サービス導入事例

株式会社東海理化(登記社名:株式会社東海理化電機製作所)

売上:
1000億円以上
業種:
機械・電気製品

新規事業、システム

デジタルキーに、盤石な情報セキュリティ体制を。前例のない開発事例を、実用化まで徹底伴走

ニュービジネス開発部
  • 主幹 大矢 雅彦 氏
  • プラットフォーム開発室 主任 稲波 雄一 氏
  • BEFORE導入前の経営課題

    デジタルキーの製品化に伴い、「セキュリティ担保」における専門的知見のインプットや、施策検討のサポートが可能な人材を必要としていた

  • AFTER導入による成果

    高度な知見・経験を持つ専門家とのナレッジトランスファーおよびディスカッションを経て、製品化および実用化が加速した

前例のない挑戦へ向け、外部人材のネットワークを拡充

スイッチ、シフトレバー、シートベルト…株式会社東海理化が生み出す製品は、ユーザーの「快適」「安心」「安全」に密接する自動車部品が中心だ。その中には、世界レベルで売上・シェアトップクラスの製品も多数。国内外を問わず大手完成車メーカーからも全幅の信頼を寄せられており、業界内では圧倒的かつ独自のポジションを築いている。

同社が提供する製品群の中でも、今、とりわけ注目を浴びている製品のひとつが「デジタルキー」だ。デジタルキーとは、従来「有形の鍵」が担っていた解錠・施錠機能を、デジタルデバイスの操作上で実現させる、いわば「無形の鍵」である。

クラウドサービスと連動すれば、オンライン上で「鍵のシェア」が可能となる。また、対象物の範囲を自動車以外にも広げれば、あらゆるモノの解錠・施錠がワンストップで実現できる。「MaaS」「スマートシティ」等、モビリティに関するワードが日常でも浸透し始めた昨今、同社のデジタルキーがいかに社会発展を促進する製品であるかは、想像に難くないだろう。

2022年時点で、同社はすでにデジタルキーを実用化させ、さらなる開発を加速させているが、その発端は2018年にさかのぼる。当時「モノ売り」から「コト売り」へと変革を遂げるべく、新サービス創出の必要性を強く感じていた同社は、大手完成車メーカーと共同開発した「スマートキーボックス」に着目。デバイスひとつで自動車の鍵を操作できる当製品の技術を応用し、デジタルキーへ、ひいてはモビリティサービスそのものへと、昇華を試みた。

しかし、構想を具現化するフェーズにおいては、相当な苦闘があったという。現場の最前線で開発を手掛けた大矢氏は、プロジェクト発足当時について「目指したいゴールはありましたが、肝心の進め方は漠然としていました」と振り返る。製品としての構想はあれど、そもそも何から着手し、どのように収益化へつなげていくのか、社内に正解を持つ者はいない。プロジェクトの「はじめの一歩」をどう踏み出すかが、同社にとって最初のハードルであった。

時を同じくして2018年、大矢氏はi-commonサービスと出会う。元々、外部の力を借りることは視野に入れていたものの、社内の人脈には限度があると判断。ネットワークを広げる目的で問い合わせたという。「初回で現状と目指す姿をお伝えしてみたところ、当社にフィットする専門家の方々を熱心に探していただき、ご紹介いただいたことを覚えています」

同社の現状と、i-commonのリソース。双方を入念にすり合わせた結果、プロジェクトの核となり得る課題を定義し、課題ごとに専門家を活用することとなった。

専門家の徹底伴走を経て、構想の具現化へ

かくして、同社のデジタルキー開発プロジェクトは本格的に幕を開ける。専門家の力を適切に借りながらプロジェクトを順調に進める中で、こと慎重に取り組んだ課題が「セキュリティ体制の強化」であった。デジタルキーは顧客の機密情報を集約する分、盤石なセキュリティが求められる。裏を返すと、開発側にとってセキュリティの担保は、信頼たる製品として確立させるための関門でもあった。

この課題においてアドバイザーとして参画したのは、情報セキュリティの領域においてコンサルティングから技術アドバイスまで幅広く担える専門家・H氏だ。H氏の持つ豊富な経験と知見が、同社の持つ課題に合致すると判断され、社内満場一致で参画が決定した。

H氏のプロジェクト支援フェーズは2つ。一つ目は、同社がサービスの提供者として知っておくべき知識のインプットである。H氏と月2回のディスカッションや、H氏の紹介による外部セキュリティ講義やセミナーの参加。時にはH氏の人脈を伝に、セキュリティを主軸とする企業へ直接ヒアリングを実施し、プロジェクトメンバー一同で知見を深めていったという。

二つ目は、現状課題の洗い出しと施策検討である。同社で発生した課題に対し、先述で得た知識をもとに、定例ミーティングでH氏と解決策の壁打ちを行う。また、H氏は必要に応じて、外部ベンダーとの打ち合わせにも同席。同社と外部ベンダーの橋渡し役として力添えを行った。いずれのアクションからも総じて、プロジェクトメンバーの一員であるかのごとく、現場の“温度”をその目や耳で拾いながら、きめ細やかな伴走を行った跡がうかがえる。

プロジェクトメンバーとしてH氏と直接対話を重ねた稲波氏も、H氏の心強さを実感した一人だ。「相談に対する回答のスピード感はもちろんのこと、アウトプットも具体的でした。単にインシデント事例を教えていただくだけでなく、事後の対応や未防の方法も併せて教えていただきまして。おかげさまで、実行時のイメージを明確に持てました」

また、併せて専門家の支援によって得られたものを伺ってみると、「自走のための力が身についたのではないか」と語る。「現在、セキュリティの知見を持つ外注企業さんとお話をしていても、深いレベルで話を進められるようになったな、と。このベースには、やはりHさんからいただいた知識や経験があると思います」。謙虚な口ぶりながらも、切々と、H氏との取り組みによって得られた変化を明かしてくれた。

製品実用化が進む今、次に目指すは「シームレスな世界観」

さまざまな紆余曲折を経て、2022年現在、デジタルキーはあらゆる領域で実用化が進んでいる。また、製品そのものの提供だけでなく、鍵のシェアリング機能を他システムと連動するためのAPI機能提供も開始。同社の構想は、具体的な形となって着実に歩みはじめたといえる。

「Hさんからいただくアウトプットは、想定以上に私たちの課題にフィットしていました」。プロジェクトがひと段落した今、大矢氏はH氏によるアプローチと成果を振り返った。「当初はプロジェクト支援を受けるにあたって、知識を得るフェーズと実務のフェーズ、別の人で切り分けなければならないかとも思っていました。しかし、Hさんはおひとりで私たちの課題をすべて解決してくださったのです。業界の最前線に立たれていたご経験をもとに、私たちの現場に合わせて、見事に知識を落とし込んでいただいたのではないかと。本当に助かりました」

その一方で、「スケジュール調整・管理」には特に注力していたことも明かす。「プロジェクトの進行が予定通りでない時でも、伺いたいことが多い時でも、Hさんの支援を頂ける時間は有限です。時間の使い方をよく考えることも、共同検討を行ううえでのポイントだったかと」。事前の準備や調整が、支援の有意義さを左右する。大矢氏は身をもって感じた、プロジェクト支援を受ける上での工夫点を教えてくれた。

デジタルキー開発プロジェクトを経て、同社が次に目指す未来はどこだろうか。大矢氏に尋ねると、「デバイスひとつでどこへでも不自由なく移動でき、あらゆるサービスを利用できる『シームレスな世界観』の実現です」とのこと。「まずはデジタルキーを事業の柱とすべく、中期売上目標に100億円を掲げています。ただ、先ほどの世界観を実現するのであれば、今後はデジタルキーの枠を超える必要も出てきます。その時は、まだ見ぬ製品の開発へも目を向けていくでしょう」――デジタルキーの浸透、ひいてはその先を見据え、同社のあくなき挑戦はこれからも続く。

企業名
株式会社東海理化(登記社名:株式会社東海理化電機製作所)
設立
1948年8月
従業員
19,888名※連結(2021年3月末現在)
売上
4,400億円※連結(2020年4月1日~2021年3月31日)
事業内容
自動車用各種部品(スイッチ、キーロック、シートベルト、シフトレバー、エレクトロニクス応用製品、ステアリングホイール、コネクター、ミラー、樹脂ホイールカバー、オーナメント)の製造・販売

担当顧問より

東海理化様が開発する、インターネットを使ったデジタルキーにおけるセキュリティ設計のアドバイスを、2018年5月から2021年6月まで約3年間支援させていただいておりました。本プロジェクトでは、サイバー攻撃や対処技術といった、インターネットセキュリティ技術を中心としたナレッジトランスファーや、新規サービスの情報セキュリティの共同検討をサポートしました。東海理化様の担当者の皆様にとっては、これまでご経験のない分野にも関わらず、問題解決に向け情熱を持って取り組まれておりました。節々にモノづくりって良いなと気付かされるような経験でした。

登録顧問 H 国内最大手セキュリティベンダーにて、リサーチャー、マルウェア解析ラボ、サイバー攻撃対策チームの立ち上げ、技術部長職を得て、上級サイバークライムアナリスト職として愛知県警察、福岡県警察、北海道警察のテクニカルアドバイザーを歴任。独立後は、民間企業のアドバイザー職や事業推進、法執行機関向け支援活動等に携わる。 GCFA(GIAC Certified Forensic Analyst)資格保有者。

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