BaaSとは?注目される背景と国内外の事例を解説

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2022年04月26日(火)掲載

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近年、テクノロジー発展をはじめとした時勢の急激な変化に伴い、オンライン上で成立するサービスの注目度が高まっています。あらゆる産業・業態がオンラインとの融合による新サービス創出を試みている中で、見逃せない仕組みが「BaaS」です。従来参入ハードルの高かった「銀行業」の敷居を大いに下げるとともに、活用によって時勢のニーズに合ったサービスを提供できることから、近年BaaSを組み込んだ新サービスが続々と創出されています。

当コラムでは、改めてBaaSの概要から、国内外のBaaS事例についてご紹介します。今後生活への浸透が大いに見込まれているBaaS。当コラムによってBaaS市場・サービスへの理解を深めることで、事業成長へとつながれば幸いです。

BaaSとは

BaaS(Banking as a Service/サービスとしてのバンキング)とは、銀行などをはじめとする金融機関が為替・預金・融資といった金融機能を、金融機関以外の事業者向けに、API(ソフトウェアやプログラムなどを外部から活用するための仕組み)経由で提供することを指します。

BaaSがもたらすメリットとしては、銀行以外の事業者が、金融機能付のサービスを手軽に開発・提供できるようになります。従来では、金融機関以外が金融機能を提供する場合、指定の資格・免許等の許認可や、金融機能を提供するための設備も自前で用意する必要がありました。しかし、BaaSの活用によってこれらが不要となったため、異業種の事業者にとっては金融事業への参入ハードルが大きく下がったのです。

BaaSが注目される背景

従来より、金融機関以外の事業者にとって、金融機能を自社サービスにも組み込みたいというニーズは存在していました。このニーズに対して、海外では銀行が積極的にAPIを公開する動きが高まり、金融機能付アプリなどの新サービスが創出されるようになりました。

先ほど、BaaSは金融機能を提供するための仕組みと述べましたが、この潮流がBaaSの導入に拍車をかけたといえます。市場全体でフィンテックやキャッシュレスなどの注目度が高まる中で、後払いや送金などを実現させるBaaSは、時代に即した仕組みだったといえるのです。

たとえば、とある配車アプリケーションでは、もともとの配車サービスに加えて、ケータリングサービスや決済サービスなどが集約されています。BaaSという仕組みが生まれ、決済サービスを融合させることで、単なる配車機能に留まらず、ワンストップで車の手配から決済までを完結させられる利便性が加わりました。すなわち、あらゆるサービスをひとつのアプリで完結させる、いわばさらなるサービスの利便化を実現させるうえで、BaaS導入は大きなポテンシャルを秘めているのです。

また、BaaSは事業者側だけでなく、金融業側にとってもメリットがあります。従来、金融業は直販でのサービス提供が主軸でした。しかし、BaaSで他事業者と連携することによって、新たな顧客接点強化と、収益の増加を図れるのです。

国内外の事例

以下からは、国内外におけるBaaS事例を、計6ケースご紹介します。

ネット銀行によるBaaS事例

国内に拠点を構えるネット銀行のA行では、同行が提供するAPIをはじめとするフィンテックサービスをブランドとして確立し事業者へ提供しており、すでにいくつかの企業と提携を行っています。ここでは、同行と他企業の提携によりリリースされているBaaSを3つピックアップし、ご紹介します。

一つ目のBaaSは、提携先の会員限定で対象のサービスを利用すると、提携先で使えるポイントが貯まる銀行口座サービスです。電子マネー事業を提供する会社との提携によって生み出されたBaaSとなります。

二つ目のBaaSは、外貨預金・マイルを貯められるサービスです。こちらは先ほどのサービスと異なり、航空会社との提携によって提供されています。

三つ目のBaaSは、海外で使用可能な多通貨プリペイドカードサービスです。こちらも二つ目の航空会社との提携によって提供されているサービスとなります。プリペイドのため現金を持ち歩く必要がなく、海外での出張や旅行の際、窓口で両替する手間も省けるサービスです。

クレジットカード企業によるBaaS事例

もう一つ、国内企業の事例としてクレジットカード会社・B社をご紹介します。同社が提供するBaaSサービスは、ウォレット・チャージなどの基本的な金融機能に加え、必要に応じて決済機能や与信機能などを組み込めるプラットフォーム型サービスです。

プラットフォーム型という名の通り、自社のAPI機能だけでなく、他社のAPI機能も活用できるところが最大の特長といえます。現時点で、送金、QR コード決済、VISA 決済などの機能が用意されており、事業者はビジネスモデルに合わせて必要な金融機能を選択できるメリットがあります。

なお、当サービスの仕組みは、B社の親会社によって特許が出願されています。

テクノロジー企業によるBaaS事例

米国のテクノロジー企業・C社によって生み出されたBaaSは、アプリを主体とするバーチャル上のクレジットカードです。

カードの発行・決済に関する許認可やライセンス、口座業務等は、すべて金融サービス会社からの提供を受けて成立しているBaaSサービスとなります。

ここで着目したいのは、UXを形作っているのはあくまで事業者側にある点です。金融機能とUX提供が完全に切り離されているため、事業者は金融機能を活用した状態で、事業者側が提供する独自の世界観を、全面的にサービスへ落とし込んでいます。

当サービスは米国の大手金融企業との提携によるものですが、提携先のCEOは「米国クレジットカード史上最速の拡大を記録した」と見解を明かしています。

航空企業によるBaaS事例

米国からもう一つの事例として、航空企業・D社の事例をご紹介します。

同社が提供するのは分割払いサービス。同社の航空券を購入する際、前払金や頭金を支払うことなく、最大18か月の分割払いを選択できます。

一括で購入すると高額な印象を受けやすい航空券ですが、分割で支払うことにより、購入ハードルが下がります。この点が当BaaSのメリットです。

まとめ

BaaSについての概要と事例をご紹介しました。最後に、BaaSを提供する側と利用する側、それぞれが受けるメリットを改めてまとめてみます。

金融機関側のメリットは「提携先の拡大」です。API提供によって、提供先となる事業者側のユーザーを関節的に獲得できるチャンスが広がります。

事業者側のメリットは「サービスにおける付加価値の創出」です。今まで金融機関でしか提供できなかった金融機能をサービスに組み込むことで、サービスの管掌領域が広がり、ユーザーに「利便性」や「サービスの還元率増加」といったメリットを提供できます。すなわち、事業者側がBaaSを組み込むことによって、間接的に個人利用者側にもメリットが生まれるのです。

すでに海外ではBaaSがビッグトレンドとなっており、さまざまな形でのサービス化が進んでいます。この流れを受け、今後国内でもBaaS浸透の本格化が予測されます。

当コラムをお読みいただき、自社サービスにBaaSの組み込みをご検討されたり、あるいはその必要性・妥当性判断や一歩踏み込んだ知見の蓄積を必要とされる場合は、ぜひ経営支援サービス「i-common」のご活用をご検討してみてはいかがでしょうか。

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