サービス導入事例

帝国繊維株式会社

売上:
100億円~1000億円未満
業種:
素材・素材加工品

生産

製造現場と企業経営の両方を熟知した専門家を迎え、
生産改善の取り組みが軌道に

常務取締役 経営企画部長
  • 岡村 建 氏
  • BEFORE導入前の経営課題

    工場の追加設備投資を検討する上で、設備投資が正しいのか判断に迷っていた

  • AFTER導入による成果

    生産ラインのみならず組織面についても専門家からの助言を受けて改善への指針が定まり、この先の事業ステージに向けた改革の第一歩を踏み出せた

インフラ整備に先立ち、不可欠だった生産ラインの見直し

消防ホースや防災車輌の製造・販売など、総合防災事業を中心に手掛ける帝国繊維株式会社。創立は100年以上前に遡り、社名の通り、元々は麻糸を扱う繊維会社として誕生。マーケットの変化に対応し、事業転換を進め、平成での2度の大震災を経て、防災事業の比率を高めてきた経緯がある。近年は、消火用水利確保や水害被災地での排水などに用いられる大口径ホースの製造にも注力している。

同社がホース製造を行う鹿沼工場(栃木県)は、老朽化による建て替えの必要性が議題に上っていた。常務取締役 兼 経営企画部長である岡村建氏は、当時の懸念として「単に建物を新しくするだけでは十分な生産効率化は図れず、かえってコストがはね上がる事態になりかねないと感じていました」と明かす。「その前に、まずは現状の生産ラインにおける改善点をすべて洗い出し、考え得る策を打った上で、その結果を踏まえて設備投資をすることが重要だと考えたのです。次の事業ステージを見据えてこのタイミングで、工場のあり方、当社のモノ作りのあり方を改めて見つめ直す必要がありました」と振り返る。

岡村氏は、当初から、外部の知見を取り入れたいと考え、生産性に詳しいコンサルや大学関係者などにアドバイスを頼めないか、探し始めていたという。ちょうどその折、i-commonサービスを知った。そこで要件に沿う専門家として提案されたのが、大手メーカーでCEOを務めた経歴を持つ生産・品質領域のプロフェッショナルY氏だった。岡村氏は初対面でのY氏の印象を「生産現場での豊富なご経験に加え、グローバル企業の元CEOというお立場から経営全体を俯瞰する視点もお持ちでした。それでいて高みから発言されることは一切なく、同じ目線で率直に対話できるお人柄にも信頼感を覚えました。当社社長との面談でも、経営者同士、最初から要点を抑えて深く掘り下げた会話が交わされ、波長が合うと感じたことも決め手になりました」と話す。

生産工程だけでなく意識改革の面でも的確なアドバイス

2018年9月より、Y氏をアドバイザーに迎え生産改善プロジェクトがスタート。Y氏は月2回工場を訪れ、現状の生産ラインを細かく確認し、改善点の指摘を行ってきた。その一つが、工程と工程との間の距離やバランスだ。実は、鹿沼工場はもともと麻糸を製品化する工場として建てられ、その後、業態転換に伴って段階的にホース製造用の設備が整備されてきた過去がある。そのため、ホース製造の動線は理想的とは言えないものだった。また、ホース製造の都合上、中間製品を在庫として一定量置いておく方法をとっていたことも、工程間のスムーズな流れを阻害する要因となっていた。このほかにも現状分析のために製造工程を動画で撮影し、機器の配置などによって従業員の体に負担がかかったり、無駄な動きを生じさせたりしていないか検証を重ねてきた。

こうした分析結果を踏まえて生産改善への大枠の指針が固まり、プロジェクトは現在、具体的な施策を計画・実行していく段階へと進んでいる。岡村氏は現時点での成果の一端として、プロジェクトメンバーである工場の30~40代の若手従業員に変化が表れていることを挙げる。「Yさんには、我々が普段なかなか学ぶ機会のない『工場経営とは』という根本のところからご指導いただいています。『工場においては、一つひとつの小さな工夫が日々の積み重ねとなり、最終的に生産性の向上につながる』という教えに若手のメンバーは共感しているようで、本人たちの意識や話す内容が変わってきた実感があります」と岡村氏。Y氏の参画により、生産性向上に関する知見の伝授だけでなく、人材育成や意識改革の面でも、プロジェクトは着実に成果を上げつつあると言える。

理念が組織に浸透してこそ、生産改善は実現できる

生産改善の取り組みは、言い換えれば、これまでやってきたことを変えていくことであり、道のりは容易ではない。同社でも過去に、外部コンサルを入れて取り組みに着手したものの、長続きせずに終わった経験があるという。岡村氏は「当時のプロジェクトに私自身は関わっていないのですが、おそらく現場の従業員へのモチベーションの持たせ方や、組織の動かし方の点で、対応が中途半端だったのかもしれません」と原因を推測する。「今回のプロジェクトが順調に進んでいるのも、Yさんがこれまでのご経験から『現場はどうすれば動かせるのか』について確かな知見をお持ちだからこそ。『何のために改善に取り組むのか』『なぜ変えなければならないのか』という確固たる理念が共有されなければ、取り組みは現場には浸透せず、人はなかなか変われないのではないでしょうか。Yさんには、意識改革や役割の整理といった生産工程以外の面も含めて、実効的で深みのあるアドバイスをいただいています」

岡村氏は今回初めてi-commonサービスを利用した感想として、提案の的確さやスピード感、多岐にわたる領域で経験豊かな専門家が登録している点に良さを実感したと語る。「今振り返ると、i-commonの営業の方から『Yさんという素晴らしい専門家がいるのでぜひ会ってみてほしい』と勧められたことは、当社にとって大きな転機になりました。外部知見の活用を検討している企業の方は、我々がそうしたように、提案された専門家にまずは会ってみて、その方のご経験を聞いてみることをお勧めします」と岡村氏。面談を通して、専門家からどのようなサポートを得られるのかを具体的にイメージできたことで、長年の懸案事項の解決に向けて、本腰を入れて取り組む機運が高まった形だ。

岡村氏は今後について「これからもマーケットに受け入れられる製品を開発し、常に高い品質を維持しながら、効率的に生産していくことに注力したい」と説明する。近年、異常気象による水害被害が増加し、南海トラフ地震や首都直下地震への対応も重要性を増す今、防災への世間の関心は非常に高い。同社では引き続き、専門家と連携した生産改善への取り組みを加速させながら、総合防災事業を通して社会の安心・安全に貢献していくことを目指している。

企業名
帝国繊維株式会社
設立
1950年7月(創立1907年)
従業員
147名、連結313名(2019年3月現在)
売上
296億円(2018年12月)
事業内容
防災事業(消防ホース・救助工作車等の製造・販売、空港用化学消防車・災害対策資機材等の卸売・輸入販売、等)、繊維事業

担当顧問より

帝国繊維様のホース製造工程は、長い歴史に培われた工夫が随所に生かされている反面、度重なる市場ニーズへの対応から生じたレイアウト上の課題も目立ちます。しかし、今回の立替工事で理想に近い形のラインを構築できるチャンスが巡ってきました。
とはいえ成熟した産業分野で固定費を増やすことはリスクを背負うことになるため、経営陣との意思疎通に時間をかけその思いをよく理解したうえで、メリハリの効いた投資効率の良い活動にすることを強く意識しています。
私はここまでの活動で、モノづくりに関係する皆さんの潜在能力の高さと課題に向き合う素直な姿勢に手ごたえを感じています。また、今回の活動を通じてモノづくりの組織と風土を強化したいという、経営陣からの強いご意思も伺っています。
結果的に、外部支援がなくても自社だけでPDCAが自転する、筋肉質の個人と組織づくりが今回の活動の本当の目的だと認識しています。

登録顧問 Y氏(60代) 製造業界の大手企業にて製造現場の経験を経て、生産管理や生産効率化業務を担当。工場長として製造現場の管理を担った後、取締役執行役、代表取締役を歴任する。現場と経営の両方の視点を備え、製造現場で起きている課題を抽出した上で解決策を提示し、経営改善につなげる知見を有する。