サービス導入事例

三菱地所コミュニティ株式会社

売上:
100億円~1000億円未満
業種:
建設・不動産

新規事業、マーケティング

外部の知見を取り入れ、業界の“常識”にとどまらない発想と視点で新サービスを事業化

イノベリオス株式会社
取締役 常務執行役員 兼 管理部長
  • 安藤 康司 氏
  • BEFORE導入前の経営課題

    新規事業の構想は固まったが、社内の承認を得る段階へと進めるにあたり、検討に抜けや漏れがないか不安があった。また、事業化へと動き出した場合の具体的な進め方についても助言を必要とした

  • AFTER導入による成果

    新規事業立ち上げの経験を豊富にもつ専門家のサポートにより、マーケット調査や事業収支計画作成などの準備を着実に進め、事業化の承認を獲得。晴れて新会社設立およびサービスリリースに至った

前例のない事業だからこそ要した慎重な検討

三菱地所グループのマンション総合管理会社である、三菱地所コミュニティ株式会社。同社は2020年7月、培ってきたマンション管理のノウハウを集約したアプリ「KURASEL(クラセル)」をリリースした。これは、マンション管理組合自らがスマートフォンで簡単にマンションの自主管理ができるアプリで、管理コストの削減や、組合役員の担い手不足といった社会課題の解決にもつながるサービスとして注目されている。この事業の立ち上げ準備において、同社はi-commonを通して専門家の知見を活用してきた。事業戦略部部長として新事業立上げを牽引し、現在は、同社から分割して誕生した、イノベリオス株式会社で「KURASEL」の運営に携わる安藤康司氏にお話を伺った。

同社が外部知見の活用を考えたのは、サービスリリースからさかのぼること1年数カ月前の2019年春。新規事業の構想が固まった段階だったという。「その時点でサービスの枠組み構築まではほぼ終えていましたが、そこから先、より具体的な検討に入るにあたり、実際に新規事業を立ち上げた経験を持つ方の客観的な助言を受けながら、抜けや漏れがないよう慎重に進めたいと考えました」と安藤氏は振り返る。

その理由として、今回のプロジェクトが同社にとって初の本格的な新規事業創出の取り組みだったことが背景にある。加えてもう一つ、業界でも前例のない新たなサービスという点でも、慎重な検討を要した。「自主管理アプリというアイデアは、マンション管理業界がこの先直面するだろう人材確保難などの課題を意識して生まれたもので、ニーズや社会的意義は必ずあるはずだと捉えていました。一方で、自分たちの既存事業にとって利益相反となるサービスでもあり、社内で事業承認を得るハードルの高さも感じていました」と安藤氏。

そこで、i-commonを通して専門家の知見を活用することを選択。新規事業立ち上げの経験が豊富で、なおかつ複数の企業で経営に携わってきたS氏をアドバイザーに迎え入れ、2019年4月より具体的な検討に着手した。

専門家の助言で実施したマーケット調査に手応え

S氏も交えた毎週の定例ミーティングでは、新規事業を進める上で押さえるべきポイントについて、幅広い観点からアドバイスが行なわれた。中でも安藤氏にとって“目からウロコ”だったのは、マーケット調査を実施すべきだというS氏の提案だ。ニーズはあるはず、と自分たちの直感で突き進むのではなく、その根拠を客観的な数値で示す必要があることを理解した安藤氏は、さっそく既存事業の顧客を対象にアンケート調査やインタビューを実施。その結果、想定していた以上に自主管理アプリへのニーズや期待が高いことがわかった。

「アンケート結果で驚いたのは、『管理コストを削減できるから』という理由以上に、『住民がマンションの現状や将来の課題について主体的に考えるきっかけになるから』という理由で、サービスを評価してくださる方が多かったことです。その観点は、今後サービスの利用者を増やしていく営業活動においても重要なアピールポイントになると考えています」と安藤氏は手ごたえを語る。

このほか、事業収支計画の作成や新会社の設立に関しても、S氏からは実体験に基づく具体的なアドバイスがあったという。検討作業は順調に進み、その先は社内のメンバーで進められる目途が立ったことから、半年弱で契約を終了。その後、目標通り同9月に社内での事業承認を得て、晴れて新会社設立とアプリのサービスリリースに至った。

業界に変革をもたらす新サービスを実現

今回、社外から専門家を迎えた4カ月間を振り返り、安藤氏は「期待を超える結果を得ました」と語る。「Sさんのアドバイスは常にわかりやすく、私たちが知りたいと思ったことに対してお答えいただけないことは一度もありませんでした。そのため、回を重ねるにつれてチームのメンバーは、つい、あれもこれもSさんに相談や意見を求めてしまうこともありました。しかし、それでは限られた時間を有効に使えないと気づいて反省しました。専門分野で極めて豊富な経験と知見を持たれている方だからこそ、自分たちがどの範囲内でサポートやアドバイスをお願いするのか、チーム内で認識をしっかりと合わせておくことが大事だと感じます」

また、S氏を通じて不動産業界の外の視点や考え方に触れられたことも、意義深かったという。「この業界は閉鎖的な側面があり、劇的に動くことは少なく、前例を踏襲しがちです。仮に今回、社内のメンバーだけで新規事業を進めていたら、業界の慣習や既存の価値観にとらわれて、これほどスムーズに事業化にはたどり着けなかったと思います。不動産業界の中の“常識”は、必ずしも世の中の常識ではないのだと気づかされ、その枠を越えて発想や視点を広げる良いきっかけになりました」と安藤氏は成果を振り返る。

業界初となるマンション自主管理アプリへの注目度は高く、サービス開始から2カ月で、既存事業の年間の問い合わせ件数に相当する反響が寄せられている。また、このアプリを介した協業やタイアップの要望も、同業他社や関連業界から挙がっている。今後、2024年度末までに全国3,000マンションでの導入を目標に掲げ、マンション管理のビジネスモデル転換を目指していく考えだ。

企業名
三菱地所コミュニティ株式会社
設立
1969年12月
従業員
5,514名(2020年7月現在)
売上
55,514百万円(2020年3月末現在)
事業内容
マンション総合管理事業、ビル総合管理事業、リニューアル工事事業など

担当顧問より

初めて安藤様、三菱地所コミュニティ株式会社の皆様とお会いした時、M&Aによるシェア拡大によって自社の将来を確保しようとする同業他社とは一線を画し、日本のマンション管理業界全体が抱える社会問題を考え、新たな価値創造により日本のマンションの将来を担っていこうという姿勢に共感を覚え、プロジェクトに参画させていただきました。

プロジェクトチームは安藤様が中心となり、経営企画やシステム部門のリーダーの方々など精鋭揃い。進捗の共有、今後の進め方、最終的な落し所についての議論を毎週精力的に進めさせていただきました。マンション管理業界を熟知された皆様と、いろいろな業界でテクノロジーを活用した新規事業を立ち上げてきた私の経験と知識が融合できたことが、スムーズなプロジェクトの進捗、そして新会社設立による新規事業の展開へと進むことができた要因の一つではないかと感謝しています。

新会社 イノベリオス株式会社による新規事業KURASEL(クラセル)も好調にスタート。末永くみんなが安心して暮らせるマンション管理サポートの実現に向けて今後の発展を楽しみにしています。

登録顧問 S氏 流通大手企業を経て、外資系コンサルティングで戦略・マーケティングコンサルタントとして活躍。様々な業界における事業戦略立案や新規事業立上げに携わる。さらに国内ベンチャー、外資系大手IT企業等にて執行役員やディレクターなどを歴任した後、シェアエコノミーの草分けである外資系企業の日本法人代表として日本市場参入を実現。その他にも、e-ラーニングにおける代表的企業の日本事業展開や、国内企業の社外取締役、アドバイザー経験を多く持つ。

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