて、従業員のエンゲージメントを高めていきましょう。

デジタル・トランスフォーメーション(DX)の進展が求められる

持続可能なビジネスモデルの確立にあたって、企業に求められているのがデジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進です。金融庁の2020 年の金融行政方針で、コーポレートガバナンス・コードの改訂等を行う予定が公表され、DXの進展が重要ポイントの1つとして挙げられました。

この背景には、やはり新型コロナウイルスの存在があります。パンデミックによって社会構造は非接触型へと急激に切り替わり、企業の慣行として当たり前化していた部分を見直す必要性が出てきました。特に従業員がオフィスに出勤して業務を行うことは、感染予防対策観点からも非推奨とされており、政府もコロナ渦では出社率の7割減を求めています。緊急事態宣言の繰り返しによって、徐々に出社率を上げている企業も存在しますが、ESG経営を進めていくうえでもDXは避けて通れない道です。

中には社内に分散するESGの関連情報をシステムで管理できておらず、手作業で集めている企業も少なくありません。そもそもESGなどの非財務情報の取りまとめ役が不明瞭となっている場合もあり、企業価値の算出や経営判断に活かせていないことがESG経営の妨げになっています。これらの問題を解決するためにも、主管部門の存在やDXによる円滑なデータ収集が必要となるでしょう。

※参照:令和2事務年度金融行政方針 ~コロナと戦い、コロナ後の新しい社会を築く~(金融庁)

まとめ

今回はポストコロナにおけるコーポレート・ガバナンスに関して、ESGの重要性をご紹介しました。サステナビリティ課題への対応、取締役会における客観性・透明性・多面性の確保や体制整備、従業員のエンゲージメント向上、DX推進など、企業が取り組むべき要素は多種多様で、社内の知見だけですべてを遂行するのは非常に難しいでしょう。

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