デジタルマーケティングにおける戦略と戦術とは?

マーケティング

2020年02月06日(木)掲載

企業はマーケティング活動において「戦略」と「戦術」を使い分け、目標の達成を目指しますが、具体的にはこの2つを「どのように」使い分け、売上を向上していくべきなのでしょうか。

また、デジタルマーケティングにおける「戦略」と「戦術」の違いとは何でしょうか。 今日は、この話から始めて行きましょう。

デジタルマーケティングとは

デジタルマーケティングとは、様々な技術やテクノロジーを駆使したマーケティング手法です。従来は、インターネット上のマーケティング手法をデジタルマーケティングと呼んでいましたが、SNSが発達し生活者が発信するようになってから、SNSでのマーケティングもデジタルマーケティングに含まれて認識されるようになってきています。

デジタルマーケティングの3つの強み

●顧客にあった媒体での発信が可能

デジタルマーケティングにおいて、顧客にメッセージを届けるには、様々な方法があります。一つにWebサイト、次にSNS、それ以外にもダイレクトメールの利用など、様々なアタック方法があります。このため、顧客に最もリーチしやすい方法を選ぶことができます。また、手段を単一にする必要もありません。このため、SNSからのWebサイトへの誘導、などそれぞれのツールを複合的に利用することができます。

●データの活用が容易である

デジタルマーケティングとは、広告を配信した人の情報をデータとして蓄積していくことが容易です。このため、ビックデータと合わせて顧客の情報を適用させていくことで、広告の効果が何倍にも拡大できます。

●最新技術とのかけ合わせで効果が何倍にも期待できる

デジタルマーケティングと相性が良いのは、動画やAIの利用などでしょうか。5Gが利用できるようになると、ますます動画の効果は拡大していくと想定できます。TikTokやInstagramが注目を集めていますが、それらは動画広告により、顧客に商品をより魅力的に伝えることができるからだと言えます。また、AIによる広告やマーケティング手法の最適化も今後ますます成長していくでしょう。

POINT

・デジタルマーケティングとは、インターネットやSNSを使ったマーケティング手法である。
・顧客にあった媒体で発信できることやデータの活用が容易にできることなどが特徴であり、今後、AIなどと組み合わせってさらに大きな市場になっていくことが期待される。

そもそも、マーケティングにおける戦略とは何か?

次に、マーケティングの戦略について見ていきます。まずは、デジタル施策にとらわれず、マーケティング全体で紹介します。要点をまとめると、

企業活動と言うのは、常に「限られた原資」の中で目標(売上)を達成しなければならない。

というポイントにしぼられます。たとえば、現場の視点で言うならば「部署に人がもっと増えたら」とか「広告にかける予算がもっとあれば」などの「もしも論」が良く展開されます。

それは要するに、ヒト・モノ・カネ(最近は情報なども)などの「あればあるほど、事業活動が楽になるもの」はリソース(資源)と呼ばれるものですが、これらが当事者にとって「満足です」となる水準に到達することは、まずありません。

したがって、我々は常に「不足したリソース」で業務を遂行し、目標を達成せねばならず、戦略とはつまり、この「限りある資源」を「どのように配分するのか?」という方針を決めていく行為を指します。

たとえば、自社の製品がローンチしたばかりで、まだ認知度も低く、広告の予算も少ない時、その企業が、さながら大企業の様に「CMを大々的に打ち、有名タレントを起用して、サンプリングもたくさん行う」という展開をすることは、(それは出来れば有難いでしょうが)現実的には難しいでしょう。それは何故かと言うと、そのためのリソースが自社には「不足している」からです。そこで、企業担当者は頭をひねります。そして、

この商品は、「大手の〇〇に比べれば知名度は低いが、こういう側面には自信がある。とくにこういうターゲットになら売れるし、ここから勝てるのではないだろうか」

という様なこと(目標)を自社のリソースを見ながら定めていくことになります。この「目標設定」の行為が「戦略」に値します。ビジネス上の目標を「売上」と定めて、これを端的な日本語にまとめると、

自社のリソースを理解したうえで「誰に、何を売るのか?」を決めていく作業。

これこそがマーケティングにおける「戦略」と言えるでしょう。

POINT

・自社のリソースを理解した上で誰に売るのかを考えていくのがマーケティングの戦略である。

デジタル施策の事例から見る「戦略」の深堀の必要性

それでは、いままでの話を前提として、デジタルにおける「戦略」について、事例をもとにこれまでとの「違い」を探ってみましょう。

ここに1つの美容石鹸の販売戦略会議があるとします。その企業の担当者に、

「さて、この美容石鹸をデジタル上で、誰に売っていきますか(誰がコア・ターゲットですか)?」というようなことを聞くと、大抵の企業担当者は(デジタルの経験がなければ特に)「30代の女性に売っています」等の回答をしてくることが多くあります。

つまり「30代女性、美容石鹸業界でシェアを取る」と言う旗(戦略)を立てて、戦おうとしているのです。これまでの彼らの概念は「陳列棚」のイメージとなっており「競合は他社の石鹸」と考えていますから、ある意味この思想は当然と言えるでしょう。

また、大企業ならそれでも構わないかもしれません。しかし、数多くのリソースが有限、かつ、この「デジタルマーケティング」の戦略立案と考えると、現在の世の中では、この内容では少し厳しいと言わざるを得ないと思います。

なぜなら、特にデジタルにおいては、基本的にお客様は検索をするにせよ、何かのWebサイトの記事などを読むにせよ、必ず何かを常に(意識的でも無意識でも)「求めて行動している」からです。つまり、お客様は「能動的」なのです。

つまり、デジタルにおいては、お客様は「石鹸の陳列棚」の前で、どの石鹸にしようかな、と悩んでいるような顕在的なニーズではなく、深い潜在的なニーズを持っています。我々はそれを狙わなければならないのです。

たとえば、この戦略をこのまま戦術(具体的施策)に落とし込んで、デジタルにおける一般的な「検索ワード」を狙い撃ちすることを考えてみましょう。その際、「誰に、何を売るのか?」が仮に「30代女性」という「従来の旗」しか立っていなかったとします。すると、ある社員はこの石鹸に対して、

「これは、肌荒れが気になる人がそれを解消するために使う石鹸だから、ターゲットは、肌荒れに困っている人だ」と(心の奥底で)考え、

その隣に座っていた別の社員は、

「これは、美人になりたい人が日常的に使っていく石鹸のはずだ」と、

同じ商品を売っているにも関わらず「全く別のターゲット思想」を持っていることですら、(デジタルの世界では)実は珍しくありません。これまでの陳列棚なら、従来のままでもよかったのだと思います。お客様が「石鹸」に行きつくまでは、同じ行動フローであったからです。

デジタル施策における「戦略」

ところが、デジタルの世界では、どうでしょう。

「美容 肌荒れ」「肌荒れ ケア」「美容 スキンケア」など、人々の悩みを表す様々な目的の検索行動に対して、実際、どのような検索結果(アプローチ)が露出されていると思いますか。検索結果は「石鹸」だけではありません。検索結果には、エステ、食事、化粧品、医薬品などなど、様々なアプローチが出てくるでしょう。そして、それらすべてが基本的には「美容 肌荒れ」を解決する手段であることも、また事実です。

このように、デジタルに話を転換して戦略を見つめなおしてみると、これらの「戦略」に対するギャップが、同じ会社の中で同じキャンペーンを展開していても「なんか、この人の考え方は自分と違うな……」と言うギャップを生んでしまうことになると思います。しかも、そもそも集客の時点で詰まってしまうことすら考えられます。

つまり、戦略とは「方向性を定めること」である訳ですが、特にデジタルの世界においては「どんなキーワードを検索する人?」の様な、デモグラフィック(性別年齢など)のみならず、インサイト(心理的な側面)まで踏み込んで検討・立案する事が必要となるということです。

デジタルにおいては、インサイトに即した「戦略」が、定まっていなければ、先程の事例ですと、「キャンペーンを準備してください」同じようにと伝えたときに、前者の担当者は「肌荒れ、改善」とかへの対策を優先するでしょうし、後者の担当者は「美白、石鹸」などを狙うというようなことが起こり、定めているベクトルが変わるせいで、ものの優先順位すらも変わってしまうのです。この状態で果たして、その企業が「デジタルにおける一貫した戦略を持っている」と言えるでしょうか。これが、「お客様は取りあえず陳列棚までは来てくれる」と言う前提があるリアルとデジタルの大きな違いです。

ですから、デジタルマーケティングにおいては、「本当の意味」でデジタルに適合した「誰に、何を売るのか?」を定めることが必要となってくる訳です。そして、その目標(ゴール)を達成するために必要な具体的な行為が「戦術」となります。

たとえば、
・どのようなキーワードを買うのか
・どのような媒体に露出するのか
・どのような長所をアピールして自社に興味を持ってもらうのか

更に、それらを、どのように(HOW)伝えるのか?を考えるフェーズです。

POINT

・戦略とは「方向性を定めること」である。
・デジタル世界においては、インサイトが非常に重視される。このため、戦術は社内で入念に理解を深め、方向性を定めておく必要がある。

まとめ

多くの「デジタルマーケティング」と言う言葉のイメージは、この戦術側に持つお客様が多いのですが、これらはあくまでも「戦術論」であり、「戦略」が整っていない場合、「そもそも間違った方向に突っ走っていました」というようなことも、珍しくありません。

具体的に、先程の事例を基にするならば、本当は「美容」として売らなければ売れなかった石鹸を、一生懸命に「医薬品」的なポジションを取って売っていたというようなことです。ただし、そのことに気が付いていない企業担当者の多くが、私と最初にお話をされたときに、「もう、弊社はこの事業ではやりきっていますよ」と仰います。

さて、ここまで読まれた貴方は、はたして、本当にそれが真実だと思われますか。

デジタルマーケティングにおける「誰に、何を」は、あくまでも人間の「こころ」に働きかけるという前提を意識し、これらを元に、確実に「戦略」を定め、「戦術」を展開し、目標を達成していくことが、デジタルマーケティングの世界において必須の要件となることでしょう。

そのための「意識」を関係者全員が持つところからスタートしたいものです。

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執筆者D.S氏

マーケティング担当者として豊富な実務経験を持ち、各社の業績向上に寄与。その活躍により、多数のイベント登壇、商業出版などを果たす。
その後、マーケティング専属顧問として独立。業種・国内外を問わず、マーケティング課題解決のプロとして活躍中。

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