サービス導入事例

株式会社昭和真空

売上:
100億円未満
業種:
機械・電気製品

品質

仕組み・道具・人材の3つの側面から、生産改善・品質保証の取り組みを着実に推進

技術本部 技術開発部 部長代理
  • 大谷 茂 氏
  • BEFORE導入前の経営課題

    受注生産の設計プロセスにおける手戻りの削減や、品質保証に特化した部門の立ち上げを進めるにあたり、知見を持つ専門家のアドバイスを必要とした

  • AFTER導入による成果

    生産効率改善に通じた専門家の支援により、要件を整理し設計へと落とし込む仕組みの浸透が進んだ。また、品質保証部の組織づくりや、設計部門の人材育成についても取り組みを進行中

受注生産ゆえの積年の課題だった「手戻り」

神奈川県相模原市に本社を置く株式会社昭和真空。真空技術を応用した装置のメーカーであり、なかでも水晶デバイス向け装置のシェアは8割と、この分野におけるリーディングカンパニーとしての実績と地位を確立している。同社の特色の一つは、扱う装置の多くが顧客の要望に応えた1台ごとの受注生産であること。顧客ニーズへのきめ細かな対応を経営の第一方針に掲げる一方で、受注生産ゆえの長年の課題もあったという。

「カスタムメイドの装置の場合は、お客様からのオーダーを受けて、その都度、要望に応じた設計をおこない、部品を調達して装置を完成させます。この一連の流れの中ではしばしば、製造工程に進んだあとに設計由来の問題が生じ、図面を書き直したり、場合によっては再び設計をし直したりする事態が生じることがありました」と技術開発部の大谷茂氏は明かす。カスタムメイドを基本とする以上、こうした「手戻り」が発生するのは致し方ないとの考え方もかつて社内にはあったそうだが、近年は利益追求やリードタイム短縮などの観点からも、手戻りの削減はクリアしなければならない重要な課題にのぼっていた。

加えて、もう一つの課題として存在していたのが、品質保証の体制強化の必要性だ。これまでも生産部門内に品質保証課はあったものの、顧客からの問題発生報告の受付窓口のような位置付けにとどまり、本来の品質保証部門の役割である、問題の原因究明や解決、未然防止につなげる機能を十分に果たせていなかったという。そこで、今後の方針として、品質保証に特化した部署を立ち上げることが定まり、2018年9月より生産効率改善の分野を得意とするi-commonの登録専門家(以下、M氏)をアドバイザーとして活用することを選択。新部署の立ち上げは2019年度に計画されていたため、そこへ向けた足掛かりとしてまずは、M氏の支援のもと、生産部門の上流である設計品質の安定化を目指した取り組みがスタートした。

要件を整理し、設計に落とし込むプロセスを“見える化”

手戻りの削減に向けてM氏が提言したのは、顧客の要求を具体化して整理し、設計に落とし込むための仕組みづくりだ。仕組みを整えることで、これまで知識やスキルが属人化しがちで、チーム内での共有や若手への継承が十分におこなえずにいた現状を改善していく狙いもあった。M氏は、VE(※1)やQFD(※2)などのデータサイエンスに基づく手法について、設計メンバーにレクチャーを実施。また、進行中の開発案件をモデルケースに、手法を実際に用いて浸透を図った。

大谷氏は「VEやQFDを学んでいくうちに、これらの手法は、われわれが今まで経験値をもとに頭の中で考えながらやっていたことを、書き表して誰もが見えるような形に整理することにほぼ等しいと気づきました」と振り返る。その後の新規受注においても、QFDに沿った要件の整理や設計管理を継続していて、手法が徐々に定着しつつあるという。各自が頭の中で進めていた仕事がオープンになり、見える化されたことを大谷氏はここまでの大きな成果に挙げる。

2019年度に入り、計画通り新たに品質保証部が立ち上がり、M氏の支援は、同部の組織づくりや仕組み整備へと比重が移行。関連部署を巻き込みながら問題解決へのアプローチを図るなど、本来あるべき品質保証の活動を追求し推進中だ。並行してM氏は設計部門への支援も引き続き担い、QFD実践などに関わるアドバイスを随時おこなっている。

※1 VE(Value Engineering)…製品・サービスが果たすべき「機能」と、そのためにかける「コスト」との関係を把握し、システム化された手順によって「価値」の向上をはかる手法
※2 QFD(Quality Function Deployment)…「品質機能展開」とも呼ばれ、顧客のニーズを整理し、円滑に技術分野に伝達することを目的とした品質管理手法

気兼ねせず相談できる関係性を支えにプロジェクトが加速

品質改善を目指す上で欠かせない要素としてM氏が挙げるのが、「仕組み」「道具」「人材」の3点だ。要件を整理し設計に落とし込む「仕組み」づくりや、高機能3次元CADなどの「道具」の活用が進んできたなかで、次なるテーマとしてM氏は「人材」にフォーカス。近く、人材育成の具体的な取り組みに着手することが予定されている。大谷氏は「仕組みや道具がある程度そろっても、依然として設計の品質は実務者個人の力量やスキルの差に左右されやすいのが実情。昔のように現場で先輩の背中を見て覚える、という時代ではなくなっているので、若手・中堅を問わず、それぞれの立場において必要なスキルや知識を身につけ着実にステップアップしていける仕組みづくりを進めていきたい」と語る。

手戻りの削減に向けた取り組みはまだ道半ばだが、i-commonサービスやM氏への満足度は現時点でも極めて高いと大谷氏は言う。理由の一つとして、何でも相談しやすいM氏の人柄を挙げる。「初めてお会いしたときから、Mさんとなら、われわれが抱える課題の解決に向けて一緒に歩んでいけそうな雰囲気を感じました。実際にプロジェクトがスタートしてからも、ご自身の考えを押し付けるようなことは一切なく、対話を重ねながら、豊富な知見をもとにした的確な助言や提案をしていただけるのは非常にありがたいですね」と大谷氏。

同社では過去にも、外部の専門家をアドバイザーに迎えた経験が何度かあるが、今回初めてi-commonサービスを利用して、大谷氏は今までとは違う手応えやプロジェクトの進めやすさを実感したと振り返る。「これまでは外部から参画いただく専門家の方々を先生と呼んでいたのですが、Mさんは『“先生”は不要ですよ』と。ときにはフランクにもお話しできる心理的な距離の近さは、今までと大きく違います。『困っていることがあれば何なりと相談に乗るので、私をうまく使ってほしい』ともおっしゃっていただき、そのことも、気兼ねなく相談できる信頼感につながっています」。今後も引き続きM氏と連携して、仕組み・道具・人材の3つを重視した生産改善や組織づくりに注力していく考えだ。

企業名
株式会社昭和真空
設立
1958年8月(創業1953年)
従業員
190名(2019年3月現在)
売上
99億円(2019年3月)
事業内容
水晶デバイス用、光学薄膜用、電子デバイス用などの総合的な真空関連装置ならびに真空機器等の製造・販売

担当顧問より

昭和真空様の設計者は、担当にアサインされると、製品仕様から基本設計、詳細設計へと基本的に一人で主担当します。この設計形態は、技術者としてのやりがいが大きく個人スキル習得に有利なものの、ともすれば設計資産やノウハウが個人に暗黙知化してしまう傾向があります。長年積み重ねてきた技術を見える化して伝承していく仕組みを伝道すれば、発生している手戻りが削減できるのではないかと考えたのが、支援の出発点でした。ワークショップ形式で進めた科学的手法は、もともと高い個々の設計者の技術的なポテンシャルによって短期間に習得がなされ、昭和真空殿に合致した独自の使い方の獲得にまで繋がりました。品質保証体制構築についても、お客様視点のモノづくりの開発~生産~品質保証までを一気通貫にする仕組みや仕掛け・人材育成が重要であり、この活動はまだ始まったばかりですが、担当部署メンバーは意気高揚として張り切っています。私を使い倒す勢いで活用していただきたいと考えております。

登録顧問 M氏(50代) 機械・製造業界の企業の生産技術部門で、機械系装置、治工具設計、先行要素技術開発、商品の生産設計業務に従事。その後携わった原価企画活動では80億円の年間コスト削減に貢献。開発上流段階でのQCDフロー推進や、開発~生産までのモノづくりの全体を一気通貫通にした生産性向上、効率改善なども実現させた実績を持つ。