サービス導入事例

あいち中央農業協同組合

売上:
その他(非上場・非公開)
業種:
中間流通

マーケティング

職員が主体となった、農産物ブランディングプロジェクト。専門家の巧みなフォローで、従来になかった全く新しいブランドを確立

総合企画部
  • 部長 末芳 健司 氏
  • 企画課 石川 直樹 氏
  • BEFORE導入前の経営課題

    農産物のブランディングに伴い、具体的な進め方のレクチャーや、専門的な知見に基づいたアドバイスを必要としていた

  • AFTER導入による成果

    プロジェクトメンバーの意思や考えが主体的に発信され、新ブランド「碧海そだち」を確立。専門家の伴走がなくとも自走できる体制が整った

「専門家の存在」が、プロジェクトの光明に

2021年6月、「あいち中央農業協同組合(通称:JAあいち中央)」から、ひとつの農産物ブランドが誕生した。ブランドの名は「碧海そだち」。愛知県西三河エリアから同組合を通じて提供される農産物の総称として、2022年現在、地域を中心とした多くの人々に親しまれている。

「碧海そだち」が生み出された背景は、各農産物の宣伝格差をなくすことにあった。元々ブランドのあった品目からノーブランドの品目まで、組合員の農産物を同じブランドとして統一する。その結果、すべての農産物に付加価値が加わるだけでなく、訴求力そのものの底上げも図れるという寸法だ。

2020年9月、同組合は農産物販売活性化の想いを胸に、ブランディングプロジェクトを発足。はやる気持ちでスタートを切ったが、軌道に乗るまでの道のりは、決して平易なものではなかったという。その当時について、ブランディングプロジェクトのメンバーとして参画していた末芳氏は「立ち上げたはよいものの、正直、何からどのようにはじめたらよいのか、という状況でした」と語る。ブランディングといっても、どのようにコストをかけ周知をすべきなのか。そもそもそれ以前に、ブランディングの対象は農産物であるべきか、あるいはJAあいち中央そのものにすべきなのか。あらゆる側面で疑問が生じてしまい、二の足を踏む状態が続いていたのである。

くしくも同時期、同組合はi-commonの存在を知る。「ブランディングを専門的に担える人の支援を受けられる」。その事実が、同組合の興味を誘ったという。「今思えばi-commonからお声がけいただいたことが、プロジェクト始動の足がかりになったのではないでしょうか。本当に絶妙なタイミングでした」。末芳氏は笑いながら、当時について振り返った。

プロジェクトメンバーの心をつかみ参画することとなったのは、地方企業や農業生産者の経営改善・販売企画の経験を豊富に持つS氏だ。過去、他のJAでも実績をあげていただけでなく、農産物を取り扱う業界とのネットワークも持っていたことから、課題との親和性を強く感じたという。「正式にご依頼する前に、一度面談を行わせていただいたのですが、その時点ですでに『私たちのことを研究していただいているな』と感じました。というのも、『現状で行くと、こんな解決方法があると思います』『詳しくは、ヒアリングをしながら詰めていきましょうか』…と、稼働後の構想を積極的にご提示いただいたのです。おかげさまで、私たちも具体的なアクションをイメージできたことを覚えています」。

メンバーから役員陣まで。全員が同じベクトルを向くために

S氏とプロジェクトメンバーたちの取組は、現状の洗い出しからはじまった。「ここでは、上下関係にとらわれることなく発言をしていきましょう」。S氏の言葉を皮切りに、年次も役職も異なるメンバーたちが同じ卓を囲み、自分自身の想いや意見をフラットに交わしていったという。

プロジェクトメンバーとして参画していた石川氏は、S氏およびメンバー間の対話についてこう振り返る。「洗い出しからその後のブランドターゲット設定、そしてブランドコンセプト立案にいたるまで、S先生は終始一貫して、一方的に結論にもっていくことはされませんでした。あくまでも私たち主体でブランドへと昇華させられるよう、リードしていただいたのではないかと。時には若手の意見も丁寧にピックアップし、ほめていただいていたことも非常に印象的でしたね」。メンバーの自主性と意欲を尊重しながら、S氏は場をファシリテーションし、個々の想いを巧みに引き出していったという。

メンバーの言葉をS氏が紡ぎ、最終的に決定したブランドコンセプトは、「好きを育む」農産物。「野菜好きを育てる、野菜」「お米好きを育てる、お米」など、JAあいち中央の農産物によって「好き」が育まれるように、という想いが込められている。また、S氏はこのコンセプトをベースとし、ストーリー仕立ての提案書をメンバーに提示した。「ストーリーとは、『ブランドを通じて、未来がこうなっていったらいいね』という、小さなお話なんですけれども。これをいただいたことで、改めて私たち全員がブランドをくっきりとイメージできるようになったと感じます」。

また、ブランドコンセプトが確立した後も、S氏の活躍は続く。石川氏は、役員陣へのブランド説明時において、とりわけS氏の心強さを実感したという。「役員陣からブランドの定義や、既存ブランドとの整理についての指摘が入ったのですが、プロジェクトメンバーで決めた事項と思惑のズレがあり、どのように説明すべきかを考えていたときでした。S先生はその指摘に対し、役員陣へ適切かつストレートに、ご意見と然るべき方向性を述べていただき、統率を図っていただいたのです。これは、経営陣に対しても大きな影響を与えたように思います」。

立場という垣根を超越し、想いを適切に共有しながらひとつのブランドを具現化させる――。石川氏のお話からは、組合全体が同じベクトルを向き、よりよいブランドを醸成するための試みがうかがえる。単にブランドを企画して終わるのではない、いわゆる「インターナル・マーケティング」の側面においても、S氏の確かな手腕が発揮された。

支援を受け、自走へと転換。目指すは「全国展開」

その後も順調にプロジェクトは進行。「碧海エリアで生み出された農産物を好きになってくれる人が増えてほしい」…その願いが「碧海そだち」というブランドネームを生み出した。また、ロゴ・ブランドカラーや今後の目標策定など、リリース後の運用を見据えた取り決めを実施。ブランドとしての在り方と今後が見えた現在は、同組合のみでも自走し運用できるまでにたどり着いている。

プロジェクトがひと段落した今、末芳氏は「S先生がいらっしゃらなければ、当プロジェクトは頓挫していたでしょう」と明かす。「プロジェクト発足当時の私たちは、『ブランディング=お金をかけて広報するもの』という認識でした。すなわち、その前段階の取組が必要だということに、発想が至っていなかったのです」。ブランディングは、さまざまな取組を経てはじめて成り立つ。S氏が享受した着眼点は、末芳氏にとって大きな発見だったと語る。

とはいえ「現状はまだ通過点に過ぎない」とも、末芳氏。「『碧海そだち』は、まだ地域に根付きはじめた段階です。今後の目標は、全国へブランド認知を広めていくことですね。多くの人に『碧海そだち』を好きになってもらうことで、子どもに野菜等を好きになって欲しいと願う親や組合員の農産物の販売拡大に貢献できることになります。このサイクルが回り、最終的に関わるすべての方々がもっと豊かな生活をおくれたらよいなと」。地域から地盤を固め、やがては全国で愛されるブランドへ。「碧海そだち」がもたらす未来には、期待が高まるばかりだ。

企業名
あいち中央農業協同組合
設立
1996年4月
従業員
役員:41名 職員:1,106名(2021年3月31日現在)
売上
非公開
事業内容
組合員向けの各種サービス提供(農業支援・金融・共済・販売・福祉等)

担当顧問より

ブランド化とは、「好きになって、買い続けてもらうための一連の活動」です。本プロジェクトでは、農産物のブランド化という広いテーマでした。これまで大切にしてきた野菜や果物、花卉など多種多様な品目があるなかで、今回は「お客様」を明確にしてオールJAあいち中央で、向かう方向を一致させて取り組みました。現場は、意欲的でチャレンジができるスタッフが多く、毎月のブランドの推進会議でも、活発な議論ができました。会議の進行を担当しながらのアドバイスとなりましたが、弊社からは、取り組みの答えを押し付けず、メンバー全員と話をしながら、JAだからできること、やりたいことを出しながら推進してきました。今後の取り組みが楽しみです。

登録顧問 S氏 これまで10年以上、日本各地の事業者や農業生産者の、お客様ニーズから逆算した事業戦略の見直し、新商品開発、販路の選定、観光事業の推進支援に取り組む。支援モットーとして、既存のモデルを一方的に押し付けず、すべてのケースはオンリーワンと考え、まず取り組むメンバーの意思や問題意識を丁寧に聞き、二人三脚での支援策検討を大切にしている。

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