サービス導入事例

株式会社安川電機

売上:
1000億円以上
業種:
機械・電気製品

新規事業、研究開発

自社のコア技術と専門家の知見を掛け合わせ、市場にスピーディに参入

ロボット事業部
  • 清水 圭氏 氏
  • BEFORE導入前の経営課題

    細胞医薬品開発向けのロボットシステム開発事業で必要になったGMP(Good Manufacturing Practice)の適合に関する知見が不足

  • AFTER導入による成果

    医薬品開発現場へのロボット技術導入を目指す事業において、事業展開のベースとなる医療関連の知見を自社に蓄積することができた

変遷を重ねた自社のメイン事業を新たなステージに

北九州市に本社を置き、100年以上にわたって事業を展開してきた株式会社安川電機。同社の中心事業は、創業当初の炭鉱業向け電動機の製造に始まり、戦後の時期にはシステムエンジニアリング、その後は自社のモーター技術を発展させたモーションコントロール事業へと変遷してきた。近年、メイン事業の1つとなっている溶接や塗装を担う産業用製造ロボットに関しては、世界レベルでトップクラスの導入シェアを誇るまでに成長した。時代の流れの中で、常に世の中に必要とされる技術分野での事業をメインに据え、業界での地位を確立してきた同社では、現在は持続的な成長が期待されているクリーンエネルギーを新規事業として注力。同時に、世界に誇るロボット技術を医療・福祉領域で活用する取り組みにも着手している。同社のロボット事業部ソリューション技術部において、バイオメディカルロボット部の部長を務める清水圭氏は、自社の事業展開について次のように説明する。
「メカトロニクスという言葉は、現在は広く一般に使われるようになりましたが、実は“メカニクス”と“エレクトロニクス”を掛け合わせて当社がつくった造語なんです。これに続いて、医療や介護など人(ヒューマン)が介入することが多い仕事にメカトロニクスで解決していこうとして使い始めたのがヒューマトロニクスという言葉です。クリーンエネルギーの事業も同じですが、培ってきたサーボモーターやインバーターといったモーション制御の技術を応用して次の事業の柱を見つけていこうと考えているんです」
清水氏によれば、この医療・福祉領域での事業展開には、2つのアプローチがあるという。1つは、人間の能力を最大限に発揮させるために、身体の動きをサポートする製品を開発するというもの。もう1つは、ロボットによる作業の自動化で、人間がより付加価値の高い創造的な活動に専念できる環境をつくるというアプローチだ。後者のアプローチに関しては、現在は医薬品を開発製造する創薬の現場にロボット技術を活用する形へと拡大しているという。その創薬をはじめとするバイオメディカルという領域へのチャレンジの際に、同社では外部の専門家のノウハウを活用できるi-commonサービスを導入した。

新事業分野であるバイオメディカルへの進出を支えた専門家との協業

同社がこのバイオメディカル分野への本格参入を計画したのは約5年前。医薬品を開発する創薬関連の研究においては、自動化されずに研究者の手によって行われる作業領域が多く、人間の手作業が原因となる再現性の低さが課題となっているという。その課題を解決し、新しい医薬品を上市するまでの時間と作業浪費を劇的に抑えるのが同社の考えだと、清水氏は語る。
「当社では、ロボットの用途をもっと広げたいという思いで、まだ自動化されていない市場としてバイオメディカルの分野に着目。同時に、当社が展開していた双腕タイプのロボットを、日本最大級の研究機関の先生が目にして“熟練者並みの器用さで作業ができる”と感じてもらえたこともあり、両者のニーズがマッチしました」
その後、安川電機と上記の研究機関は共同でベンチャー企業を立ち上げ、創薬分野へのロボット導入を本格化させた。その動きの中で、ある医薬品メーカーを対象に、ロボットを活用した細胞医薬研究向けの培養システムを開発し、納入するという具体的な事例も生まれた。さらには、その実績を医薬品製造向けの培養システムに展開するプロジェクトの検討が始まった。
「医薬品製造用のロボットシステムを開発するにあたり、GMP(Good Manufacturing Practice)という基準にシステムを適合させることが必要になりました。しかし、当社にはその業務に関する知見を持つ人材がいなかったので、外部からの専門家に支援をお願いすることになったんです。そこで着目したのがi-commonサービスでした」
GMP適合に関する専門家という要望を受け、i-commonは製薬会社でのGMP関連業務、バリデーション(医薬品・医療機器の製造工程を検証する業務)の経験を有するY氏を紹介。GMPに関するさまざまな情報や知識を提供することで、Y氏は同社がバイオメディカル分野への事業展開を進める上で大きな貢献をしてくれたと、清水氏は証言する。
「実は、その細胞医薬品製造向けのロボット導入プロジェクトは、計画段階で中止となりましたが、Yさんから得た知識やノウハウは当社の事業展開に非常に役立っています。その協業によって、専門的な知識をもとにした“会話”ができるようになったことも、大きな進歩の1つだと思っています」

外部人材活用やオープンイノベーションがより一般化する時代に

100年以上の歴史を持つ企業として、外部人材を社内のプロジェクトに参画させることに対する抵抗感はなかったのか、清水氏に尋ねてみた。
「抵抗感はありませんでした。自社にコアの技術があれば、異業界のプロフェッショナルと協業するオープンイノベーションのスタイルによって、事業の可能性は大きく広がります。我々はロボット技術のプロとして振る舞いながら、新しい事業領域にチャレンジする際にはその業界のキーパーソンと協業することで、狙いの市場にスピーディに入ることができると考えています。歴史ある企業としては意外なイメージかもしれませんが、外部との連携に関してはオープンな風土があると思います」
同時に清水氏は、外部人材の活用にはコスト面に加え、事業展開の方向性が確定していない新規ビジネスのリスク軽減の効果もあると語る。
「当社の場合は、バイオメディカルや医薬品の領域に業務自動化を提案することを推進していますが、新規の事業分野を手探りで開拓しているような状況です。場合によっては、市場の動向に合せて事業展開の方向を変える可能性もあります。また、自動化の部分を自社の技術で支援するという事業においては、一定以上の専門知識は必要ありません。そう考えると、正規雇用でハイスペックな人材を採用するよりも、効果のある部分をスポットで支援していただくという形が適していると思います」
今後に関して、同社では取り組む価値を見いだした市場には積極的にチャレンジしていくという。医療・医薬の分野以外にも、業務の自動化が進んでいないフィールドを対象にしたアプローチの際には、外部の専門家との協業という手法を採るはずだと、清水氏は予想している。
「大規模な案件になればM&Aという方法になるかもしれませんが、小さなスタートの場合は外部人材の活用やオープンイノベーションという手法は有用だと思っています。当社に限らず、自社に知見を蓄積しながらスムーズに市場に参画できる方法として、こうしたやり方はこれからの時代において一般化していくのではないでしょうか」

企業名
株式会社安川電機
設立
1915年7月16日
従業員
連結15,287名 (2018年2月28日現在)
売上
4,485 億円(2018 年2 月期)
事業内容
モーションコントロール事業、ロボット事業、システムエンジニアリング事業、その他

担当顧問より

安川電機様は、製薬メーカーに新規参入のチャレンジをしたいということで微力ながらご支援しました。最近のGMPでは、医薬品の基となるバルクに直接人が触れることができなくなっており、その意味でもロボットの活用がそれぞれの製薬メーカーでは課題となっており、安川電機様の中では主にGMPの必要性やバリデーションの位置づけなどをアドバイスしました。今後、無菌室という特殊な環境の中でのロボットの活用は必然的に多用されてくると思われるので、今後の安川電機様のご活躍を祈念致します。

登録顧問 Y氏(70代) 大手製薬メーカーにおよそ40年間勤め、主に注射製剤の製造及び製造管理を行い、社内のGMPやバリデーションを推進。更に後半は製薬メーカーとして国内初の製造委託を推進し、委託先のGMPやバリデーションを指導。その後、委託先の1社に出向し、数多くの製薬メーカーとの委受託を経験。

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