サービス導入事例

ライオン株式会社

売上:
1000億円以上
業種:
生活用品

新規事業、マーケティング

「小さく、早く」が理想の新規事業立ち上げだからこそ、業界を知る専門家の活用が鍵に

研究開発本部 イノベーションラボ
  • 副主席研究員  藤山 昌彦 氏
  • 副主任研究員   川崎 亜沙子 氏
  • BEFORE導入前の経営課題

    同社初となる美容機器の開発・事業化プロジェクトを進めるにあたり、美容分野のマーケティングやブランド立ち上げの知見がなかった

  • AFTER導入による成果

    美容業界で経験豊富な専門家の助言により、顧客ターゲット層への理解が深まり、アプローチ方法や製品の見せ方・伝え方についてもノウハウを獲得。今後の一般発売やシリーズ化に向けて弾みがついた

培ったオーラルケア技術を活かし、新しい領域へと挑戦

国内シェアNo.1を誇るオーラルケア製品(歯磨剤、ハブラシ)をはじめ、生活用品を広く手掛けるライオン株式会社。120年以上にわたり培ってきたオーラルケアの技術を活かし、同社では2017年から、新規事業として美容機器「VISOURIRE(ヴィスリール)」の開発・事業化に取り組み、このプロジェクトにおいてi-commonサービスを活用している。

VISOURIREは同社にとって、さまざまな側面で新たな領域への挑戦となる製品だ。第一に、初の美容機器であり、なおかつ新ブランド・VISOURIREのデビューを飾る製品であること。加えて、「口の中から表情筋へアプローチする」という、美容機器としての使い方自体の新しさ、さらに、予定価格帯も高額であり、既存の製品ラインナップとは大きく異なる。この新しい美容機器が世の中に受け入れられるのかを確かめるために、同社は2018年9月にクラウドファンディングを初めて利用した。その結果、目標金額の3倍を達成するほど大きな反響を集め、700件を超える先行予約を受けた。プロジェクトを率いる研究開発本部イノベーションラボの藤山昌彦氏は「次のステップとして一般販売を検討するステップに進むにあたり、これまで日用品の分野で培ってきたのとはまったく違う知見やノウハウが必要になるだろうと感じていました。特に重要だったのは、口の中からアプローチする、という新しい美容法をいかに世の中に発信し浸透させていけるか。マーケティング戦略やブランド育成などあらゆる面で、美容業界に通じた方の助言を必要としました」と振り返る。

i-commonから提案された複数の専門家の中から、美容業界で長いキャリアを有し、商品企画開発や海外ブランドの販売戦略でも経験豊富な女性顧問T氏の参画が決定した。同じくイノベーションラボでプロジェクトに携わる川崎亜沙子氏は「最初の面談の段階からTさんはこの製品の特長や、それを伝える際の薬事法上の難しさも的確に理解しておられ、その場でいろいろと提案してくださいました。美容のプロとして皮膚のメカニズムにも詳しく、製品の正しい使い方をユーザーに伝えていく上でも、プロジェクトにぴったりな方だと確信しました」と語る。

興味を喚起する「見せ方」「伝え方」のノウハウを獲得

2018年12月、T氏をアドバイザーに迎えてプロジェクトは新たな段階へと進んだ。まず取り組んだのは、クラウドファンディングの支援者約700名の属性や購買理由を把握・分析すること。対面インタビューなどを通して、購買者が製品のどこに魅力を感じているのかを詳しく探り、事前の仮説を肉付けする作業を進めた。その分析結果を踏まえ、T氏のアドバイスは現在、プロモーション戦略やブランディング、商流などにも広く及んでいる。

なかでも、製品の「見せ方」「伝え方」について学ぶことが多かったと川崎氏は言う。「女性の多くは美容製品を選ぶ際に『持っていると気分が上がりそう』『使うと綺麗になれそう』といった情緒面を大事にするとされます。その観点から、使い方の解説動画や製品カタログの内容をどう工夫すれば、見る人の興味をより引くことができるのか、Tさんから経験に基づく多面的なアドバイスをいただきました。加えて『この製品をなぜライオンが手掛けるのか』という文脈と合わせることでいっそうの差別化が可能になる、との助言を得て、自分たちだけでは考え付かなかった打ち出し方が見えてきました」と手応えを語る。

藤山氏は、顧客ターゲット層への理解が深まったことも成果の一つに挙げる。「美容に関して感度の高いユーザーの方々が、日々どのような購買行動や情報収集をされているのか、具体的なアドバイスを受けて理解がかなり進みました。それを元に、今後の情報発信の仕方や、販売方法、さらにはユーザーとの継続的な関係構築などについても、具体的にプランを立てていく考えです」と藤山氏は説明する。

知見に基づく助言で、自社製品の相対的な強みや可能性が明確に

現在は先行予約分の製品発送を終え、一般販売に向けた検討を重ねている段階だ。「実際に販売してみると、想定通りにいかないことも出てくるはずなので、お客さまへの伝わり方や反応などをTさんと検証しながら、小さく、早く、改善や軌道修正を重ねていきたいと思います」と藤山氏。この「小さく、早く」は、イノベーションラボの新規事業開発における基本方針でもあり、だからこそ、外部の専門家を活用する意義は大きいという。「仮に専門家から助言を受けずに未知の領域へ挑むとなると、自分たちなりに仮説を立て、それに沿って何度も失敗を繰り返しながら学ぶしかなく、“小さく、早く”とはかけ離れてしまいます。また、既存事業のように大掛かりな広告宣伝をうつやり方ではなく、ピンポイントでニーズを持つお客様を抽出して、その方に向けた提案を効率よく実施するにはどのようにしたら良いのか?を模索していました。その点で、個人の専門家とタッグを組めるi-commonサービスならば、スピーディな意思決定や小回りを利かせたプロジェクト進行が可能になり、新規事業においては特に有効だと実感しています」と藤山氏は語る。

川崎氏は、業界を熟知した専門家の視点から、自社製品の相対的な位置づけや優位性が鮮明に浮かび上がってくることをメリットに挙げる。「差別化するためにはどこに重点を置いて伝えるべきかが明確になり、新領域に参入する上で実効性のある戦略を立てることができます。そして何より、多種多様な美容製品を見て来られたTさんご自身が、この製品を本当に好きでいてくれて、良さを伝えたいという思いを共有いただけていることは、我々にとって大きな励みと自信になっています」と川崎氏。T氏がチームの一員のように溶け込み、何でも気兼ねなく相談できる存在となっていることも、プロジェクトのスムーズな進捗につながっているという。

今後については「新しい美容方法として製品が生活に根付き、当たり前に使っていただけるようになることが目標。Tさんを通じて美容業界の最新トレンドにも目を向けながら、我々が提供したいブランドの世界観をしっかりと表現できるよう注力していきたいと思います」と藤山氏。新規事業ゆえに、道なき道を進む難しさは常にあるものの、川崎氏は「伴走してくれる専門家の存在は、不安や障壁を越えて前に突き進む力になります。そうして新しい道を作っていくことは、引いては既存事業にも新しい可能性を切り拓くことにつながる気がしています」と語る。

「女性を笑顔にする」をコンセプトに、ライオンの新ブランドとして産声を上げたVISOURIRE。プロジェクトチームに伝授された知見や、T氏を介して広がった美容業界にとどまらない幅広い人脈は、この先のシリーズ展開への大きな弾みとなりそうだ。今後のラインナップ拡充や、ブランドの成長が注目される。

企業名
ライオン株式会社
設立
1918年9月(創業1891年)
従業員
連結:6,941名 個別:2,727名(2018年12月現在)
売上
連結:3,494億円[IFRS] 個別:2,645億円(2018年12月期)
事業内容
ハミガキ、ハブラシ、石けん、洗剤、ヘアケア・スキンケア製品、クッキング用品、薬品等の製造販売、海外現地会社への輸出

担当顧問より

私が今回ライオン様内で支援させていただいているのは、明治創業の120年以上続くなかで、研究開発本部内に設立されたイノベーションラボという「新規開発部門」のプロジェクトチームです。
口腔研究での第一人者であるライオン様の強みと新しい発想で、未知の世界へ良いものを提案していこうという姿勢にユニークさを感じました。同時に、プロの美容の専門家としても取り組み姿勢に大変共感できました。
現在専門家として美容の専門知見を提供しておりますが、それ以上にライオン様の新規事業のプロジェクトチームの一員という気持ちで、プロジェクトビジネスに大変やりがいを持って取り組ませていただけるのを大変感謝しております。

登録顧問 T氏(40代女性) 大手美容サービス業界の企業にてエステティシャン、スパマネージャーを歴任し、技術とホスピタリティを研鑽。その後、美容商社、化粧品メーカーにて海外ブランドのナショナルトレーナーとして国内のサロンへの講習を担当する。独立後は美容コンサルタントとして、ホテルスパ、化粧品メーカーなどのコンサルティングや、美容学校、プロの技術者向けの技術指導に従事し、美容の企業顧問(スペシャリスト)として活動の場を広げ現在に至る。