サービス導入事例

シスメックス株式会社

売上:
1000億円以上
業種:
医療・医薬品

システム、品質

グローバルをまたぐ全社横断のプロセス変革とシステム刷新。アドバイザーとの協業でスムーズな推進を実現

DX戦略推進本部
  • デジタル企画部 課長 田中 宏幸 氏
  • デジタル企画部 シニアプランナー 矢野 光洋 氏
  • BEFORE導入前の経営課題

    各種規制が絡むグローバル5地域横断の基幹システム刷新を、着実かつスピーディに成功させるべく、アドバイザーとマンパワーの補填を必要としていた

  • AFTER導入による成果

    各種規制整備から実装まで、滞りなく進行。「デジタル化」フェーズから「DX」フェーズへと、躍進を遂げる一歩を踏み出した

グローバル横断、大規模なシステム刷新プロジェクト

検体検査事業を主軸とし、現在世界190カ国以上に製品・サービスを展開する医療機器メーカー『シスメックス社』。医療・ヘルスケア領域に携わっていれば、その名を知らない人はいないだろう。ライフサイエンス領域のリーディングカンパニーとしてすでに名高い同社だが、より時代に即したソリューションを提供すべく、2018年よりデジタル化およびDXの推進を始動。初期の取り組みとして、DXのための基盤であり、すべての事業体を支える「基幹システム」を全社一挙に刷新するプロジェクトを稼働した。

同社にとって、当プロジェクトを決して「単なる更新業務」と捉えることはできない。プロジェクトの目的のひとつには、全社内の各部門・地域によって部分最適となっていた「経営プラットフォーム全体におけるプロセスの統合・見直し」が含まれているためだ。その対象範囲は、5つのグローバル全地域を横断する。その規模と工数が、いかに壮大であるかは明白だろう。

加えて「法規制」も、刷新の関門として立ちはだかる。例えば、システム構築ひとつとっても、そのプロセスからオペレーションに至るまで、すべての行いを記録し文書化することが求められる。市場へと提供される製品・サービスに対し、メーカー側が品質と責任を全面的に担保する必要があるためだ。命そのものと密接に関連する、ライフサイエンス領域ならではのハードルである。

PMOの役割を担う田中氏は「法規制を遵守しつつも、遅延なく遂行することが求められていましたが、実現にあたり社内だけではマンパワーが足りない状況でした」と語る。そこで、外部人材の力を借りることを検討。たどり着いたのが『i-common』だったという。「今回のプロジェクトは、リージョン別に進行していましたが、それぞれに進行のバラつきがありました。この差を縮小できるよう、必要な期間に絞って、マンパワーをスポット活用できる点はありがたかったですね」とのこと。

また、PMOかつグローバル統制の役割を担う矢野氏は「アドバイスをいただけるだけでなく、マネジメント的立ち位置からプロジェクトメンバーとして、両手型で稼働いただけることが大きな理由です。加えて、医療業界でのシステム構築というと、非常に高い専門性が求められる領域のため、その分解決できる方は希少性が高いとも言えます。私たちのピンポイントな課題に刺さる方を提案いただいたことも、決め手のひとつでした」と振り返った。

現場を知るからこそ叶う、「実践的なアドバイス」

かくして、各リージョンで進行の足並みをそろえるため、同社は総勢3名の専門家を迎え入れることとなった。ファーマコビジランスのシステム導入から業務改革コンサルティングに至るまで、幅広い経験と知見を兼ねそろえたA氏、H氏、W氏だ。

任されたミッションは、大きく分けて3つあった。記録を残すうえでの前提となる、内部規制およびSOP(標準作業手順書)の整備。実装フェーズにおいて、外部SIerより提示される文書の妥当性判断と交渉。文書の責任者や承認対象者、承認タイミングなど、承認プロセス一連の策定。いずれも法規制に順応し文書化するための仕組みづくりだが、この仕組みが国内のみならずグローバルに適応しているかの判断も求められる。これだけで莫大な労力を必要とすることは想像に難くないが、同社は専門家3名とともに、各リージョンにおいてこれらを成し遂げている。

専門家との協業の中で、矢野氏は「現場目線で、地に足の着いたアドバイスを貰えたことが非常に印象的だった」と語る。「たとえば今回のプロジェクトでは、多くのステークホルダーに承認を得なければならない場面が発生します。その際、現場の状況を加味したうえで、具体的な動き方をご教示いただきました。一般的なアドバイスというと、一辺倒な内容に終止しがちで、どう自社に適用すればよいか分からないケースも多いでしょう。しかし今回、現場を実際にその目で見ていただき、実践的なアドバイスをいただけたことがとてもありがたかったですね」

また、チームの一員として参画いただくことで、予想外の副産物も生まれたようだ。「メンバーに対しての教育的な側面でも、刺激があったように感じます」と述べるのは田中氏。「専門家の方には、メンバーとのコミュニケーションを非常に丁寧に取ってくださいました。決して『ああすべし、こうすべし』と一方的ではなく、メンバーの問いかける疑問点がどんなささやかなものであっても、同じ目線に立って都度こまめにチャットで回答いただきました。とても実の多い協業だったと思います」と、活用によってナレッジが蓄積するメリットについても語っていただいた。

「得ることが多い協業となった」と語る両氏だが、その一方で、事前に入念な環境づくりを行っていたことも明かす。「専門家の方をお招きするにあたり、何をお任せするべきか、明確に言語化し準備しておくことと、チームメンバーとのコミュニケーションを取れる場づくりには力を入れました」。プロジェクトメンバー一丸となってゴールや役割分担を共有することで、お互いの信頼関係を構築できたことも、順調な協業進行の要因となったようだ。

「外向きのDX」に向けて、これからも外部人材とともに

同社にとって今回のプロジェクトは、あくまでも成長のための通過点に過ぎない。見据える次フェーズは、情報技術の駆使によって市場に新たなソリューションを創出する「外向きのDX」である。

「今後のビジョンとしては、診断領域に対する臨床的な価値提供そのものの変革を見据えています。私たちにとって、あくまでも当プロジェクトは、そのためのファーストステップなのです」。当プロジェクト完遂後のビジョンについて、そう語ったのは田中氏だ。

また、外向きのDXに向けて「これからも第三者の目線は必要だ」と語るのは矢野氏。「今回のように、システム刷新ひとつおいても、私たちにはこまやかな規制が幾重にも絡みます。その分、決していい加減な対応はできません。だからこそ、私たちの行いに対して『遠慮なく苦言を呈せる存在』は必要不可欠なのです。もちろん、私たちが自走できることが理想ではありますが、しばらく時間はかかるでしょう。その時まで、外部の方にはぜひとも引き続き、目をかけていただきたいです」

新たな領域へと飛躍するための心意気に、同社の明るい未来が垣間見えた取材となった。

企業名
シスメックス株式会社
設立
1968年2月
従業員
9,510名(2021年3月31日現在)※連結
売上
3,050億円(2021年3月期)※連結
事業内容
臨床検査機器、検査用試薬ならびに関連ソフトウェアなどの開発・製造・販売・輸出入

担当顧問より

シスメックス様は検査機器と試薬分野に加え、ライフサイエンス領域へと事業を拡大され、製造から販売後のサポートまで一貫して行うヘルスケア企業としてグローバルに展開されています。この度、全社プロジェクトとして基幹ERPシステム更新を DXの視点で開始され、「規制当局へのレギュレーション対応」をより適正化したいとの要請が寄せられました。今回のコンサルティングでは、医薬品分野での GxP CSVの経験を医療機器分野へも適切に適用することと、医療機器への特別なレギュレーション対応(ISO-13485/ ISO TR-80002-2適用など)を、整合性を取りつついかに合理的に規制対応ドキュメントへ落とし込むかが課題でした。最初の3か月で規制当局対応の基本的な方針立案や、関連するガイドラインやテンプレートを作成し、基本的な道筋(GxP CSV方針)を立てました。またこの基本方針を踏まえ、日々個別の対応手法の説明、さらに推進においてタイムリーで具体的なレスポンスを心掛けました。

登録顧問 A 医薬品大手企業で、研究開発部門へのIT支援業務とインフラストラクチャー構築・運用などを経験した後、GxP: Good x Practice, CSV: Computerized System Validation業務を経験した。その後医薬品安全性管理アプリケーションシステム提供メーカーに転職し、医薬品メーカー向けのグローバルプロジェクトに参画して GVP専門家として支援を行ってきた。また、2019年からは、GxP/CSVコンサルティングとして独立し、医薬・医療機器メーカーへの支援を行っている。

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